バスケ×友情×恋―誰の心にも熱く響く感動必至の青春映画『春待つ僕ら』に出演する稲葉友に単独インタビューを行った。
―本作のオファーがあったときのお気持ちをお聞かせください。
稲葉 バスケをすると聞いたので、「あ、バスケができるんだ!」と思った記憶があります。出演が決まって、その日のうちにバスケットボールを買いに行って、とりあえず触っておこうとしたのが最初でした。
―原作が少女漫画ですが読みましたか?
稲葉 読みました。その作品あっての映画ですが、僕たちは脚本に書いてあることを演じるので情報としては入れつつ、あまりとらわれないようにしないといけないと思いながら演じました。
―稲葉さんは特技がバスケということですが、今までやっていらっしゃったのですか?
稲葉 中学3年間やっていました。
―プライベートで行うバスケと、演技としてのバスケの違いはありましたか?
稲葉 決まったプレーをみんなでやるというところで、感覚としては殺陣に近いかもしれません。ボールを軸にして、絡む人がいて、ディフェンスも抜かれると分かっていながらもちゃんと止めに行くという芝居をする。ただ、殺陣に近いといいつつ、ちゃんとバスケをやる。ここでしっかりバスケができていれば監督やスタッフさんがいいものを撮ってくれるだろうと信頼して、自分たちはプレーをしようと思いました。
―とても自然な動きでしたね。
稲葉 メインキャストだけでなくチームメイトや対戦相手の選手も一緒に練習して作っていきました。
―小関裕太さんだけバスケの経験がないと聞きました。
稲葉 そうですね、彼はバスケが一番上手な役だったので大変そうでした。でも、目に見えるストイックさというか、きっちり練習してきていると思いました。できないことをどうカバーするのかではなくて、できるようにして来ようという練習をしてきたことが本番で見えました。そこはとても信頼していたのでまったく心配はしませんでした。
―クランクインの数か月前から集まって練習していたと聞きましたが、4人での練習はいかがでしたか?
稲葉 あの時間があってよかったと思いました。その4人は特に幼馴染というか昔から一緒にバスケをやってきたという関係がある役だったので。現場に入ってからだと時間が足りなかったりするんですけど、撮影に入るころにはその空気を仕上げられたので、ただバスケの練習をするというだけではなく、俳優同士のコミュニケーションを取れたり、いろいろ話したり、実際にプレーで確認できたのでいい時間でした。
―主演の土屋太鳳さんとは初共演です。共演していかがでしたか?
稲葉 かっこいい人だと思いました。イメージがいい意味で崩れずに、超えてくる方でした。誠実さとか、真摯に向き合うスタイルとか。人の粗ってどうしても見えちゃうと思うんですけど、土屋さんはすごいと思いました。このクオリティを保てる人がいるんだと思いました。
―話は変わりますが、仮面ライダーを見させていただいていました。
稲葉 それは僕と磯村(勇斗)ですね(笑)
―稲葉さんが「仮面ライダードライブ」で演じていた仮面ライダーマッハはとても明るい感じだったのに、心に痛みを持っていました。本作で演じている瑠衣も明るいキャラだけど、(土屋演じる)美月のことを見ていて、あとでフォローを入れるなど繊細な部分がある役です。稲葉さん自身がリンクする部分はありますか?
稲葉 必要以上に気を遣うところはあります。瑠衣でいうと、脚本に書いてあることを演じるというのが前提にはあるんですけど、原作を読んだときに劣等感が強い人だと思いました。かわいらしくて、ちょっと嫌味なことをうまく言えたりもするんですけど。映画ではそういうシーンがなくて、なんとか取り入れないかなと思いました。でも変な劣等感を入れると作品の邪魔にもなるし、どうしようかと思ったときに、フォローしに行くとかを単純に明るくかわいくフォローしにいくのではなく、ひとつ理解したところでいく人ということにしてやっていました。自分に置き換えると、僕も異常に気を遣ってしまうので・・・(笑)人の気持が分かるなんて言えないし、難しいんですけど、なんとか察したい。なるべく理解したいというか、分かるところは分かりたい、そういうタイプです。ただ分からないと思ったら手の届かないところにあっていいものという認識なんですけど。自分の感覚と原作にある要素を流し込めるといいかなと思っていました。共通といえば共通なのかなと思います。
―瑠衣は一見チャラくしているようにも見えるのに気を遣えるところが好感度があがりますよね。
稲葉 磯村が演じていた役(若宮恭介)は終始そういう役どころで、杉野(遥亮)が演じた役(多田竜二)は割り切って熱い役。どちらにも寄り切れないキャラクターですね。
―学校が舞台になっているので学生役の方も一緒にやっていました。
稲葉 学校は体育館と中庭のシーンが多かったですね。あとは喫茶店も。
―喫茶店の椅子が座るときに浮いたりしていましたが。
稲葉 あの細さゆえの自由さはあったと思います。あまりしっかりしていると動き回れないし。僕の場合は前を向いたり後ろを向いたり、立ち上がったり座ったりが多かったので、ありがたかったです。あと、学校という要素だと帰り道ですね。放課後というのが象徴的でした。人生で二度とない時間ですよね。体育館にいる時間やカフェにいる時間はあるかもしれないけど、放課後って仕事終わりでは出ない空気とかがあるなと思いました。先ほどもお話しした事前に空気を作る時間があって、各々の関係性も知れたし、俳優としてどういう人かも知ることができて、深いところでつながれた気がします。あるときの撮影で、4人だけの帰り道があったんですけど、「段取りやります」と言われ、何気なく「よーいスタート」って始まった段取りがすごくよかった。「めっちゃいいな!」っていう空気を感じたんですけど、みんな同じことを思っていて。これは“出たな”って思いました(笑)これ撮ってくれればよかったのにって(笑)もうこれ以上ない!と思いました。そういったことを共有できたことがお芝居をしているうえで幸せでした。もう20も半ばですがこういう作品をやれてよかったという象徴的なエピソードでした。
―見ていても友人関係が築けていましたよね。
稲葉 本当に学校の帰り道でしたね。4人ですっとそこにいけたのがすごくいいやつらだなと(笑)いい経験をさせていただきました。
―映画にもその空気感がとても出ていました。
稲葉 良くも悪くも映ってしまいますよね(笑)
―年末にドラマ「平成ばしる」で主演を務めますね。資料を読むだけでもとても楽しみです。
稲葉 いま撮影中ですね。おもしろいですね、いいドラマになっています。
―撮影で何か思い出に残っていることはありますか?
稲葉 いまメディアが多様化している中で、テレビ朝日という以前からある映像メディアと、AmebaTVという新しい映像メディア、そしてJ-WAVEという映像とは違うメディアがあって、その3つの媒体で境界線を越えるというテーマがあったりするんですけど、すごく年末らしいドタバタなパニックコメディに合っています。ハートフルで、登場人物がみんな愛おしいというか、悪い人は出てこないです。軽い気持ちで、2018年や平成という時代に思いを馳せる時間になったり、ちょっと懐かしい人に連絡を取るきっかけになってほしいです。個人的には初めて主演でやらせていただいて、一夜だけの一時間のドラマなのでとにかく見てもらいたいです。
何をするにもひとりだった美月の運命を変えたのは、バスケと仲間を愛する4人のバスケ男子との出会い。「チャラい」と決めつけていた4人の、バスケへのまっすぐな思いと本気で強くなるために猛練習を重ねる姿に触れるうち、美月の中で何かが変わっていき、気がつけば美月の学校生活は、笑いにあふれたにぎやかなものになっていた。そして無口で天然キャラである永久の穏やかな優しさに少しずつ惹かれていったころ、幼なじみの亜哉が突然現れる。亜哉はプロも注目する、天才高校生バスケプレイヤーとなっていた―。土屋太鳳を筆頭に、北村匠海、小関裕太、そして磯村勇斗、杉野遥亮、稲葉友という今をときめく若手俳優陣が集結。泉里香、佐生雪、緒川たまきという個性豊かな実力派もしっかりと脇を固める。
映画『春待つ僕ら』は2018年12月14日(金)より全国で公開!
監督:平川雄一朗
出演:土屋太鳳、北村匠海、小関裕太、磯村勇斗、杉野遥亮、稲葉友、泉里香、佐生雪、緒川たまき
配給:ワーナー・ブラザース映画
©あなしん/講談社 ©2018 映画『春待つ僕ら』製作委員会