『灰色の乙女』で広告会社に勤めるOL・鏡蔦子役を演じる桜井玲香、蔦子が20年間ずっと片想いをしている維井莇役を演じる中田圭祐にインタビューを行った。
広告会社のOL・鏡蔦子は、20年間ずっと片想いをしている維井莇に対してストーカー行為を行っていたが、事故で記憶喪失になった莇に対して自分が恋人だと嘘をつき…。叔父の経営するパン屋で働く維井莇は、ある日ひき逃げに遭い、記憶をなくす。恋人だと名乗る蔦子のことを信じるが…。
桜井 素直にこの役をやりたいと思いました。たまたま共通の知り合いのスタッフさんがいらっしゃって、このドラマに入る前にその方にお会いしたのですが、「一緒だったら大丈夫。委ねればいいから」と送り出されました(笑)
中田 いやいや、そんなことないですよ(笑)僕もそんなに経験がないので、今回お話をいただいてうれしくかったです。共通の知り合いもいらっしゃって。いい環境でお芝居をさせていただいています。
桜井 一回誰かを“この人”と決めて追いかけてみようかなと思ったんですけど難しかったです、無理でした(笑)バレないで人をつけるって結構難しいんだなと思いました。気配があるのかな。
中田 それは、なかなか2~3日で習得できる技ではないのかもしれないですね(笑)僕も記憶をなくそうとは出来なかったです(笑)
桜井 お酒で記憶をなくしたことは?
中田 それはあります。確かにあの時は怖いし、どうやって帰ってきたのかも…。でもそれを一緒にしていいのか分からないですし、それが常にと考えると怖いですね。ましてや自分の叔父やお母さんも分からないので、いざ自分だったら怖いことなので、すごく考えました。
桜井 一番は「楽しみましょう」ということを常々スタッフさんとも話しながらやっているので、ちょっとやりすぎくらいなところから話し合って、まずは思うようにやっています。莇くんのほかにも、お母さんや刑事さんとのやり取りがあったり、いろいろな登場人物が出てきて、その都度、蔦子としてはかき乱されるようなワードがあったり、シチュエーションがあるので、意外と自分の気持ちに沿っていれば、自然とその人によっての顔が引き出されている実感があります。
中田 2日間くらいベッドの上だったので、睡魔が危なかったです。
桜井 眠いんだろうなと(笑)
中田 いい塩梅の温かさで、日光が当たっていて。
中田 個人的に原作を読んで、おもしろ怖いなと思いました。莇にとっては怖いところが見えないので、知らないふりしています。莇は、蔦子さんのことを女神だと思っているので、その思いが強いほど蔦子さんのダークな部分だったり、考えているところが浮き上がってきておもしろいのかなと思います。僕はなるべく何も聞いてないという感じなので、楽しいシーンが多いです。
桜井 ピュアでありたいと思います。ピュアが正義でもあり、悪にもなり得るので、ピュアなことほど残酷なことはないと思っています。
中田 莇は好青年で何不自由ない生活をしてきたと思うので、たぶん記憶が戻っても人間性はそこまで変わらないんだろうなと思います。クセがない人なので、どこでクセを出していくかを考えています。どこかに人間味があるはずで、それをよく見てみないと見失いそうなので、ちょっとずつ感情を出していったり、不安が恐怖になってそれを蔦子さんに打ち明けていくところも出てくるので、そういうところで莇の人間らしさを蔦子さんにぶつけていけたらと思っています。
桜井 一歩引いてしまうところは似ていると思います。でも意外とタガが外れたらいけちゃうところも似ていると思いました。
中田 押しに弱い部分は似ていると思います。言い負かされてしまう部分だったり、ちょっと鈍感な部分は、僕も騙されやすいタイプだと思うので似ていると思います(笑)
桜井 ちょっとほわんとした感じは莇くんらしいです。あー気づかなかった、みたいな(笑)
中田 キリっとするところと優しいところが表情が豊かなんです。表情から受けることがたくさんあって、それは蔦子さんみたいだなと思います。僕に向けてくれる目線だったり、母親に対してもばれないようにスイッチが切り替わっているような器用さが女性ならではなのかと思いつつ、それが蔦子さんであり、桜井さんの感じと似たものがあるのかなと思いながら。莇とは関係なしにびくびくしていますね。
桜井 いいんだか、悪いんだか(笑)
中田 お母さんと蔦子さんのバチバチというシーンがあるんですけど、それがすごいおもしろかったです。女性同士の、これは僕が入れる隙間はどこにもないんだなと。あの間合いというか、見ていて怖いなと思いながら楽しく撮影しています。
中田 10年間くらいですが、カメラが好きで今も趣味です。20年はいってないですけど(笑)
桜井 長いのは思いつかないんですけど、テトリスみたいな単純なゲームはハマると寝る間も惜しんでやります。仕事の休憩中も「石を取りに行かなきゃ!」って、ハマると課金しますね。
中田 起きたらアイスコーヒーを飲むことです。飲まないと起きた感じがしなくて。どんなに朝が早くても、パッと飲んで出るのが最近のルーティーンになっていて、家にないと買ってから現場に入ります。豆のこだわりとかはないんですけど…。豆を挽くのも憧れはありますけど、洗ったりするのが面倒くさいなと思っちゃうタイプで(笑)
桜井 私は最近ワンちゃんを飼い始めたんですけど、家に全然いないので実家に預けっぱなしで。寂しいので実家に帰る頻度が増えたし、テレビ電話をすることが増えました。ほぼ毎日、「どうしてる?」みたいなテレビ電話をするようになりました。現場の待ち時間もテレビ電話をして、顔を見てから行く。
桜井 ストーカー目線での物語はなかなかないと思います。決して肯定するわけではないのですが、ストーカーなりの気持ちの変化や理由がどのように着地するのか、楽しみに見てもらえたらと思います。
中田 まずは1話で記憶がなくなって、「私は彼女です」とストーカーが言う。こんなのうまくいくはずないとか、現実だったらあり得ないと思うかもしれませんが、蔦子さんの抜け目のない計画が見どころです。欺き続ける蔦子さんの作戦と、まっすぐさだったり、蔦子さんの人の良さがあったり。かけがえのない時間だったと思わせてくれる蔦子さんがいて、最後には、この二人だったらドラマチックにも感じられるし、ちょっと違った見方をすると微笑ましいラブストーリーにも見えるのかなと思ってもらえたらうれしいです。あとはミステリーの楽しさもあり、ハラハラドキドキする仕掛けがたくさんあるので楽しんでいただけたらと思います。
【写真・文/編集部】
2019年より電子コミック配信サービス「コミックシーモア」で連載が開始され、累計670万DLを超える人気コミック「灰色の乙女」が、桜井玲香&中田圭祐をW主演に迎えて実写ドラマ化。広告会社に勤めるOL・鏡蔦子は、20年間ずっと片想いしている維井莇に対し、ストーカー行為をしている。ある日、いつものように莇を付けていた蔦子は、彼が車にひき逃げされる現場に遭遇。莇が記憶喪失になったことを知った蔦子は、長年の自分の思いを叶えようと、自分たちは恋人同士だと嘘をつく。その後も次々と嘘を重ねる蔦子の行動は、ますますエスカレートしていき…。嘘から始まる、純愛と狂気の物語。“ストーカー”の蔦子と、蔦子に惹かれていく莇が迎える衝撃の結末とは…甘さと不安の入り混じった緊張感あるラブサスペンス。
ドラマイズム『灰色の乙女』は2023年9月5日(火)よりMBS/毎週火曜 24:59~、TBS/毎週火曜 25:28~放送
監督:椿本慶次郎、戸塚寛人
出演:桜井玲香、中田圭祐
桃月なしこ、松本大輝、鈴々木響
六角慎司
©「灰色の乙女」 製作委員会・MBS