劇団EXILEの全メンバーが総出演の疾走エンターテイメント・ムービー『jam』に出演する青柳翔、町田啓太、鈴木伸之にインタビューを行った。
―『jam』には劇団EXILEメンバーが総出演しています。今回劇団EXILEをフィーチャーしている作品への出演はいかがでしたか？
青柳 最近は舞台公演を行っておらず、個人活動が多かったですし、『HiGH&LOW』で集まっていたとはいえ、劇団EXILEだけで何か作品を作れるのは久しぶりだったので、素直にうれしかったです。みんなで現場で集まることは少なかったですけど、同じシーンで自然と誰かがセリフを言いだしたら練習が始まっちゃうようなそういうのが久しぶりにありました。そういえば最初の頃からこういうことをやっていたなということがありましたし、筒井さんがそれを見て、「そうか、劇団なんだよね」って言っていただけたことがすごく印象的でした。
町田 その通りですね。全員で出れるのがうれしかったですね。久々でしたし。『HiGH&LOW』では分散しましたし、劇団EXILEがメインでというのは今までになかったので、いい機会をいただけたなと思いました。その分楽しんでもらえる作品にしていかなければいけないなと、リーダーである青柳さんについて行っています。
青柳 おれリーダーなの？リーダーじゃないよ。
町田 そうなんですか？みんな青柳さんだと思ってますよ。
青柳 俺はそういう責任から逃れることにしてる。
町田 現場でも引っ張ってくださいました。
青柳 全然引っ張ってない。自分のことしか考えてない（笑）
鈴木 素直にうれしかったのと、劇団EXILEができて10年くらいになりますが、初めて全員で出た映画なので、僕らにとっても思い入れが強いですし、多くの方に見ていただきたいです。
―SABU監督色もあり、3人の魅力も出ていておもしろかったです。青柳さんはSABU監督の前作『MR.LONG／ミスター・ロン』にも出ていますが、今回SABU監督の演出を受けてみていかがでしたか？
青柳 近くに行ってみないとなんて言っているかわからない（笑）俺もボソボソとしゃべるタイプなので、監督と二人で悪だくみをしている時も、周りは何を言ってるかわからないから、「二人で何を話してたんですか？」って助監督が聞きに来ることもありました。
―前作の時は「SABU監督の洗礼を受けた」と伺いましたが、今回は慣れましたか？
青柳 監督のアイデアというか、どうしたらおもしろくできるかとか、青柳がこういうふうにやったらふざけてるんじゃないかというアイデアの引き出しが多すぎて、すごく楽しかったです。
町田 僕はお会いしたことがなかったので、いろんなところに出ている写真を見たら、怖い人だなと思う画像がたくさん出てくるんですけど、会ってみたらめちゃくちゃ優しくて、めちゃくちゃ愛妻家で“なんだこの人は”とびっくりしました。すごいニコニコして、家族写真を見せてくださって、「家から花火見えたんだ」とか。あんなに激しい映画ばかり作っているのに。現場に入ってみたら、今度は優しい顔をして、鋭利なふりをしてくるので。葉っぱかけてくるんですよね。「鈴木君のアクションよかった～」ってぼそぼそって言ってくる。小さいころから変わっていない悪だくみ感を持っている方なんだなと思いました。
―青柳さんが商店街を走るシーンがSABU監督らしいですね。
青柳 ひたすら走っていましたね。走るだろうなとは思っていましたけど。前作でも草の中をかき分け走って、結構走っていたので。今回はあまり人がいなかったですし、足場もよかったので、よかったです。
―鈴木さんはSABU監督とはいかがでしたか？
鈴木 僕はあまりお話をしていないんです。セリフが一言もなかったのと、ずっとアクションだったので。最後になるにつれて悲しく見えてくれたらいいなと言われたのでそこを意識しました。「おはようございます！」って言ったら、「うっす」って返して、「お疲れ様でした！」って言うと「うっす」って。
青柳 そういえばスタッフさんが差し入れで肉まんを持ってきてくれた時に、劇団メンバーの横に行って、「うめえなこのクッキー」ってボソッて言って、笑っていいのかわからなくて（笑）終始シュールなものを提供してくれるので、あとから笑いがもう（笑）
―お互いの印象をお聞かせいただけますか？
青柳 町田の印象は本当に清潔感あるし、きれいだなと。
町田 いやいや、真っ黒。ここ（お腹）パカって開けたら渦巻いてます（笑）だから劇団なんです。
青柳 お互いの印象って恥ずかしいね（笑）
―鈴木さんから見た町田さんの印象は？
鈴木 僕は同期で、入ったときからドラマだったり映画だったり、いろんな作品で一緒にやらせていただいてきました。今回に関しては本当にはまり役だなと。劇団でだれがああいう好青年をできるかというと町田君だし、それをSABU監督がプラスアルファでものすごくお人よしにしたら、今度は気持ち悪くなるというところが乗っかっている感じがしますね。見ていて何の違和感もなかったです。
―青柳さんと町田さんは鈴木さんの印象は？
青柳 蹴りがえげつないなと。俺は大好きああいうアクション。バイオレンスな蹴り大好き。
鈴木 秋山さんに後ろ回し蹴りみたいなのをするところがあるんですけど、監督が「先輩だからって気を使う必要ないから思い切り蹴れ」って。
青柳 まったく使う気ないもんね（笑）
鈴木 まったく使う気は（笑）
青柳 前作で、俺が灰皿で殴られるシーンがあるんですけど、ゴムだから思いっきりやられても痛くはないんですけど、俳優さん同士だと遠慮しあっちゃうじゃないですか。そういうのが垣間見えると作品としてひいちゃうので、SABUさんも「青柳、全然大丈夫だよね？」って言われて、「大丈夫です」って言ったら、思いっきりガンっ！ってきましたね。
―町田さんと鈴木さんは青柳さんについては？
町田 めっちゃ繊細です。超男らしく見えてめっちゃ繊細で、パスタの食べ方が超きれい。考えてることも繊細だと思うんですけど、現場で思いっきりやっていいよってなったときに、思いっきりまじめな顔して目の奥がふざけてる、遊んでる感じが僕は好きだなと思っています。青柳さんにしか出せない感じが。
鈴木 今回は演歌歌手の役で、これを成立させるのはなかなか難しかったと思いますし、一番セリフの量も多かったので、そこが肝みたいなところがあって大変だと思いましたが、なんか妙に演歌歌手としてはこういう人がいたらおもしろいなと思わせる間、セリフ、ストーリー設定がすごくおもしろくて。僕はかなり笑わせていただきました。
―キャラクターが立っていますよね。ご自身が演じているキャラクターと似ているところや違うところはどこですか？また、演じるうえで気を付けた点はありますか？
青柳 ちょっと言いづらいんですけど、僕なぜか歌をやっていまして。MV撮影をするときに、よく監督に「手を使って」ってよく言われるんですよ。他のアーティストさんを見ると、手を使うのがすごい上手じゃないですか。でも僕はそれがまったくできなくて、何回かチャレンジさせていただいたんですけど、すごいへたくそで。それをなぜかヒロシだと一生懸命練習できたと。
―なりきっていたんですかね？
青柳 わからないです。ヒロシだからできたのか、自分だと照れるからなのか、わからないです。
―町田さんはどうですか？
町田 まじめ風ですね。ただパカッて開けたら渦巻いているのがあるので（笑）今回タケルはいきすぎちゃって狂気っぽい感じだったり、変態さが出ているんですけど、そこは僕の渦巻いている部分をちょっとだけ開けてみようと思って投影させていただきました。今回はやっぱりそれぞれが欠落部分が大きいキャラクターなので、タケルはそこの部分を振り切ってやったらおもしろいんじゃないかなと思って演じました。
―いい感じでしたね。たまに目が怖いと思いました。
町田 そう思ってやりました。ブラジャー持つところも自然に。
―すごい笑顔でしたよね。
町田 SABU監督もブラジャーのときはめっちゃニコニコしてましたよ（笑）何色がいいかなとか。変態に見えるの何色かなって(笑)
―鈴木さんはテツオになるために努力したことはありますか？
鈴木 現実にいたらまずいキャラクターなので（笑）、近いところは一切ないんですけど、復讐心に燃えているところか、何かにエネルギーがある感じは近いものがあると思います。あとは何も気もせず、かっこいいアクションをできたらいいなと自分の中で一番大きい目標を掲げていたので、早くて大きくてかっこいいアクションをできればと。悩んだことは一切なく、セリフがない分アクションに集中でき、楽しくやらせていただきました。
―テツオはおばあちゃんを介護することで優しさも出ている感じがありました。その辺がジワッと出ているところはよかったですね。
鈴木 車いすの音が印象的でした。この音がするとテツオが出てくるみたいな感じがして。
―横山田ヒロシの情報量が多すぎておもしろかったです。ジャケットの撮影もされたと思いますがいかがでしたか？
青柳 だんだんみんながふざけだしてきて（笑）それがエスカレートしていって、「ちょっとやりすぎかな？やめておこうか」と言いながらも「とりあえず撮っておこう」っていう部分はありました。横山田ヒロシのフィギュアがあったり、ジャケット一枚でも、よくよく探せば演歌歌手の方が着てそうなものをチョイスしてくださっていて、楽しみながらやらせていただきました。
―歌も歌われていましたがインパクトのある歌でした。公開決定時のコメントで「歌手として成長できたら」とおっしゃっていましたが。
青柳 そんなこと言ってましたっけ？
鈴木 ヒロシがしゃべってたのかもしれない（笑）
―神様にお祈りするシーンがあります。神様にお願いしたいと思ったことはありますか？
町田 めちゃくちゃいっぱいありますね。オーディションでも「受かってほしい」というような神頼みなところもあったので、結構あると思います。
―演じた役の気持ちも分かりますか？
町田 見えたことはないのでわからないんですけど（笑）
鈴木 デビュー当時からまじめっていうか好青年ですよね。
青柳 パカッやってほしいんだよね。分かりづらいわ！（笑）
町田 僕も、今まで見えてこなかったけど、パカってしたら見えるかもしれない。神様に腹の中をちゃんと見せれば。こんな黒いところがある自分でも許してもらえるかと。本当に全部更生すれば見えるかもしれないですね。僕はまだそこまでたどり着いていない。自分の人生をささげてもいいくらい陶酔していたんだろうなと思いました。
―暴力シーンが多く、生っぽいシーンが多いです。ああいったシーンを撮るうえで気を付けた点はありますか？
鈴木 なかなかあそこまでの生っぽいアクションはないので。今までいくつかアクションをやらせていただいたんですけど、一番この作品で勝負したいなと思って。何回も何回も確認もしましたし、セリフも一言もなかったので、今回初めて周りの人にも自分の意見を言わせていただいて、間だったり、入ってくるタイミング、きっかけだったり全部自分がやりやすいようにやらせていただきました。今までやらせてもらったアクション作品で一番うまくいったと自負しています。楽しかったです。
―ハンマーが武器で、血しぶきが上がっているシーンもあります。モノを殴るコツはありましたか？
鈴木 バケツの中にスポンジが入っていて、それに血ノリがついているんですけど、バイオレンスなシーンですし、女性がとっつきにくい描写ではあると思うんですけど、俺もやりすぎたなと思いました。
―きれいだなと思いました。
鈴木 ありがとうございます。
2017年公開された『MR.LONG／ミスター・ロン』などで国内外で注目され続けている⻤才・SABU監督の最新作。EXILE HIROプロデュースによる完全オリジナル新作映画プロジェクトで、劇団EXILEの全メンバーが総出演し、疾走感溢れるSABUワールドがスクリーンいっぱいにあふれたエンターテイメント・ムービー。『たたら侍』（2017）主演の⻘柳翔、大河ドラマ「⻄郷どん」の町田啓太、『あなたのことはそれほど』（2017）の鈴木伸之、「ウルトラマンジード」の小澤雄太、「仮面ライダーエグゼイド」の小野塚勇人、『恋と嘘』（2017）の佐藤寛太、『ドクムシ』（2016）の秋山真太郎、『愛の病』（2018）の八木将康、SWAYこと野替愁平らが所属する劇団EXILEのメンバーが初めて大集結する。
映画『jam』は2018年12月1日（土）より新宿バルト9ほか全国で公開！
監督・脚本：SABU
出演：青柳翔、町田啓太、鈴木伸之、秋山真太郎、八木将康、小澤雄太、小野塚勇人、佐藤寛太、野替愁平、筒井真理子
配給：LDH PICTURES
©2018「jam」製作委員会
