累計250万部突破の衝撃原作を『呪怨』×『リアル鬼ごっこ』のタッグが実写化した映画『がっこうぐらし!』で主演を務めたラストアイドルの阿部菜々実、長月翠、間島和奏、清原梨央にインタビューを行った。
―いろんなことが初めてだったと思います。ゾンビ映画で、アクションもありました。どんな気持ちで臨みましたか?
清原 サバイバルホラー映画ということで夜の学校で撮影するだろうなと思いました。ホラーが本当に苦手で、お化け屋敷も入ったことがないので撮影を無事終えられるのかとか、完成した作品を見れるのかというのがありました(笑)でも“彼ら”役のアクション部の方々とも協力しながらアクションシーンも作れたので、最初は怖さもありましたが問題なく臨めました。
―ホラーが苦手なんですね。
清原 すごい苦手です。怖がりだけど見たがりだったので、『がっこうぐらし!』の怖さは私にはいいホラー感でした。
―阿部さんはいかがでしたか?
阿部 私はもともと演技をしたことがなくて、演技に苦手意識を持っていたので、役に選ばれた時は不安しかなかったです。でも、監督やスタッフさんはずっと前から準備している中で、自分が今のままじゃだめだと気持ちを切り替えて、期待を裏切らないように自分が足を引っ張らないように挑みました。
―長月さんはいかがでしたか?
長月 演技のお仕事が初めてでどうしようと思いました。あと、泊まり込みで撮影するということで、1か月間、家から離れて撮影をするというのが初めてでした。いろんなことができなくなるじゃないですか。家でできることもできないし、周りも知らない土地だから生活もわからないし、そういうところにも不安を感じました。演技も初めてだったので、何から始めればいいかもわからなくて、台本の覚え方も読み方も分からなくて、生活面も含めていろいろなことを学べました。
―間島さんはいかがでしたか?
間島 私はもともとお芝居に興味があったのでやりたかったのと、『がっこうぐらし!』も映画のお話をいただく前から知っていて好きだったので、絶対に受かりたいという思いがありました。受かったときにはうれしくて「やったー!」と思ったんですけど、ファンがたくさんいる作品でもあるので、プレッシャーというか、私が悠里をやっていいのかなという不安が大きかったです。でも、最初に監督とお話をさせていただいたときに、映画ならではのリアリティがある『がっこうぐらし!』を作りましょうとおっしゃって、それを聞いて安心できたというか、その思いに応えなきゃなと思ってがんばりました。
―4人の成長が描かれています。順撮りで撮影したということで、みなさんの成長もそのまま描かれていると思いますが、ご自身で成長したと思う点はありますか?
清原 全体的に徐々にグレードアップしていったと思います。自分でも(自身が演じる)美紀の目つきを監督と相談して、するどい目つきではあるけど性格が悪いような感じにはしてほしくないとおっしゃって。でも最初のほうはかなり睨みつけてるから、自分でもこれはきついなと思いましたけど、少しずつ『がっこうぐらし!』の3人とも徐々に距離が縮まっていって、美紀の表情も少しずつやわらいでいくようなところがあるかなと思います。
―阿部さんはいかがですか?
阿部 私が変わったなと思うところはアクションに関しても最初は抵抗があったんですけど、徐々に慣れてきて、最後は本当に倒しているかのように思い切ってやれました。演技も最初はひどくて今でも見られないくらいなんですけど、環境とか撮影現場にも慣れてきたし、3人との関係性も深まってきて、最後になるにつれて自分が役に入りこめているなという感覚が実感できました。毎日徐々に楽しくなってきて、それで演技の楽しさを学べたので成長できた期間だなと思いました。
―最初はアクションに抵抗がありましたか?
阿部 そうですね、痛いんじゃないかなというのがあったんですけど、ちゃんとしたアクション部の方ですので、「思い切って来ていいよ!」とおっしゃっていただいたので思い切っていきました。
―長月さんはいかがですか?
長月 由紀ちゃんのキャラって私にすごく似ているとよく言っていただくんですけど、実際あんな感じではないんです。声も低いし、「わぁ~!」みたいな感じではないので、「適役だね」というのが結構プレッシャーで、どうやって演じたらいいんだろうと最初は思っていました。撮影の日が進むごとに最初にあった“なんか違うな”というのがなくなってきて、由紀ちゃんだったらこういう言い方をするとか、意識しなくてもできるようになってきていて、役に入り込めるようになったりとか、演技もちょっとはうまくなったんじゃないかなと今では思います。
―間島さんはいかがですか?
間島 作中でもみんなの成長が分かったと思うんですけど、中盤くらいになってきてみんなの入り込みがすごくて、自分だけ成長できてないんじゃないかと不安に駆られていて、撮影中にも焦っちゃった時期がありました。本当にみんなすごいなと思っていたんですけど、最後のシーンも順撮りだったので最後に撮ったんですけど、私はお芝居は演技というところがあって、役に入り込むというのがいまいち分かっていなかったんですけど、そのシーンで初めて感情で泣けました。そこは、役に入り込むとはこういうことなんだということが分かったシーンでもあるし、今自分で映画を見ても本当に泣いてるなと思える声をしているので、力を身に着けたと思いました。
―撮影自体も合宿されてだんだん仲が良くなれたとおっしゃっていましたが、合宿を通して見えた新たな一面やエピソードはありますか?
清原 (阿部)菜々実ちゃんとは役柄的にもアクションシーンが多かったり、美紀は(阿部演じる)胡桃ちゃんを尊敬している大好きな先輩ということだったので、監督からも「君は胡桃ラブだから」と言われて(笑)一緒に過ごしていくうちに本当に大好きになっていっちゃって・・・もともと好きなんですけどより好きが増していきました。私は普段からよくしゃべるので静かな子からは苦手に思われてるんだろうなと思っていたんですけど、インタビューとかで「(清原)梨央ちゃんがおもしろい」とか言ってくれて、“あれ、私のこと好きなのかな?”という新たな一面を知ることができました(笑)
―実際はどうですか?
阿部 めっちゃ好きです。
清原 うれしい!よかった~、生きてて!
―お2人はタイプが違いますよね。
阿部 そうですね。でも、自分が仲良くなる人ってタイプが違う人が多くて、がつがつ来てくれる人のほうが仲良くなれたりするので。自分と離れているほうがいいなと思えます。
―撮影を通して仲良くなりましたか?
阿部 そうですね、距離が縮まったかなと思います。
―長月さんはどうですか?
長月 全員に言えることなんですけど、「あそこ、こうしたほうがいいよ」とかお互いに対して絶対に言わない4人だったんです。それが映画の撮影が終わった後から、徐々にできるようになってきました。撮影を通して言えるようになりました。
―間島さんはいかがですか?
間島 ラストアイドルはユニットがあるんですけど、映画の撮影が始まるまではユニットの垣根を超えて活動することがあまりなかったんです。バトルをしていたので、部屋に仕切りみたいなのがあるんですよ(笑)だから、「しゃべれるかな?」という不安から始まりました。菜々実ちゃんは特に番組の中でバトルをした仲なので不安があったんですけど、平日は撮影で土日はアイドルの活動で毎日一緒にいたので、家族みたいになんでも言い合えるようになりました。自分の世界を保てるし、無言がつらくない関係性になれたと思います。
―番組でバトルをしているのと仲良くなるのは同時にできましたか?
間島 今回の映画の撮影中もユニットごとのバトルがありました。私とりーおん(清原)が「Someday Somewhere」というユニットで、2人(阿部と長月)は「LaLuce」というユニットで、その2つのユニットがバトルした収録が終わった後に(撮影で)栃木に行くんです。
長月 地獄みたいな気まずい空気感が・・・(笑)誰もしゃべれない。空気がやばい!
間島 みんなスマホ、みたいな(笑)でも、それ以外は仲良くなれていました。
―映画では迫りくる恐怖をみんなで乗り越えていきました。みなさんがそれぞれ乗り越えていったことはありますか?
清原 今は芸能活動をしているので人前に出ることが多いんですけど、昔は物事を挑戦する前に無理って決めつけてあきらめることや、一歩前に出ようとしないことが多かったので、『がっこうぐらし!』の映画出演が決まった時も戸惑いじゃないんですけどそういうのもありました。でも、こういうときに踏み出せないとダメだなと思って踏み出せたので、そこは心の大きな成長も感じました。昔よりも物事に挑む強さが身についたかなと思います。
―阿部さんはいかがですか?
阿部 私は3歳から芸能活動をしていてずっとアイドルになりたくてアイドルしかしてこなかったんですけど、ラストアイドルに入る前はチャンスもないし、子どもだから自分で行動に移せるわけでもなく、夢だけを見て毎回同じ会場で同じ曲だけを歌うという時が続きました。小学校から中学校までアイドルしかやってこなかったから、アイドル以外のことはできないけど、アイドル活動でもうまくいっていないことが何年も続いていたんですけど、ラストアイドルのオーディションに挑戦したことで見てくれる人が増えましたし、今までがんばってきてよかったなと思えました。ラストアイドルになってすごく忙しいことがあっても、昔は忙しくなることが夢だったので、そのことを思い出して、今は何でもがんばれているので、乗り越えたなと思っています。
―長月さんはいかがですか?
長月 ついこの前までラストアイドルは団体行動で“歩く芸術”というのに挑戦していたんですけど、まさに『がっこうぐらし!』みたいな感じで結構なサバイバルでした。清原(伸彦)監督がいらっしゃるんですけど、監督を(映画の)“彼ら”に置き換えたときに迫りくるというか・・・(笑)私は結構ボコボコにされたので嫌で仕方がなかったんですけど、最後には感動したし、できたときの喜びがうれしかったです。今ラストアイドルは絶好調なんですけど、“歩く芸術”があったからこそ今の結果にでているので、そこに被るなと思います。
―間島さんはいかがですか?
間島 私は小学生のころからアイドルグループに憧れていて、オーディションも1000回くらい受けたんですけど毎回不合格を言い渡されて、不合格を言い渡されるたびに「自分はいらないんだ」とネガティブになってしまいました。高校2年生のころは受験もあったので芸能界の夢をやめようと思ったんですけど、お母さんが支えてくれてなんとかラストアイドルになれて、こうやって自分の曲と衣装がもらえて、映画にも出させてもらってあきらめないでよかったと思います。
―DVDにはメイキング映像も収録されます。今思い出すようなハプニングなどはありますか?
清原 スパゲティを食べるシーンで、私が飲み込んで「おいしい!」と言うんです。でも、私が飲み込んですぐに言わなきゃいけないのに、現場入りして日が経っていなかったので緊張していて口がパサパサで、スパゲティもうるおいが足りてなくて、そこで結構NG出しちゃいました。もっと違うところで意気込んでいたんですけど、そこが難しかったです。
―阿部さんはありますか?
阿部 最後のシーンの撮影を、近くで見学していたんですけど、ケータイでTwitterを見ちゃったんです。それでスクロールしていたら動画が流れてしまって、「風よ吹け!」という自分たちの曲が大音量で流れてしまったという・・・。今思い出すだけで冷や汗が出るほど焦りました。
―長月さんはいかがですか?
長月 私結構いろんなことをやらかしていて(笑)体育倉庫のシーンがあるんですけど、撮影時間がめちゃめちゃ長くて。みんなもそうですが忙しくて寝る時間がなかったので、保健室のベッドで寝かせてもらっていたんです。そうしたら私結構寝ちゃってて・・・5時間くらい寝ちゃってたんです。それで急にスタッフさんに起こされて、「本当にごめんなさい。今日撮影なくなりました」って言われて、私この日にした仕事が現場入ってメイクして保健室で寝ただけだったんです。私こんなのでいいのかなと思ったんですけど、2人ががんばっていて素敵なシーンができあがっていてよかったです。
―間島さんはいかがですか?
間島 私はどちらかというと楽しい思い出が多いです。屋上でみんなで寝転がって星空を見るシーンがあるんですけど、まず屋上に上れたことが楽しくて、興奮して、みんなで写真を撮ったりしました。あのシーンはいい感じにできてるんですけど、結構光を当てていたのでめちゃめちゃ虫が身体につくんです。それをみんなで「耐えて!耐えて!」って言いながら撮ったのも結構いい思い出でした。そういう学生生活を楽しんでいる映像が使われていたらうれしいです。
―ところで、映画の中のように世の中がゾンビだらけになったらどうしますか?
清原 逃げますね。映画でも何回かかまれそうになっていますし、絶対にそういうのが嫌なので立ち向かう=命の危機が伴うってことじゃないですか。正直自分だけはどうしても死にたくないので、戦えそうな人を前に押し出して、それで隠れます。
―阿部さんはどうですか?
阿部 私は『がっこうぐらし!』の撮影をしてから、夢で『がっこうぐらし!』風になってしまう夢を見るようになってしまいました。ショッピングモールにいて、もう一人全然知らないんですけど夢の中だけの友だちが、すごい強い女の子で、その子についていってまず屋上に行って、屋上から飛び移っていろんなビルに行くっていう夢を見ました。誰かがいれば極限まで一緒に逃げて、いざとなったら戦うかなと思います。
―その友達がゾンビになったらどうします?
阿部 殺そうとはしますけどたぶん・・・できるかはわかりません(笑)
―長月さんはいかがですか?
長月 「PUBG」というゲームがあるんですけど、そういうゲームが好きなので、真っ先に街中に行って戦闘すると思うんです。ちょっと力試ししたくて。私はいつ死んでもいいように生きてるんです。毎日好きなことをやって明日死んでも後悔しないぞという生き方を選んで生きているので、その場でかまれてもいいんです。でも、なるべく家族はや周りの好きな人じゃないと嫌なんですけど、いつかまれてもいいので、追っかけて戦ってみたいなと思います。
―間島さんはいかがですか?
間島 私は命の危機というのが苦手で普段から結構考えるんです。エレベーター降りて、ここにプロの組織が来たらやばいなとか、結構そういうのを考えています。夜寝るときに朝起きたらお母さんがいなくなっていたらどうしようとか、対策を頭でいつも考えてるんです。私はもしこういう世界になったら、ゾンビのフリをして国会議事堂とか日本で一番安全そうなところに逃げます。
―そこまで行けますかね?(笑)
間島 必死になって対策を考えると思います。
―今お話を聞いていると映画の役柄とみなさんの個性がだいぶ違うと思います。自分はこういう人間だというのを一言で表現するとしたらどのような言葉ですか?
清原 へたれです。へたれじゃないつもりで生きていたんですけど、番組の企画でバンジージャンプを飛ぶことになって、一人だけ飛べずに終わって、そこからへたれになりました。そのあとバカ一番を決めるテストで一位になってバカになっちゃって。“歩く芸術”でも体力が及ばずリタイアすることになり、つい最近身体を壊して入院することになり、ただのへたれですね(笑)
―阿部さんはいかがですか?
阿部 ポジティブです。昔はネガティブだったんですけど、いろんなことを経験して、いろんな人の意見を取り入れた結果、ポジティブになったなと思います。
―長月さんはいかがですか?
長月 私は人間の悪いところを詰め込みました。生存意欲が強すぎというか、明日死んでもいいんですけど、でも今日はこうやって生きてやろうとか、それが人の3倍くらい強いんです。たぶん欲が多いんです。あれもしたいし、これもしたい。でもなにもしたくないこともあるし。人間って感じなんですよ。生き方が。だから(一言で表現すると)人間です。
―間島さんはいかがですか?
間島 私はバカまじめなB型。今まで19年生きてきて、まじめしか取り柄がなくて、でもどこか世渡り上手なところが必要じゃないですか。仕事をしていてもただまじめにできないんですよ。だからバカまじめだなと思っています。“B型の説明書”みたいな本があったじゃないですか。よくわかるんですよ。それめっちゃ私だと思ってB型だと思って生きてきたのですが。
【写真・文/編集部】
シャベルを愛する胡桃(阿部菜々実)、ムードメーカーの由紀(長月翠)、みんなのリーダー的存在の悠里(間島和奏)は、私立巡ヶ丘学院高等学校・学園生活部に所属する女子高生。学校で寝泊まりし、24時間共同生活を送る学園生活部で“がっこうぐらし”を満喫中だ。しかし元気いっぱいの由紀を、教室の外から胡桃と悠里は心配そうに見つめている。そこには、机や椅子が無惨に倒された教室にぽつんと立つ由紀の姿が。床には割れたガラスの破片が飛び散り、カーテンや黒板には血の跡がベッタリ。そして校舎の中庭には痛みを感じない“かれら”がうろついている・・・。学園生活部の活動とは、すなわち“かれら”の脅威から身を守りサバイブすること。ある日、食料を調達しに行った胡桃と悠里は、ひとり生き延びていた美紀(清原梨央)を発見、一緒に暮らすことになった。だが、そんな日々も長くは続かない。最大の危機が彼女たちに襲いかかる・・・。
映画『がっこうぐらし!』ブルーレイ&DVDは好評発売&レンタル中!
■ブルーレイ 4,700円(税抜)
■DVD 3,800円(税抜)
監督・脚本:柴田一成
出演:阿部菜々実、長月翠、間島和奏、清原梨央(ラストアイドル)、金子大地/おのののか
発売・販売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント
©2019映画『がっこうぐらし!』製作委員会