『ぼくらのよあけ』で主人公・沢渡悠真役の声を演じた杉咲花にインタビューを行った。
杉咲 嬉しかったのと同時に、この物語のなかでとても重要な人物である主人公の声をやらせていただくということへのプレッシャーがありました。ですが、経験が多いわけではない私の声を信じてくださったからこそ、自分がやらせていただくことへの意味を探して、つくっていきたいなという気持ちになりました。
杉咲 共演者のみなさまのお芝居に圧倒されつつ、物語の手触りや温度感がぐんと上がっていく空気に必死でついていけばいいんだという気持ちになって、とても救われたような感覚がありました。
杉咲 いくつかいただいていた悠真のイラストを拝見して、凛とした意志の強さを感じていたので、そこからなんとなく人物像をイメージをしていました。本読みで初めて監督とお会いしたときに「一回読んでみてください」ということだったので、声をあてながらディテールの足し算や引き算が行われていきました。
杉咲 どうなるか分からなくてもとりあえず行動してみたいという思いは共感ができるなと思いました。
杉咲 お芝居をするときは完全に他者として演じているので、あまりそういった気持ちになったことはないのですが、悠真はバイタリティ溢れる本当にエネルギッシュな人物で、声を張り上げるようなシーンも多く、静かなアフレコ空間で実感を伴いながらお芝居をするという難しさを感じる場面が多かったなと思います。
杉咲 体を動かすことが好きで、小さいころは母親が泥だらけになって遊べるような公園に毎日連れて行ってくれました。鉄棒でぐるぐる回ったり、とにかく動くことに夢中でした。それから、ドラマが大好きで、漠然とこのお仕事がしたいと思っていました。
杉咲 宇宙が好きでした。同じく宇宙に興味を持っている友達と二人で図書室に行って、図鑑を見たり、流星群が見えるという日に空を見に行ったことがあります。お菓子を食べて、おしゃべりしながら空を眺め続けた時間は今でも記憶に残っています。
杉咲 ひと言ひと言に魂が宿っていて、感動しました。キャラクターの動きや心情を息使いや声のみで表現するという難しさを自分自身感じていたのですが、そういったディテールの積み重ねで物語に奥行きが生まれることを皆さんのお芝居から実感させられましたし、普段あまり触れられることのない想像の領域に、ワクワク、そして鳥肌が立つような時間でした。
杉咲 もしも機会があれば、とっても嬉しいです。
杉咲 ナナコとの関りを通して悠真の気持ちに変化が生まれていくように、私自身にとっても胸が熱くなるような時間で、思わず大切な人を抱きしめたくなるような心の温まるアフレコ時間でした。
杉咲 アフレコのスタジオが共演者の皆さんと離れていたのですが、それぞれに専用のカメラがついていて、テレビ電話のような形で表情を確認できる構造になっていたので、なんだか照れてしまいました(笑)自分の中での小さなハプニングです。
杉咲 宇宙との繋がりを感じられる夢のある物語であると同時に、大切なものをピュアに信じ続ける主人公の姿はどこか現実的でもあって、なんだか自分のことのように捕らえられる作品なのではないかなと思います。大切な存在について改めて考えさせられるような優しい物語をお楽しみいただけたら嬉しいです。
【写真・文/編集部】
「ぼくらのよあけ」は「月刊アフタヌーン」(講談社刊)にて連載され、日本で最も長い歴史を誇るSF賞である星雲賞候補にもなった、今井哲也の傑作SFジュブナイル漫画。阿佐ヶ谷団地に住む小学4年生の沢渡悠真(CV:杉咲花)と仲間たちが、ある日、沢渡家の人工知能搭載型家庭用オートボット・ナナコ(CV:悠木碧)をハッキングした未知の存在を宇宙に帰すために奮闘する、ひと夏のSF冒険物語。
『ぼくらのよあけ』は2022年10月21日(金)より全国で公開!
監督:黒川智之
声の出演:杉咲花、悠木碧、藤原夏海、岡本信彦、水瀬いのり、戸松遥、花澤香菜、細谷佳正、津田健次郎、朴璐美
©今井哲也・講談社/2022「ぼくらのよあけ」製作委員会