映画『下忍 青い影』で主演を務める結木滉星にインタビューを行った。
―オファーを受けた時のお気持ちをお聞かせください。
結木 単独で主演は初めてだったのでプレッシャーはありましたが、キャストの方々の力をお借りして甘えようかなと思いました。その中で自分が楽しんで、それが伝わればいいなと思い、とにかくこの現場を1か月間楽しめればいいなと思いました。
―撮影を振り返っての感想をお聞かせいただけますか。
結木 1か月弱の撮影期間、日光にいました。僕が一番長くいたんですけど、タイトなスケジュールでした。『赤い影』と並行して撮っていたので感情が忙しかったです。肌を黒く塗っていたので、それが一番大変でした。体づくりは、家でできる筋トレなどをやっていました。
―殺陣の稽古も行いましたか?
結木 約1か月間やりました。ハードだったので痩せました。3㎏くらい落ちました。
―時代劇は初挑戦ですよね。
結木 初挑戦です。衣装が初めて着るようなものばかりだったので、慣れるまでに時間がかかりましたし、それを着ながらアクションをするのが大変でした。重たいですし、動きも制限されちゃう衣装なので苦労しました。
―現場の雰囲気はいかがでしたか?
結木 楽しかったです。寛ちゃんとか、(中谷)太郎ちゃんが参加してきてくれた時は男子校みたいに楽しめました。ホテルの大浴場に3人で入ったりして合宿みたいで楽しかったです。
―坂口拓さんがアクション監修を担当しています。
結木 拓さんが僕のポジションに入っていただいて、それを映していただくことがあったので贅沢だと思いました。
―役へのアプローチはどのように行いましたか?
結木 アクションシーンがあると聞いていたので、事前に拓さんに参考になる映画を教えていただいたり、あとは台本を読んでいました。
―台本を読んでいかがでしたか?
結木 (自身が演じる)尚は若いのに土台ができているなと思いました。『赤い影』から読んだんですけど、それから『青い影』を読んだら、“そういうことだったのか”というのがわかったので、そのメリハリは意識しようと思いました。
―あまり言葉で語らないキャラクターですよね。
結木 言葉には発していないけど感情を表情で表現しました。
―『赤い影』と『青い影』の演じ分けはどのように行いましたか?
結木 だいぶ違って見えますよね。『赤い影』は『赤い影』で考えて一度忘れて、リセットしましたが、並行して撮っていたので難しかったです。
―どちらの尚がお気に入りですか?
結木 難しいんですけど、やっていて楽しかったのは『青い影』です。感情のままというか、素直な気持ちで演じられました。『赤い影』の尚は単純にかっこいいので、アクションもかっこいいし、一番強い状態の尚なのでそこはお気に入りです。
―完成した映画をご覧になっていかがでしたか?
結木 感慨深いです。1か月の撮影を思い出して。でもそれがちゃんと物語になっていて。1か月間日光にこもってよかったなと思いました。
―寛一郎さんと共演していますが印象はいかがでしたか?
結木 寛ちゃんが持っている雰囲気が好きですね。年下だけど落ち着いていて常にリラックスしているのでそこは見習いたいと思いました。
―寛一郎さんと仲良くなったきっかけはありますか?
結木 普通に話しているときですかね。話していて意気投合して、でもやっぱりワンカットアクションをやった日からの絆は深いものがあって。その日にお酒を飲んでから、東京でも飲もうよってなって、東京に戻ってからも飲んでるので。ワンカットというすごい緊張感の中でお互いに達成感を共有できたのはいい思い出ですね。
―1か月間合宿のような撮影だということですが、どのような1か月でしたか?
結木 朝から晩まで、それで風呂に浸かってましたね。寛ちゃんと出会えたのは大きかったですね。終わってからも飲みに行ったりしています。連絡も頻繁にとるようになりました。あの映画であの時間を同じような立ち位置で共有できたのは素敵な時間だと思いました。
―刀と釵(さい)はどちらが使いやすいですか?
結木 やっぱり刀です。ずっと刀を使って練習していたのと、尚のスタイルが順手ではなくて逆手なので。
―撮影前日に急遽ワンカットに変わったと聞きました。
結木 大変でした(笑)拓さんが僕らだったらできると見込んでくれたからなので、その期待には応えたいと思いました。前日に言われて、当日動きをつけられたので、撮影中にも「教えてください」というんですけど、拓さんは「これ以上練習するな」とおっしゃっていました。ワンカットアクションの後で、寛ちゃんとホテルで飲んだお酒がめちゃめちゃうまかったです。
―何回か撮影をしたんですか?
結木 アクション自体は問題なかったんですけど、スタッフさんの映り込みだったり、閉まっていなければいけないふすまが開いていたり、機材が映っちゃったりして、計3回やりました。満足はしていなかったんですけど、拓さんが「これ以上やっても最初のやつは越えられない」と。
―ケガはしなかったですか?
結木 ケガはないです。相手はプロなので、そこは安心して斬らせていただきました。当ててこいと言って、当てないと怒られるので。槍とは大変でしたね。役者同士なので合わせるのが怖かったです。慣れていないので。本番で槍が軽くなったんですけど、軽いと早くなるので大変でした。
―本作でもっとも挑戦だと思ったことはありますか?
結木 ここまでアクションをやることはなかったし、拓さんに教えてもらう機会はないと思うので、アクションは全体的にがんばったと思います。あとワンカットアクションをやる前の緊張感は今でも忘れないし、終わった時の達成感はすごいものだったので、ワンカットアクションにしてくれた拓さんに感謝したいです。
―2月で「ルパパト」終わりましたが、その後の役者人生に与えた影響はありますか?
結木 一年間同じ役を演じさせてもらう機会はなかなかないと思うので、役者をやっていくうえでターニングポイントになりましたし、原点になって、土台となる部分はできたと思います。役者をやっていくうえでいろんなタイミングで思い出すと思います。
―今後挑戦したい役はありますか?
結木 サイコパスみたいな役をやってみたいです。悪役。
―悪役へのあこがれがあるんですか?
結木 普通の人なんだけどこんなに人を殺していたんだとか、内に秘めている怖さがある役をやってみたいです。
―どんな俳優になりたいですか?
結木 藤原竜也さんみたいな俳優になりたいです。役なんだけど藤原竜也さんにしかできない。そういう役者になりたいです。
―この作品でそういった部分は出せましたか?
結木 どの現場に行っても自分らしくというのは、自分が思ったようにやりたいと思っています。見る人次第になっちゃうかもしれないけど、それは常に意識しています。
―この作品はご自身にとってどんな作品になりましたか?
結木 「ルパパト」が終わって、新たなスタートというか、また新境地じゃないけど、まだ一からのスタートが切れたと思っています。クランクアップして東京に戻ってきたときは達成感がありました。
―撮影中に思い出深いことはありますか?
結木 黒塗りは本当に大変でした。毎日塗っていたので。多分日焼けサロンに行ったほうが楽だったと思います。メイクさんは大変だと思うので感謝しています。落とすのに毎回1時間くらいかかるので。江戸村でシャワーを浴びるのを繰り返して大変でした。取材の時に絶対に言おうと思っていたので言えてよかったです(笑)
本作は、日本最高峰のアクションチームが放つ、本格忍者アクション。時は幕末、鳥羽伏見の戦い。誰もが知る歴史の裏側で、緻密な諜報戦が繰り広げられていた。戦いの導火線となった、忍者組織の最下層である「下忍」の末裔「竜」と琉球武術の使い手「尚」。ふたりの忍びの知られざる活躍を描く。『下忍 赤い影』の主演は寛一郎。『ナミヤ雑貨店の奇蹟』『菊とギロチン』で数々の新人賞を受賞した実力派俳優が、壮絶なる死闘に挑んだ。そして、『下忍 青い影』の主演は「快盗戦隊ルパンレンジャーVS 警察戦隊パトレンジャー」でパトレン1号・朝加圭一郎役を好演し、今回さらに進化したアクションに挑んだ結木滉星。二作品を通して『HiGH&LOW THE RED RAIN』のアクション監督、『キングダム』左慈役でも注目された坂口拓がアクション監修を手掛け、『デメキン』の山口義高が大ヒット作『猫侍』以来の時代劇映画のメガホンをとる。
映画『下忍 青い影』はシネマート新宿・心斎橋ほかで公開中!
映画『下忍 赤い影』は2019年12月4日(水) よりDVDレンタル・発売開始!
監督:山口義高
『下忍 赤い影』
出演:寛一郎、山口まゆ、結木滉星、中谷太郎、行平あい佳、PANTA(頭脳警察)、榊英雄、津田寛治
『下忍 青い影』
出演:結木滉星、寛一郎、三上紗弥、菜葉菜、山本千尋、行平あい佳、榊英雄、須賀貴匡、津田寛治
配給:AMGエンタテインメント
©2019「下忍」製作委員会