『きさらぎ駅』で主人公の民俗学を学ぶ女子大生・堤春奈役を演じた恒松祐里にインタビューを行った。
恒松 最初は初主演ということもあって、“どうしようかな”、“どうやって現場に入ろう”と考えていたんですけど、実際に現場に入ると、“みんなで撮る”という撮影方法だったので、変に気負わずにいつも通り撮影に臨み、お芝居をしていました。
恒松 実は苦手で…(笑)この作品のお話をいただいたときも台本を読むまでドキドキしちゃって。台本を開くときも人がいるところでこっそり読むくらい苦手なんです。ただ、構えていたけど、実際に読んでみたらワクワクする撮られ方もあって、読み終わった時には楽しかったと思えました。主演をやらせていただけてよかったですし、撮っていて楽しかったです。
恒松 長回しで撮るシーンがたくさんあって、カメラマンさんと俳優部と動きを決めてやらなければいけないシーンがたくさんありました。入念にリハーサルをしてから撮影に入るので、舞台のように一発本番のためにみんなで協力して動いていくという、その過程が楽しかったです。
恒松 すごく温かったです。クランクインしたのが私の23歳の誕生日の2日前で、誕生日当日も撮影があって、みなさんに祝っていただきました。その日は、新浜松駅の電車内での撮影で、スタッフのみなさんからケーキをいただいて。電車内でホールケーキをいただくってなかなかない経験じゃないですか(笑)スタッフのみなさんも、共演者のみなさんにもよくしていただきました。
恒松 私の役は都市伝説がすごく好きな女子大生ですが、好きなものへの好奇心ゆえに危険な目に合ってしまう。行動力のある女の子なので、しっかりした社交的な女の子にしようと思って役を作っていきました。私が演じた春奈は怖いものが好きなので、この期間は寝る前に都市伝説サイトを見たり、ホラー映画をがんばって見かけたり…怖くて断念してしまったんですけど(笑)春奈が好きなものを吸収しようと思いました。私は霊感とか怖い話に縁がないので、春奈みたいにその世界に突き進んでいくのはすごいなと思いました。
恒松 私は怖い目に合いそうな場所には直感的に行かないほうがいいなって避ける傾向があるのでたぶん行かないと思います(笑)ただ行ったとしたら冷静に対処できると思います。もし居合わせたらやるしかない(笑)春奈ほど大胆ではいられないですけど、人を引き連れて「行くよ!」ってなるところは似ていると思います。
恒松 世間話が多かったです。(本田)望結ちゃんとは一緒にお芝居をして楽しかったですし、終盤では芹澤(興人)さんのメイクがおもしろくて、出てきただけで笑ってしまったり、ホラー映画ですけど和気あいあいと撮影をしていて楽しかったです。普段行けないような線路だったり、トンネルだったり、冒険みたいな感じで行けましたし、非現実的な空間にいるのが楽しかったです。監督がホラーをよく撮っていらっしゃるので、どう撮ればいいかを熟知されていて、よく「ホラーは数学だ」とおっしゃっていました。振り向くタイミングが何秒か違うだけでお客さんが驚くかが変わってくると。監督が知っている知識を教えていただきながら撮影していて、ホラー映画を撮影しているんですけど、安全に撮影をしていました(笑)
恒松 すごくおもしろかったです。私はホラーが苦手で、私のInstagramにもファンの方から「ホラー作品だから怖くて見に行けない」というコメントをもらったんですけど、私みたいにホラーが苦手な人でも絶対に楽しめる作品だなというのは試写で見て確信しました。監督は最初に、「子供が見ても楽しめるホラー映画を作りたい」とおっしゃっていて、だから制限がかかっていない範囲での描写を取り入れています。FPS撮影も使っていて、まるできさらぎ駅にいるような、VRゲームをしているような感覚で見ているお客さんにも感じられるものだと思うし、頭を使いながら解決していくというか。台本で読んで分かっていたんですけど、映像で見るとその手法がこの作品にマッチしていて、新しくて面白かったです。お化け屋敷にみんなで行っているような、テーマパークに行っているような気持ちで見られたので、すごく楽しめました。
恒松 知らなかったんです。台本を読む前に元ネタを見てから読みました。すごく怖かったです(笑)それはお昼に見たかも(笑)とてもリアルで、私も毎日電車に乗るので、寝落ちしたらたどり着いてしまうんじゃないかと言うリアルさがある都市伝説だと思いました。
恒松 あまり詳しくないんですけど、異世界とか都市伝説になっている、どこかに行ってしまって帰ってきた人がいるという経験をした人がいるんだろうなというのは信じています。ただ、私は経験しないと思っています(笑)
恒松 クランクインする前にホラー作品を見て、表情のお芝居とか、驚いた顔とかを研究していました。コメディっぽいパートがあって、そこで私が驚いた顔をするんですけど、私が想像していたよりもおもしろい顔で、試写を見て自分の表情で笑ってしまうくらいおもしろかったです(笑)驚いた顔で人を笑わせることもできるんだと思いました(笑)予想外のことが起き始めてからは、その場の感情で動いたことで演じていたので、あのシーンは私のお芝居の流れでやっていたので、あまり意図していなかったんですけど、おもしろかったですよね(笑)私も自分の顔で笑ってしまったので(笑)ここはおすすめポイントです。
スタイリスト:武久真理江
ヘアメイク:安海督曜
衣装協力
MiyukiKitahara
sumiiro
【写真・文/編集部】
大学で民俗学を学ぶ堤春奈(恒松祐里)は、卒業論文で十数年来、ネットで現代版”神隠し”と話題になっている都市伝説「きさらぎ駅」を題材に取り上げることにした。リサーチの結果、「きさらぎ駅」の原点となった書き込みの投稿者『はすみ』ではないかとされる葉山純子(佐藤江梨子)という女性の存在を知る。ようやく純子への連絡先を知り、数ヵ月にわたりメールでやり取りした結果、春奈は遂に純子と会う約束を取り付ける。指定された場所は「きさらぎ駅」の舞台となった路線にある一軒家。春奈を出迎えた純子はどこか影のある雰囲気を持つ女性。部屋へ案内され、早速、ネットで噂される『はすみ』本人との真偽を確かめる春奈に対して、純子はどこか謎めいた笑いを浮かべながらも春奈からの問いかけに静かに頷く。続けて、純子から「きさらぎ駅」へたどり着いた経緯、その後の出来事などを聞いた。その内容は春奈には到底信じられるものではなかったが、純子の話の中で春奈はなぜ純子だけが「きさらぎ駅」へたどり着くことができたヒントに気づく。純子の別れた春奈は自然に「きさらぎ駅」の舞台となった遠州鉄道の駅へ向かう。この選択が春奈の運命を大きく狂わせることになっていく。
『きさらぎ駅』は2022年6月3日(金)より公開中!
監督:永江二朗
出演:恒松祐里、本田望結、莉子ほか
公式サイト: こちら
©2022「きさらぎ駅」製作委員会