『地獄少女』白石晃士監督 インタビュー

INTERVIEW

都市伝説から始まる報復代行〈地獄送り〉ホラー『地獄少女』のブルーレイ&DVD発売記念して、白石晃士監督にインタビューを行った。

TVアニメや少女漫画で人気の作品ですが、実写化するにあたって心掛けたことはありますか?

監督 作品の核となっている部分と、キャラクターの根本的な魅力を失わないように、どのように実写の表現に変換するか気を付けました。

原作の設定を生かしつつもオリジナルのエピソードとなっています。脚本を書くうえで意識したことはありますか?

監督 少女漫画ではありますが、いわゆる低年齢向けの作品にするつもりはありませんでした。アニメ版も残酷なシーンはありますが、アニメならではのやり方で和らげているんです。で、今回は自分に依頼するからには「割とやっちゃっていいんですね」っていう(笑)ただ本質的には自分はいつも小中学生に向けて作っているつもりなので、今回の作品も残酷な描写、過酷な内容も含めて小中学生に見てもらいたいなと一番にはそう思って作ったつもりです。

“閻魔あい”の表現がとてもきれいだと思いました。今回玉城ティナさんを起用した理由はどこですか?

監督 閻魔あいというキャラクターは、人の形をしているけど人ならざる存在です。アニメが持っている雰囲気やミステリアスさ、ある種の怖さをぱっと見で感じさせる人じゃないと、閻魔あいは難しいと思いました。なかなかこの人だと思う人に思い当たらずに悩んだんですけど、玉城さんという案が出た時に、「そういえば玉城さんがいましたね!」となりました。見た目で閻魔あいのようなキャラクターを託すことができ、芝居でもミステリアスさを表現できるのは玉城さんしか思い浮かばなかったので、“やっとたどり着けた!”と思ってお願いしました。

アニメや漫画では閻魔あいというキャラクターを掘り下げたり、仲間といるシーンがありますが、実写映画ではありませんね。

監督 閻魔あいは(アニメで閻魔あいに付き従う)三藁の3人としゃべればしゃべるほど人間らしくなってしまいます。ミステリアスさが失われてしまう。アニメとか漫画ではそういったことはないんですけど、実写で生身の人間がベラベラ喋るとどんどん“人間なんだ”となってしまうので、それを避けるためというのが一番大きいです。親しみと人間味をなるべく出さないようにそのようにしました。そうでなければアニメのような雰囲気を保てなかったと思います。

森七菜さんと仁村紗和さんは二人のヒロインにも思えました。玉城さんとの3人のバランスはどのように分けましたか?

監督 これは元々が少女漫画で、女性も見れるちょっと怖い復讐の映画を目指しました。女性たちの世界を描いた方が原作の雰囲気に近くなると思ったので、キャストも女性メインで考えました。閻魔あいの玉城さんは感情を表に出さないミステリアスな存在。南條遥役の仁村さんはワイルドな激しい子。市川美保役の森さんはフラットで明るいごく普通の子にしたくて3人のバランスを考えて配置しました。御厨早苗役の大場美奈さん(SKE48)は、華やかなシーンが一瞬しかない、ダークな感情に囚われ続ける子、ということでバランスを考えました。

森さんをはじめフレッシュなキャストが出演しています。キャスティングについて伺えますか?

監督 森さんは、私は存在を知らなかったんですけど、キャスティングを進めていく中で「いい子がいますよ」と勧められてお会いしました。まだ地元にいて擦れてない感じがしました。東京にはいない感じの女の子で、純粋さや天真爛漫さを素直に表現できると感じました。その時はあまり知られていなかったけど、後々知られていくだろうなという子と仕事ができる、そういう子をメインに据えて撮れるのは監督としてはうれしいことなので、“みなさんが大丈夫だったらやらせてください”と。

結構表現がすごいですよね。

監督 とても上手に吐いてくれましたね。もちろん本物ではないんですけどね(笑)

記者の工藤役を演じる波岡一喜さんは牛乳が好きという設定もありますが、キャラ付けはどのように行いましたか?

監督 ただ普通にコーヒーを飲んでいるより、牛乳を飲んでいたほうが、“酒は飲めないのかな?”とか“ダーティな取材もするけど子供っぽいところもあるんだ”と思えて見ている人から好ましい存在になると思いました。愛嬌のある感じにしたかったので。

ほかのキャストの設定に関しては何かありますか?

監督 仁村さんが演じる遥は手が早いですね。すぐに暴力をふるうキャラクターが好きなので(笑)自分を解放して、暴力も思ったように振るうというのがチャームポイントですね(笑)

蹴りとか入っていますよね。

監督 アクション指導の方にアクションをつけていただきつつ、なるべく鋭くて、なるべく痛そうな感じ、容赦ないという感じになるよう演じてもらいました。

ライブのシーンがあります。このシーンについて伺えますか?

監督 自分もライブを見るのは好きなんですけど、その躍動感とか、“わ~”っとためてから盛り上がって曲が始まる感じとか、自分が感じているライブの盛り上がりのかっこよさを出せたらなと思って演出しました。

監督の作品は色やライティングが特徴な気がします。

監督 お任せはしているのですけど、原作にもありますが閻魔あいをイメージするものとして赤いものが使われていたり、目が赤くなるというのもあります。“あいは赤いイメージ”というのはありました。Jホラーは華やかな映像は使わない傾向にあるので、そういうのはつまらないなと思っていて、今回はホラー要素はありますが、いろんな色を使いました。毒々しさがあるのと同時に、美しい感じにしようという狙いです。地獄絵みたいなニュアンスをサイケデリックな色調で表現できると目新しさがあっておもしろいと思いました。

撮影中のエピソードで印象的なことはありますか?

監督 現場で玉城さんが童謡の節回しがすごくオリジナルになってしまって(笑)決して下手ではなく上手いんですけど、オリジナルの節回しになって『こっちなんですけど・・・』って伝えてもなかなか直らなくて。アフレコしてもらって事なきを得ました(笑)知らない童謡もあったみたいで、やっぱり今の若い人はこれは知らないんだとか、自分は子どもの頃に教えられた歌でも、教えられなかったりもするんだなと思って新鮮でした。

まもなくブルーレイとDVDで発売されます。改めて見どころや注目してもらいたいところがあれば教えてください。

監督 劇場では一瞬で見終わってしまう地獄関連のシーンも細かく見れば作りこんでいるので、注目してもらえればうれしいです。

『地獄少女』ブルーレイ

『地獄少女』DVD

【写真・文/編集部】

STORY
世の物に在らざる佇まいで演じるのは、話題作への出演が続く玉城ティナ。地獄通信にアクセスし、地獄少女と契約する女子高生の市川美保には、新人ながら「3年A組 ―今から皆さんは、人質です―」での好演で今最も注目される若手女優の森七菜、美保の親友、南條遥には数多くのCM出演で話題の仁村紗和と、若手演技派俳優の注目株が集められた。さらに、アイドルの御厨早苗役をSKE48の大場美奈が演じている。地獄少女と女子高生とアイドルが繰り広げる、赤黒くキラキラと輝く、世界に一つだけの戦慄の青春。白石晃士監督メイドの最凶の〈地獄映像〉で放つ、切なくも美しい地獄送りアトラクションムービーが完成した―。


TRAILER

DATA
映画『地獄少女』ブルーレイ&DVDは2020年5月8日(金)発売!
■Blu-ray 4,700円(税抜)
■DVD 3,800円(税抜)
※同日よりブルーレイ、DVDレンタル開始
監督・脚本:白石晃士
出演:玉城ティナ、橋本マナミ、楽駆、麿赤兒、森七菜、仁村紗和、大場美奈(SKE48)、森優作、片岡礼子、成田瑛基/藤田富、波岡一喜
発売・販売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント
©地獄少女プロジェクト/2019 映画『地獄少女』製作委員会

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