『プリズン13』堀田真由 インタビュー

INTERVIEW

映画『プリズン13』で主演を務める堀田真由にインタビューを行った。

―本作のオファーを受けたときのお気持ちをお聞かせください。
堀田 この作品の前に「3年A組-今から皆さんは、人質です-」という密室で繰り広げられるドラマをやらせていただいて、今回は教室ではなく監獄でしたが、密室での作品に縁を感じました。(本作の基になった)スタンフォード大学での実験は知らなかったので、オファーを受けてから調べました。私たちはリアリティを求めてこの作品を作りましたが、撮影では家に帰ったりすることができるので、そこは違いましたが、これが実際にあったのかと思うと恐ろしく感じました。

―「狭いところが得意ではない」とお聞きしました。“密室での作品”が続きましたがいかがでしたか?
堀田 狭い空間は苦手なんですけど、現場はそういった感じはしませんでした。もっと狭い空間が苦手なんだと思います。飛行機とか苦手ですね。高いところも得意じゃないです。ジェットコースターは好きなんですけどフリーフォールみたいに下に落ちるタイプが苦手で一時期は飛行機にあまり乗りたくないこともありました。

―厳しい撮影が想像されますが、クランクイン前に準備したことはありますか?
堀田 気持ちの切り替えを大切したくて、順撮りにしていただきました。その中で生まれるものとか、そこでの空間を楽しみたいなと思っていたので、マリという役はこういう性格かなというのは考えましたけど、“このセリフはこう言おう”というのはあまり考えずに、その場に行ってどう感じたかというのを大切にしました。

―現場は緊迫した空気はありましたか?
堀田 最後に近いシーンは緊迫感がありました。

―演じる上で大切にしたことはありましたか?
堀田 スタンフォード大学の実験とか、元ネタになっていることがあるからこそ役作りの一環としての素材として、ほかの作品で同じテーマの作品を見ました。その中でもいろんな性格の方がいて、マリみたいに気が弱い人がいたりして、暴力的になってしまう人もいたり、いろんな人がいるので、私はこの存在でいようというのは気をつけました。

―演じてみて自分との共通点はありましたか?
堀田 少人数の時は自分の意見を言えるんですけど、大人数になると聞き手に回るタイプなのでそういうところはマリちゃんっぽいなと思いました。マリちゃんが強くなった時に自分の意見を言えたり、貫き通すところは、私も譲れないところは譲れないということがあるので、そういう強さみたいなところは似ていると思いました。他の役者のみなさんはどういう風に来るんだろうとか、セリフがない場面は見ていました。

―カメラを12台使っていたということですが、どのように使用されていたのですか?
堀田 看守役は頭につけていたんですけど、これを含めての12台です。自分がしゃべってなくても誰かが振り向いたら映っちゃうので、自分のセリフがないときもその場にいないといけないのがほかの作品とは違いました。お昼ご飯とか夜ご飯以外はずっと監獄のところにいました。

―気が抜けないですね。
堀田 そうなんです。どこが映っているのかわからないので。

―この作品だからこそ難しかったところはありますか?
堀田 弱いところから強くなっていく心の変化を大切にしたかったです。伏線もなくいきなり変わると“どうしたんだろう”となるので、その過程の切り替わる瞬間が大事だと思いました。

―実際に完成した映画をご覧になっていかがでしたか?
堀田 まず12台のカメラというのがどうなっているんだろうというのが撮影しているときからずっと気になっていました。映像がでてきたときは、「なるほど、こういうふうになっているんだ」とか、カメラの距離感がリアルでした。

―リアリティを出すために工夫をしたことはありますか?
堀田 叫んでいるシーンでは台本上ではセリフがあったんですけど、実際に気持ちが上がっちゃうとその通りに出てこなかったり、もう一回やったときに同じようには言えてなかったりしました。その時に監督が「言えるのだけでいいし、自分で思ったのを言っていいよ」と言ってくださって、割とアドリブになったりしました。「気持ちが出ちゃったらそのままでいいよ」とおっしゃってくださいました。

―今回若手キャストが集まっている中で、主演を務めることでみんなを引っ張っていく部分はありましたか?
堀田 内容が内容なので、監獄じゃない部分はみなさんと楽しく過ごせたらなというか、盛り上げられたらなというのがあったので、できるだけみなさんとコミュニケーションを取ろうとしました。でも、楽しいまま現場に入っちゃうとシリアスな雰囲気にならないので、芝居をするときにはカメラが回る前から「うわぁーーー!」と声を出してみたり、芝居でも共演者のみなさんのテンションを上げれればと考えていました。

―監獄だからといって、ずっとそういった雰囲気だとしんどいですよね。
堀田 本当にしんどいです。空気も薄いし(笑)

―初共演の方が多いですね。
堀田 前野(朋哉)さんは朝ドラでご一緒させていただきました。年上の先輩ばかりでみなさんとてもやさしいく休憩中とかは撮影中とは打って変わって穏やかでした。。岡部(尚)さんは同じTシャツを持っていて、私が本読みの時に着ていたんですけど、最終日に「あのTシャツ、実はおれも持ってるんだよね」っておっしゃって。“ダイナソーJr.”というバンドの方のジャケ写のTシャツだったんですけど、「え、持ってたんですか?」って(笑)

―監督も初めてですね。
堀田 初めましてでした。カメラに向かって自己紹介するシーンだけがっちりと絡められていました。セリフはアドリブで作っていたりするんですけど。そのあとはリアリティを求めるために「ああしよう、こうしよう」とは言われなかったですけど、「それだけじゃ伝わらない」とか「全然わからない」とか追い込まれましたね。ある意味それが自分の役にはあっているので、「悔しい!今日も追い込まれる!」って思いながら毎日撮影していました。状況的に役にぴったりだったので、そういう意図もあって監督は追い込んでいたのかもしれません。

―この作品の後に公開作品が続いていますね。撮影は大変だったのではないですか?
堀田 意外と撮影期間がかぶっていなくて、2年前に撮ったのも1つあって、あとは去年の秋に撮ったのが2つと今年の3月に撮りました。この映画は6月に撮っていたので、このあと6作品くらい続くんですけど、「大変ですね」って言われるんですけど実はそんなことないです。

―今年の6月に撮影したんですね。
堀田 そうです、撮って出しというか、この間撮っていたという感じでした。遠い昔のようですが(笑)

―いろいろな作品に出演していますよね。
堀田 この後続く6作がどれも全然違う役をやらせていただいています。自分で強みって何だろうって考えることが多く、21歳という歳の前後の女優さんってとても多いので、その中でどういう風に自分の魅力を出していけるかなと考える中で、6作続く中で違うことをやれるのはある意味自分の強みかなと思いました。“強い役だったらこの人”とか、イメージを貫くことも大事だしかっこいいんですけど、違う顔ができるのも自分は強いのかもしれないと思いました。この後も挑戦したことがない役をすごくやりたいなと思っています。

―去年取材をさせていただいた時に、いろいろな役をやりたいっておっしゃっていました。今回はサスペンスのような物語ですが、まだまだやりたいことはいっぱいありますか?
堀田 医療ものとかやりたいですね。手術シーンとかリアルだと苦手かもしれませんが。今は私も制服着る役が多いですけど、まだまだ触れてない職業ってあると思うんです。そういった方たちはどうやって生きているんだろうと思っています。『空飛ぶタイヤ』という映画を見たときに衝撃を受けて、まだまだ職業とかやられていない作品を自分が演じられたらいいなというのが憧れですね。

―次から次へとやりたいと思うバイタリティの源はなんですか?
堀田 やっぱり同世代ががんばっていらっしゃると私もがんばらなきゃなと思います。地元の友だちとかでも、違う方向で頑張っているからこそ私も目の前にある仕事をがんばろうって思えますし。そういう方たちと話をしたり見ているととても刺激を受けるので、負けず嫌いなところがあるのかなと思います。

―最後に本作を楽しみにしている方にメッセージをお願いします。
堀田 スタンフォード大学であった実験を基にして、海外の作品では男性だけですが、今回は男女なので、そういう心理的な違いのおもしろさもありますし、マリだけじゃなくて看守の見方、囚人としての見方、マリというキャラクター、ほかのキャラクター、いろんな目線に立って何通りでも見れるリアリティのある作品になっているので、そういう部分を何通りにでも、何度でも見てもらえたらいいなと思います。

STORY
本作は、1971年に実施された世界で最も邪悪な心理学実験として知られる“スタンフォード監獄実験”を基に描く、未体験・密室サスペンスゲームムービー。女子大生のマリは、人気Vtuberソフィアの公開実験に参加するが実験現場に到着すると、そこには4メートル四方の巨大な監獄が。これから行われる実験は、12人の被験者を看守と囚人に分け、監獄生活を疑似体験させる“監獄実験”。ソフィアは、そこで立場や役割によって人格が変化するかを確かめるという。7日間、この奇妙な部屋で看守になることになったマリ。しかし、実験は次第にエスカレートしていき、ついに死者が出てしまう―。監獄実験に参加することになった主人公マリ役を演じるのは堀田真由。監獄の中の心理実験という極限状態に追い込まれた演技に挑戦する。


TRAILER

DATA
映画『プリズン13』は2019年8月30日(金)よりシネマート新宿・心斎橋ほかで公開!
監督・脚本:渡辺謙作
出演:堀田真由、中島健、岩井拳士朗、矢野優花、芹澤興人、宇野祥平、伊藤麻実子、立石晴香、岡部尚、宮下かな子、岡本智礼、近野萌子、前野朋哉、板野友美
配給:AMGエンタテインメント
©2019「プリズン13」製作委員会

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