『月の満ち欠け』で小山内堅(大泉洋)の娘・小山内瑠璃役を演じた菊池日菜子にインタビューを行った。
菊池 いろいろなことを抱えながら人生を歩んでいる女の子ですが、家族が大好きで、お父さんとお母さんの娘でいられてとにかく幸せだということが根底にある人物だと感じました。
菊池 台本を読んでから原作を読んだのですが、原作のほうが台本よりも情景が多かったのでより作品を深く感じることができました。
菊池 ホームパーティーのシーンでは、休憩中も食卓を囲んでいたので、他愛もない話をしたりして過ごしていました。そういう時間を作っていただいたからこそあの家族団欒の映像が撮れたのではないかと思います。大泉さんが娘さんのお話をして、それをにこやかに聞いていらっしゃる柴咲さんと、ちょっとツッコむ伊藤さんがいて。それをみんなで一緒に笑ったりと、本当に家族の食卓での会話のようでした。
菊池 役として感情や芝居を固めてからクランクインせず、撮りながら徐々につかんでいった部分がありました。いろいろなことを抱えている女の子だけど、ただ一人の人間として生きているわけでもないので、そのシーンごとに持っている感情はブレないようにしようと心掛けて撮影に挑みました。
菊池 どのシーンも難しかったんですが、田中圭さんが演じる正木竜之介さんと対峙するシーンはシリアスな空気の中で撮ったので、自分の心拍数の上昇を感じながら撮った記憶があります。
菊池 撮影している間も含め、脚本をいただいてから撮影に挑むまで、瑠璃ちゃんを理解するのには時間がかかりました。“こうかな?”と思ったシーンでも、想像力が足りないこともあり、現場では監督にたくさん頼らせていただきました。こうだ、と思えるまで時間がかかったので、マネージャーさんに「こういうことですよね?」と聞くこともありました。
菊池 すごくありました。自分だけではない感情を小さいころから抱えているので、1つのシーンに対しても2つの感情が乗っかっているのかなと考えながら読んでいると、ここはどう表現したらいいんだろうと悩むことがたくさん出てきました。
菊池 日々の撮影が楽しみでしたし、名だたる方々とお芝居をさせていただけて本当に学ぶことが多かったので、完成が楽しみだなと思いながらクランクアップしました。
菊池 正木瑠璃(有村架純)さんと三角哲彦(目黒連)さんのお2人が月明かりに照らされながらソファに座っているシーンが特に好きです。映像としての美しさがすごいなと思ったり、小山内瑠璃のシーンにはないような、ちょっと大人な恋愛の美しさが描かれているのがきれいだなと思いました。綺麗さと儚さと物語の壮大さと奇跡と、観た後の余韻がすごかったです。
菊池 撮影前に、伊藤さんと私の2人で本読みをさせていただく機会をいただきました。初対面だったのでとても緊張したんですが、うまく親友役として会話ができるように、他愛もない話をしてくださったりと、伊藤さんの明るさとおもしろさに何度も救われました。
菊池 シーン初めの部分につながるまでの映らないお芝居をものすごくしっかり考えていらっしゃる方なんだと思いました。こういう動きをしたらここにつながると提案してくださることもあったので、私自身も救われましたしすごく勉強になったので、ほかの現場でもこういうアプローチの仕方をしていこうと思いました。
菊池 大泉さんとは、クランクインする前にお食事をさせていただく機会をいただき、瑠璃という女の子がどういう子なのかという話をしました。瑠璃がどういう女の子なのか上手く掴めず、どういうお芝居をしたら良いかと迷っていた時期だったので、お話しているときに、瑠璃はいろいろなことはあるけど家族のことが大好きだし、お父さんとお母さんの娘でいられて幸せだと思っているのは変わらないから、と言ってくださったんです。それを聞いたときに私自身とても腑に落ちて、そこからお芝居の方向性が固まっていきました。
菊池 現場の雰囲気を知るために、私がクランクインする前に撮影現場を見学させていただいたのですが、柴咲さんにはそこで初めてお会いしました。挨拶させていただいたときはものすごく緊張したんですが、私を見てにこやかに緊張をほぐすように話してくださいました。そのお人柄の良さに撮影中も何度も助けられましたね。
菊池 家族といるときは笑顔でいるシーンが多かったこともあり、温かい雰囲気の中で撮影をしていたので、3人でずっと世間話をしていました。そういった空気の中にいられるのは、瑠璃としても、菊池日菜子としても幸せだなと思いながら撮影現場にいました。
菊池 有村さんとはアフレコの時に一瞬だけお会いしてご挨拶させていただいたんですが、目黒さんは舞台挨拶で初めてお会いしました。ものすごく多忙だと思うのですが、私にも丁寧にご挨拶してくださって、とにかく物腰の柔らかい方で、やっぱり人としても素晴らしい方が大成されているんだなと感じました。有村さんも柔らかく挨拶してくださったので感動しました。
菊池 『私はいったい、何と闘っているのか』はハートフルコメディだったこともあり、現場で笑い声が飛び交う日が多かったんですが、今回はシリアスなシーンや大事な局面に置かれているシーンが多かったので、そういうシーンの撮影のときは、より想像力を膨らませて撮影に挑んでいました。
菊池 小山内瑠璃としてのセリフの言い方とか、表情一つで物語に与える影響力が大きいと思ったので、シリアスなシーンも笑顔のシーンも全部緊張しました。どのシーンも撮影前日はとにかく緊張していましたね。
菊池 家では鏡の前やベッドの中で考え込んでいました。実際にセリフを言ってみることもありましたが、自分が言葉を発して聞こえる音と、マイクが拾って聞こえる音が違ったりするので、スマホの録音機能を使って確認したときもありました。
菊池 言葉ではそう言いつつも、現場に入ると、まだまだ自分には足りていないことが毎回見つかるので、“これができました”とはしばらく豪語できないかもしれないです。共演者のみなさんの佇まいを見ながら、少しずつ吸収していきたいと思います。
菊池 好転するような変化が多かった気がします。姉と暮らしはじめたこともそうですし、最近タイトなスケジュールの撮影期間を経験して、よりこれからが楽しみになりました。
菊池 とにかくいろいろな現場を経験したいです。女子高生役をやらせていただくことが多いので、大人な感じの役だったり、ちょっと変わった性格の持ち主に挑戦してみたいです。菊池日菜子としてはできないことを役を通してできたら楽しいだろうなと思います。
菊池 いいお知らせができるようにがんばります。
菊池 私が初めて今作を観た時、観終わった後に希望や光が感じられると思ったので、生まれ変わりというものを自分の今置かれている状況に落とし込んでみて楽しむのも良いと思いますし、生まれ変わりというものが存在するかもしれないと思うだけで救われることがきっとあると思うので、この作品を観てそれぞれの希望を感じていただけたら嬉しいです。
【写真・文/編集部】
(ヘアメイク:猪股真衣子(TRON))
(スタイリスト:松川総)
(衣装クレジット:
ワンピース ¥41,800
ニット ¥15,400
カーディガン ¥41,800
全てジョン スメドレー(リーミルズ エージェンシー)
靴 ¥79,200
パラブーツ(パラブーツ青山店)
”もう一度逢いたい”と願う純粋な想いが、27年の時を超えて奇跡を起こす――。仕事も家庭も順調だった小山内堅(大泉洋)の日常は、愛する妻・梢(柴咲コウ)と娘・瑠璃のふたりを不慮の事故で同時に失ったことで一変。深い悲しみに沈む小山内のもとに、三角哲彦と名乗る男(目黒蓮)が訪ねてくる。事故に遭った日、小山内の娘が面識のないはずの自分に会いに来ようとしていたこと、そして彼女は、かつて自分が狂おしいほどに愛した“瑠璃”という女性(有村架純)の生まれ変わりだったのではないか、と告げる。【愛し合っていた一組の夫婦】と、【許されざる恋に落ちた恋人たち】。全く関係がないように思われたふたつの物語が、数十年の時を経てつながっていく。それは「生まれ変わっても、あなたに逢いたい」という強い想いが起こした、あまりにも切なすぎる愛の奇跡だった——。
『月の満ち欠け』は大ヒット上映中!
出演:大泉洋、有村架純、目黒蓮(Snow Man)、伊藤沙莉/田中圭、柴咲コウ
菊池日菜子、小山紗愛、阿部久令亜、尾杉麻友・寛一郎、波岡一喜、安藤玉恵、丘みつ子
原作:佐藤正午「月の満ち欠け」(岩波書店刊)
脚本:橋本裕志
監督:廣木隆一
配給:松竹
公式HP
公式Twitter(@eiga_tsukimichi)
公式Instagram(@eiga_tsukimichi)
©2022「月の満ち欠け」製作委員会