『恋は光』で恋の光が視える男・西条役を演じた神尾楓珠、想いを打ち明けられない北代役を演じた西野七瀬にインタビューを行った。
西野 恋愛映画ですけど分かりやすい恋愛要素が少なくて、ちょっとしたファンタジー要素も入っていて、もし自分がこの映画に関わっていないとしても好きな作品だと思いました。
神尾 セリフ自体も含めて会話が面白いと思いました。最初は自分の中でそういう口調でしゃべる要素がないからどうしようかと思いました。
西野 私もそうでした。でも、やっていくうちに少しずつ自然と違和感なくセリフを言えるようになっていったと思います。
西野 試写を見るとき、“もうすぐ自分が出る”となると緊張して、ずっと力んでいることが多いんですけど、この作品は出ているシーンも多いので慣れました(笑)とてもおもしろくて、いろいろな人に見て欲しいとすぐに思いました。
神尾 景色がきれいだなと思いました。あとは、自分が全く別人で…(笑)客観的に見ることができました。
西野 私は自分では北代みたいな子じゃないなと思います(笑)フットワークが軽い感じは一緒かな。
神尾 西条は落ち着いている雰囲気があると思いますが、僕も落ち着いてるとよく言われるからそこが共通していると思います。
神尾 原作のイメージはありましたけど、やってみると想像していたのと違うことになったりするんです。でも、基本的には淡々と演じました。自分の中では声の出し方が決まっていて、ずっとそれで生活してきているから、あまりブレないでということを意識していました。物事に対して集中して、小さいことでも深く考える役柄です。言葉の裏を考えるところは似てるかもしれないですが、僕は大きい壁にぶつかると考えたくなくなるんです。都合よく(笑)
西野 原作を読んで、北代はあっけらかんとしている感じがするけど、結構人のことをちゃんと見ている。そういう風に捉えるとできるかどうか分からなかったけど、監督が流れるように早口でしゃべってほしいとおっしゃって、何回か重ねていくうちにコツをつかめていきました。
西野 全然…早口言葉とか全くできないタイプです。それとは違うかもしれないですけど(笑)リズム感とか、どこで息継ぎをしてとかを考えました。落語が近いかなと言われて、何となく意識してやっていました。
西野 神尾くんは年下なんですけどあまりそれを感じさせなくて、フラットに話せました。初めは敬語だったんですけど、何回目かの本読みの時に、監督から役作りとして3分間くらいずっと目を見て黙ってというのをやったんです。それをやって解散するときに、「タメ口でいい?」という会話ができて、そこからはより話しやすくなりました。
神尾 不思議な経験でした。
西野 幼馴染と言う設定だから、小さい時の架空の思い出を思い出すという時間でした。
神尾 アイドルだったので、現場にいるときはオンオフのスイッチが入るのかなと勝手な先入観で思っていたんですけど、全然そういうことはなくて自然体ですし、作っている感じがしなかったので話しかけやすかったです。
神尾 犬のお話とか、お笑い芸人の話とか、他愛ない話ばかりです。
西野 それぞれがおススメしたりしていました。
西野 ほかの共演者の方も居心地のいい距離感で、みんな落ち着いていたのでかなり接しやすかったです。毎日の香盤表が紙かデータでいただけるんですけど、(平)祐奈ちゃんは“紙でください”、(馬場)ふみかちゃんは“データでください”と言っていて、役にも合っていておもしろいなとひそかに思っていました。
神尾 しんどいですね。人を見る分には楽しいかもしれないけど、実際に自分がその立場になったら光が嫌になるのも分かるなと思います。
西野 私も嫌だと思います。昨日光ってなかったのに今日光ってたりしたらおもしろいかもしれないけど…何か昨日きっかけあったんだとか思っちゃいそうですね(笑)ややこしくなりそうです。
西野 (平祐奈演じる)東雲さんのお家が、縁側や庭もあってきれいでした。私は和室が好きで、畳の匂いが感じられました。照明もこだわっていて、完成した作品を見たら雰囲気がより出ていました。
神尾 西条の部屋の本に囲まれている感じが、西条の生活が表れていて、あの部屋のおかげでもっと役に入れました。
西野 やったことがないので、雰囲気を味わえておもしろかったです。撮り方を監督がこだわっていて、「ガラス戸のここに顔がきたい」、「みんなの顔が見えたい」と何回かチャレンジしました。ちょっとガラスの歪みもあったりするので「もう一回」とか。3人の空気感が好きでした。
西野 姉弟とか、会社の同僚とかもありそう。
神尾 同僚いいですね。
西野 この作品はあまりラブストーリーという雰囲気ではないですけど、それでも初めにこの作品に出てるから恥ずかしいかもしれない。
神尾 恥ずかしいですね。キメ顔しろとか言われたら恥ずかしい。
西野 惚れさせなきゃいけないから(笑)
神尾 恋について深く考えることはなかなかないと思いますが、それがちゃんと映画の中で言語化されているので、見ていて分かりやすいと思います。難しい言い回しもありますが、言っていることは難しくないので多くの人が見ても楽しめると思います。
西野 おもしろいお話です。あとロケーションがよすぎて印象に残っているので、夏を感じることができる映画だと思います。
【写真・文/編集部】
原作は、“恋をしている女性が光を放ってキラキラして視える”という特異な体質を持つ男子大学生の初恋を描き、恋愛感情に振り回されながらも、“恋って何だろう?”と「恋」の定義について考察する主人公たちに、ウルトラジャンプ連載時から共感の声が多く寄せられ話題となった『恋は光』。 “恋の光”が視えてしまう大学生・西条を演じるのは神尾楓珠。西条にずっと片想いをしながらも「光っていない」と言われてしまう幼なじみの北代を西野七瀬が演じ、共演には平祐奈、馬場ふみかが顔を揃える。脚本・監督は小林啓一。
『恋は光』は2022年6月17日(金)より全国で公開!
監督・脚本:小林啓一
出演:神尾楓珠、西野七瀬、平祐奈、馬場ふみか、伊東蒼、宮下咲、花岡咲、森日菜美、山田愛奈、田中壮太郎
配給:ハピネットファントム・スタジオ/KADOKAWA
©秋★枝/集英社・2022 映画「恋は光」製作委員会