『アイの歌声を聴かせて』でサトミ(CV:福原遥)のクラスメイト・アヤ役の声を演じた小松未可子にインタビューを行った。
小松 AIを題材にしているけど舞台は学校で、登場人物も等身大の高校生でそれぞれの悩みを抱えているという群像劇的な部分もあります。AIをモチーフにしつつ、悩みを解消しながら、でもAIへの未来に思いをはせるような物語です。AIって聞くとSFの要素だったり、人類の未来というようなシリアスというイメージもありますが、ファンタジックな気持ちで、未来に明るい気持ちで見ることができる心が健康になる作品だと思いました。しかも、舞台が少し田舎っぽいような風景の中にすごく洗練された近未来的な部分があり、ちょっと憧れるようなところがあって、こういう未来があったらいいかもねという部分が盛り込まれていてワクワクできる作品だと思いました。
小松 台本をいただいたときはまだ音楽もできていない状況で、“歌っています”という描写として歌詞が並んでいたんですけど、“どういう状況なんだろう”と(笑)全然想像が出来なかったというか、どういうシチュエーションにあるんだろうなという思いもありましたが、新しいタイプのミュージカルができたなと思いました。しかも、AIを駆使した学校がステージになっているということもあって、リアリティとファンタジーの融合がおもしろい描写になったと思いました。実際に映画を見てみると、歌唱の部分でいろいろなタイプの音楽が出てきたり、情景も学校を舞台にしたポップなものから、しっとりとした景色が美しく映えるようなシーンがあったり、シオンが歌うというだけでもこれだけ表情豊かなイメージが描かれるんだなというところに圧倒されました。
小松 歌っているのが人間じゃなくてシオンだし、ただ歌うだけじゃなくて、操れるものは操る。あと何かを求めちゃいます。次はどういう風に歌ってくれるんだろうなって期待する側になったりしていて、違和感が自然になっていくのはおもしろいなと思いました。
小松 監督もいらっしゃる中で「このフレーズだけ歌ってください」という形で一人ずつ録りました。「アヤは今どきの女子高生のカラオケレベルで」と(笑)やればやるほど“カラオケってどうやって歌ってたっけ”ってなってしまって…。私としてはテストテイクを使ってほしいなというところだったんですけど、実際にどこを使ったのかは監督だけが知っています(笑)
小松 キャラクターをイメージしてというのが難しかったです。音を外す分には問題ないんですけど、アヤとしての歌ってどんなのだろうと考えました。カラオケに行ったらノリよく歌う子ではあるけど、“ミュージカルのワンシーン”ということを考えると難しかったです。レコーディング自体は10分かかったかくらいで速やかに終わりました。事前にトウマ(CV:工藤阿須加)の歌声は聞けたので声を聞けて安心しました。
小松 気の強さが故にちょっと嫌な奴だなという雰囲気に見えるところがあったりもするんですけど、そういう言動を取ってしまうのは彼女なりの悩みや理由があってということが描かれていきます。そういうものが解き放たれて、自分自身でいっぱいいっぱいだった部分が、周りをよく見えるようになってからは、なんて気が利く子なんだなろうなとか、実は周りを見ている子なんだなということが明らかになっていきます。普通だったら踏み込めなさそうな部分にも、そっと寄り添えるやさしい子なんだなというところが魅力的だと思います。あと、恋愛に関しては一途だからこそ敵を作ってしまいかねないという部分もあって(笑)それもチャームポイントだと思います。
小松 完全にまるでアヤだなという部分があるわけじゃないんですけど、“学生時代ってそういうところあるよね”というのは分かります。アヤって友達に嫌われてはないんですよね。もしかしたら、めちゃくちゃいい友達なのかもしれないですけど(笑)応援してくれる友達もいて、彼女のこともよく理解してくれている。ちゃんと友達付き合いもあって、その中で自分の我を出していけるという部分では、私も気は強いほうだと思うので分かります(笑)見えなくなっちゃうというのも気持ちの部分でも共感しやすいキャラクターだと思いました。
小松 いろいろあるんですけど、彼女がゴッちゃんと本音をぶつけられるシーンはある意味で彼女を知る上での第一関門みたいなところもあります。あとはシオンを助けようとみんなで一丸になるところは、彼女も視野がさえわたっていて…ただ知識が追い付いていないだけで(笑)やる気はあるシーンです。たぶんシオンがいなかったら仲良くなっていなかったようなメンバーだと思うんですけど、こんなに心が通い合えるまでになれたというのは彼女のシーンとしても見どころだと思います。
【写真・文/編集部】
吉浦康裕が原作・監督・脚本を務める本作では、大河内一楼が共同脚本を手掛け、漫画家・紀伊カンナがキャラクター原案を担当。さらにJ.C.STAFFがアニメーション制作、島村秀一が総作画監督を務め、高橋諒が音楽を担当する。ボイスキャストには、土屋太鳳、福原遥、工藤阿須加に加え、興津和幸、小松未可子、日野聡が名を連ねる。学力優秀でスポーツ万能な転校生・シオン役を土屋太鳳、シオンが転校してきたクラスのクラスメイト・サトミ役を福原遥、サトミの幼馴染で電子工作部に所属している研究者顔負けの機械マニアを工藤阿須加が演じる。
映画『アイの歌声を聴かせて』は2021年10月29日(金)より全国で公開!
原作・脚本・監督:吉浦康裕
声の出演:土屋太鳳、福原遥、工藤阿須加、興津和幸、小松未可子、日野聡、大原さやか、浜田賢二、津田健次郎、咲妃みゆ、カズレーザー(メイプル超合金)
配給:松竹
©吉浦康裕・BNArts/アイ歌製作委員会