友だちの死をきっかけに揺れる若者たちの姿をエモーショナルに描く映画『チワワちゃん』でチワワちゃん役を演じる吉田志織に単独インタビューを行った。
―オーディションを受けたときのお気持ちをお聞かせください。
吉田 もともと岡崎京子さんが好きだったので受けられるという嬉しさがあって、“私がチワワをやる!”という気持ちで受けました。
―実際に決まったときはどうでしたか?
吉田 とてもうれしかったのを覚えています。「誰にも言わないで」と言われていたので誰にも言えませんでした。
―原作はご存知でしたか?
吉田 読んでいました。チワワに対して憧れていた自分がいました。無鉄砲で自由に生きられていいなというのが最初の印象です。
―こういう風に演じようと思ったことはありますか?
吉田 パワーを切らさないようにしようと思って演じていました。明るい時は本当にすごく明るい子だし、そのパワーは愛とか性欲とかいろんな欲求がごちゃまぜになっていて、みんなを圧巻させるパワーがあるので、そういうのを切らさないようには意識していました。でもそれはリハーサルまでで、撮影の時は自分がチワワだと思って生きていたので、そこで意識することは特になかったです。
―役に寄せていこうと思った部分はありますか?
吉田 見た目ももちろんそうですが、チワワちゃんってこういう子なんだと思わせるのもそうだし、眉毛をそったり、プライベートでも常にはっきりするように、いやなものは嫌だというようにしていたかもしれないです。プライベートにもチワワを持ち込んでいっていたと思います。オーディションは去年(2017年)の12月で、撮影は(2018年)3月だったので、その間はプライベートでチワワになりきっていました。
―とてもナチュラルな演技が魅力的でした。ご自身と似ている部分はありますか?
吉田 思い立ったらすぐやるとか、破天荒っぽいところは似ていると思います。キャパは違うんですけど、私は“明日行こう”と思ったら行くので。例えば明日がオフで大阪に行こうと思ったら行くので、そういうところはあります。思い切りというか、悪く言えば計画性がないところは似ていると思います(笑)彼女はそこの桁が大きい。後先考えていないというところは似ているところもあるのかなと思います。
―逆に自分ができないからやってみようと思ったことはありますか?
吉田 その人に対しての依存というものが私はあまりないので、ないものを作り出すのが難しくて、そこは「ヨシダ君、ヨシダ君!」というように作って演じていた気がします。
―キャストの年代が近いですよね。撮影現場ではいかがでしたか?
吉田 アットホームというか、みんながみんな自由な現場で、集まっている時もあれば分散している時もありました。私はまだ学生を演じるドラマとか映画にしか出ていなくて、大人の方がいっぱいいる現場が分からないのですが、殺伐とした空気という感じはなかったです。でも和気あいあいというわけでもなく・・・。みんなチワワの扱い方がうまいと思いました。「チワワおいで」とか言ってくれて、そうしたら「うん!」って行くような、カメラが回っていない時も。みんな普通にやっているだけなんですよね。計算している方もいるかもしれませんが(笑)私はチワワのつもりだったからうれしかったのは覚えています。
―「ハリウッド女優を目指している」というお話を聞きました。本作ではハリウッドでも活躍していらっしゃる方が出演していますがお話は?
吉田 栗山(千明)さんは撮影がかぶっていなくて一度もお会いしていないのですが、浅野(忠信)さんはチワワとのシーンがあるのでそこで話しました。英語の勉強方法とか、そういった話を教えていただきました。
―完成した映画はご覧になりましたか?
吉田 2回見ました。遊んでいるシーンももっともっと撮っていて、朝まで撮ったシーンもありましたが、2時間で伝えなければいけないのでこれくらいで終わっちゃうんだと思いました。残念がっているのではなくて、ここでこうなるんだと改めて感じました。
―今回、自分にとって一番挑戦だったことはありますか?
吉田 全部が挑戦だったと思うんですけど、若い人たちと一緒といってもキャリアもみんな違うし、私は新人だったので、そこに飛び込んでいくというか、そういうことは挑戦だったという気持ちになりました。
―今回演じる中で難しいなと感じたシーンはありましたか?
吉田 出だしのシーンは煮詰まっていました。「こんにちは、チワワです!」というセリフです。リハーサルの段階までは、監督に「違う」って言われていて、でもそれは自分でもわかっていて・・・。大きい声を出せばいいわけでもないし、おなかの中からパワーが出てくるのを感じなきゃいけないけどそれができませんでした。でも、アクションレッスンを受けていて、チワワとして走っている時に、自分の中で“これがチワワなんだ”と腑に落ちる瞬間がありました。それからその感覚を出せるようになりました。「こんにちは、チワワです!」っていうパワーがあって、表情や声のトーンも自分が思っていたより高くなっていいました。それくらい自分のことがチワワだと思っていた。そのときは本当にチワワのことしか考えていなかったのでよかったなと思います。
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定価:2000円+税
発行:株式会社ムービーウォーカー
発売:株式会社KADOKAWA
岡崎京子が1994年に発表した時代を超えて愛される傑作青春物語を、若手実力派キャストと弱冠26歳の新鋭・二宮健監督により新たな青春のバイブルとして映画化。チワワちゃんを取り囲む若者たちの回想を軸に進む本作。主人公のミキ役には門脇麦、チワワちゃんの元カレ・ヨシダ役には成田凌、ヨシダの親友カツオ役には寛一郎、チワワちゃんの親友ユミ役には玉城ティナ、チワワちゃん役には新人ながら大抜擢された吉田志織、さらにチワワちゃんに想いを寄せるナガイ役には村上虹郎と20代の実力派俳優が集結し、等身大の若者を熱演している。
映画『チワワちゃん』は2019年1月18日(金)より全国で公開!
監督・脚本:二宮健
原作:岡崎京子「チワワちゃん」(KADOKAWA刊)
出演:門脇麦、成田凌、寛一郎、玉城ティナ、吉田志織/村上虹郎、栗山千明(友情出演)/浅野忠信
配給:KADOKAWA
映倫区分:R15+
©2019『チワワちゃん』製作委員会