こじらせ忍者とオヤジ猫という仰天コラボが織りなす、笑いと癒しのモフモフ時代劇映画『猫忍』に主演の大野拓朗にインタビューを行った。
同時に撮りました。ドラマ版11話と映画を合わせて1か月半で撮ったので、かなりハードなスケジュールでした。怒涛の1か月半が終わった!という感じですね。
―猫の金時との関係性が、ドラマ版と映画版で変わっていると思いますが、接し方など役作りする上で難しいことはなかったですか?
そこはあまり意識してなかったですね。もともと僕自身は犬を飼っていて、猫とちゃんと接するのは今回が初めてだったので、それが素で出ているのかなという感じです。そんなに意識したことはないと思います。
―本作が映画初主演ですが、これまでの撮影と異なる点はありますか?
あまり実感はないです。ドラマと一緒に撮っていたというのもありますし、ドラマの主演はやらせていただいているので。怒涛の撮影を過ごしたという感じです。ただ、公開が近づいてきて、自分が主役の映画が出来るんだなという実感が湧いてきています。
―大野さんが演じる陽炎太は、生真面目だけど若干甘ちゃんな感じもあると思います。そういう応援したくなるキャラクターとご自身の共通点はありますか?
そのまんまですね。僕は甘えるタイプというか甘えたいタイプ。先輩にかわいがってもらうのが好きです。だから、共通しているのかなと思います。そういう意味では陽炎太の性格に関しては、すんなり入れたかなと思います。
―陽炎太は口数が少ないキャラクターで、目で演技することも多かったと思います。金時を見る目がすごい優しかった場面もありますが、そこは意識していらっしゃるのですか?
すごく難しかったです。金時は自分の子のように愛していて(笑)。でも、父上だから「父上どうちたんでちゅか?」みたいになっちゃうんですよ。あ、違う違うって。監督からも「今、違うよ。金時じゃないからね、父上だから」って何回か直されています。それくらい愛おしいです。
―金時とは撮影に入る前には会ったことはありますか?
一回だけ会いました。僕の写真集を出した時に、スペシャルゲストで金時に来てもらって、一緒に撮影しました。でもその一瞬だけで、あとは現場です。
―金時はすぐになつくタイプですか?
最初の頃はびくびくしておとなしかったですね。途中から慣れてきて、午前中とか昼くらいまでは、抱っこしていても“出たい出たい”ってやるんです。夕方になると疲れるから甘えん坊モードになって、ずっと寝ていたり。そうなるとずっと寝ているから、「金時!金時!」ってカメラの後ろで呼びながら目を開けさせるんですけど、目が開かないんです(笑)。
―本作、映画版から“真心”(あんみつ)も出てきましたが関わりはいかがでしたか?
別の家の子って感じですね(笑)やっぱうちの子が一番だなと思いながら、真心もかわいがっていました。
―陽炎太は人間味あふれているところが魅力です。演じる方によってだいぶイメージが変わると思いますが、台本の段階でこのようなキャラクターだったのですか?
台本読んだときに爆笑しました。なんだよこいつって(笑)やっぱり『猫侍』シリーズを作ってきたスタッフが贈る『猫忍』だと思いました。嬉しくてにやにやしながら台本読んでました。ト書きがおもしろくて。コミュニケーション能力が欠けているから話しかけられたときにおろおろするとか書かれていたりしていました。
―そういった役を演じるのは難しくなかったですか?
今回のような役が大好きなんです。2.5枚目、3枚目みたいな。だから、楽しみながらやらせていただきました。
―本作で一番見てもらいたいところはどこですか?
悪役も全員がどこか憎めないところがある。だから完全に悪者はいません。みんなどこかしらにかわいげがある。だからこそ、老若男女が楽しめると思います。金時もかわいいしほっこりする。それで、ちょっと感動できる部分もあって、温かい。日々の疲れを癒せて、息抜きになるような作品になっていると思います。くすっと笑えるところもありますし、それが『猫忍』の魅力なのかなと思います。
―くすっと笑えるシーンで苦労されたことはありますか?
大変でした!映画版に関しては一人だけクールなキャラだから。ドラマ版は散々抜けてたのに、映画版は結構かっこいいんですよ。だから寂しかったです。ほかの人たちおもしろそうにやっているけど、僕はまじめだなと思っていました。ドラマ版では、ビシッとした顔で中身は違うことを言っている、そのギャップが『猫侍』の時からファンなので、それを自分ができるのは嬉しかったですし、北村さんを意識しながらやっていました。(映画版では)渋川さんがおもしろくて、笑いをこらえるのが大変でした。渋川さん側を撮影している時、僕が目線のお付き合いのみしている時は結構笑っちゃいました。
―柄本さんは映画版からですが、共演されていかがでしたか?
柄本さんはとても独特の空気を持っていて、異次元の空気を感じました。すごい役者さんだなというのを今回初めてご一緒させていただいて感じました。
―佐藤さんは映画の中ではご一緒されることも多かったと思いますがいかがでしたか?
佐藤さんはおもしろかったです。ものすごく優しくて、お気遣いのある方。おもしろい角度から発言されたり、毒舌が面白かったりしました。愛のある毒舌で現場を盛り上げてくれたりとかしました。金時とか真心にたいしても、赤ちゃん言葉で「金ちゃん、金ちゃん」って言ったりして、すごくチャーミングな方でした。
―現場の盛り上げ役は大野さんだったのですか?
どうでしょう(笑)スタッフさんたちみんなが職人で、監督が一番現場の空気を作ってくださっていたかなと思います。渡辺監督が豪快に笑うんですよ、「はははは!」って。それが現場を緩めてくれたりして、とてもいい雰囲気でした。
―今回時代劇で忍者と役ですが、具体的に参考にしたものはありますか?
一応映画は見ましたけど、やっぱり小さいころに見ていた「(忍者戦隊)カクレンジャー」だったりとか、ずっと見てきた忍者像をなんとなくイメージしたのが大きいです。後は、スタントチームゴクゥさんのところに通って、アクション練習とかやらせていただきました。後は(本作で演じる陽炎太は)忍者っぽくない忍者というのがあって、アクション練習はしましたが“忍者たるもの”というのはあまり意識しないで役作りしました。
―全体的な空気が緩い中でアクションが本格的ですよね。アクションにかける意気込みは?
運動は大好きで、筋トレもジム通いをずっとしていて、今回はクランクイン前にゴクゥさんで忍者アクションを稽古していただいて、あとは現場でやりました。アクションは大好きですし、気合入れてやってました。
―本作に出演して大野さん自身が変わったところはありますか?
あるかな・・・(笑)影響を受けたのは船越さんですね。ドラマ版の撮影では本当にお会いしなくて、映画版の撮影で初めて劇中同様に会って、セリフも長いシーンなので「セリフ合わせしようか」って言っていただいて、何回もセリフ合わせをさせていただきました。大先輩に付き合っていただけるなんて幸せだなと思い、僕もこんな先輩になりたいなと思いました。
―自分が忍者だったらどんな術を使いたいですか?
変化の術で鳥になりたいです!
―猫じゃないんですか?
空を飛びたいんです。
―どこに行きたいですか?
沖縄の海を見たいかな。世界中飛び回りたいですね。ヨーロッパとか行ったことがないので行ってみたいです。鳥になったところでそんなに飛べるのか分かりませんけど(笑)
映画『猫忍』は2017年5月20日(土)より角川シネマ新宿ほか全国で公開!
監督:渡辺武
出演:大野拓朗、佐藤江梨子、藤本泉、渋川清彦、鈴木福、ふせえり、永澤俊矢/柄本明、麿赤兒/船越英一郎、森本レオ(語り)
配給:AMGエンタテインメント
©2017「猫忍」製作委員会