『うみべの女の子』石川瑠華 インタビュー

INTERVIEW

『うみべの女の子』で磯辺恵介役の青木柚とともにW主演を務める、佐藤小梅役を演じた石川瑠華にインタビューを行った。

本作のオーディション会場には、原作者の浅野いにおさんもいらっしゃったそうですね。

石川 いらっしゃることは知らなかったのですが、存在とお顔は知っていたので、そこで初めて「浅野さんだ」と思いました。ただ、それどころじゃなかったです(笑)原作者の方も込みで完成するものなので、手放しにせずに、そこに携わっていただけるのは非常にありがたいことです。

オーディションには制服を着ていったと聞きました。

石川 学生役のオーディションに行くときは制服を着ていこうと決めているんです。自分の学生時代の制服ではないんですけど、自分が安心するために着ていきました。

気分を作るために?

石川 鏡を見て、“自分がこの人だ”という認識が欲しくて着ています。

台本を読んだ時の印象はありますか?

石川 セリフが漫画とあまり変わらなくて、“このままやるんだ”と思いました。漫画全部をやるわけではないから、“このシーンなくなったんだ!”とか、“このシーンはある!”っていう喜びや悲しみがありました。

惹かれた点はありましたか?

石川 漫画の中で大事なシーンだったり、漫画で強く惹かれたシーンは脚本に描かれていたので、喜びは多かったです。

それは具体的にはどのあたりですか?

石川 台風の描写で、漫画でもいいなと思ったし、実際に完成した映画でも見たらいいなと思いました。ただ、どうしても脚本だとボリューム感が想像できなかったです。あと、服を着て横になってるところとか、二人がポツリと話すシーンは、いいシーンにできたらなと思っていました。

役作りで意識していたことはありますか?

石川 小梅は私とは別世界の人だったので、まずは外見から入りました。普段は聞いている音楽から入ることとかが多いんですけど、今回は中学生っぽい服を買って、撮影の前の期間に着ていたりしました。あとは話し方とか、浅野さんが漫画の中で描いている“小梅の手紙”があるので、小梅の字を練習しました(笑)

自分とは異なる部分が多かったですか?

石川 気持ちの部分では一致しているところもあるんですけど、こういう世界で自分は生きてなかったし、自分が変わらなきゃいけないと思ったので、そういった方法で探りました。

事前にリハーサルを重ねたと聞きましたが、リハーサルはいかがでしたか?

石川 私はリハーサルがあったほうが嬉しいです。ただ、あまりリハーサルでキャスト同士の距離を縮めるということはなくて、どういう声を出すんだろうとか、どういう話し方をするんだろうということを見る時間でした。

今回はみなさん初共演だったと思いますがいかがでしたか?

石川 学校パートの撮影が最初だったのですが、学校パートはみんなでワイワイという撮影が多くて、同じ教室にいると嫌でも話すというか(笑)なので仲良くなりました。控室も一緒で、他愛もない話をしたりもしました。深いことはなにもしゃべらなかったです(笑)

第一印象とイメージが変わった人はいましたか?

石川 第一印象って魅力的な人は“謎だな”と思うことが多いので、私はそこまで決めつけないようにはしているんですけど、不思議だったのはみんな自分との距離感が役と同じようでした。みんなの力なのかな(笑)青木柚くんも、中田青渚ちゃんも、前田旺志郎くんも、主にこの4人で学校にいたんですけど、本当に小梅と磯辺(青木柚)、小梅と桂子(中田青渚)、小梅と鹿島(前田旺志郎)の距離感でいました。この3人に対して、みんな接し方が違ったし、それも小梅のものとして受け入れたのでおもしろかったです。役がマッチしていたので、とてもいい距離感で話していました。

印象的だった場所やシーンはありますか?

石川 磯辺の家は本棚に漫画が詰まってて、CDもいっぱいあって、印象に残っています。周りのスタッフさんのものとか、美術さんがモノを集めて磯辺の部屋を作り上げたんですけど、私自身はそこまでサブカルチャーを知らなかったので、スタッフさんが教えてくれるのが興味深かったです。磯辺にとってはつらい部屋だったと思うんですけど、私は小梅みたいに楽しんで吸収していました。こんなおもしろい漫画があるんだとか、普通に漫画読んでました(笑)全部が映るので作りこまなければいけないので完璧でした。どこを映してもいいような状態でした。すごいですよね。

演じる上で難しかったシーンはありますか?

石川 小梅よりも磯辺のほうが感情を爆発することが多かったんですけど、全部を吸収するのが小梅は遅くて、私も遅いんです。感情を飲み込んで言い返すのに、私も時間が欲しいとか思うので。早口で話すから、怒っているのは分かるんだけど、頭がついていかないという状態があって、そこは小梅っぽいなって思ったのでそのままやりました。そういうのを飲み込むのって難しいんだなと思いました。今回はよかったんですけど…あわあわしてるのが(笑)

本作の見どころを教えてください。

石川 この狭い世界でもがきながらも、身勝手に純粋であることが残酷につながるという青春を描いた唯一無二の原作であり映画だなと思います。小梅や磯辺、鹿島、桂子、個性が強いキャラクターが、原作の漫画を見た人の心にも残っているように、映画のキャラクターも人の心に残ったらいいなと思っています。ぜひ劇場で見て欲しいです。

【写真・文/編集部】

STORY
緻密で叙情的な画風と繊細な心理描写に定評のある浅野いにお作品の中でも、特に「思春期」「恋」「性」といったセンシティブな題材に真正面から挑んだ作品として、ファンの間でも根強い人気を誇る傑作マンガ「うみべの女の子」を実写映画化した本作。もどかしくも切ない、胸を締め付けられる、繊細で残酷な思春期の少女と少年の青春譚。W主演を務めるのは石川瑠華と青木柚。共演に前田旺志郎、中田青渚、倉悠貴ら、これからの映画界を担う次世代の若手俳優陣が顔を揃えている。


TRAILER

DATA
映画『うみべの女の子』は2021年8月20日(金)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷ほかで公開!
監督・脚本・編集:ウエダアツシ
出演:石川瑠華、青木柚、前田旺志郎、中田青渚、倉悠貴、宮﨑優、髙橋里恩、平井亜門、円井わん、西洋亮/高崎かなみ、村上淳
配給:スタイルジャム
©2021『うみべの女の子』製作委員会

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