『ブルーを笑えるその日まで』で安藤絢子/アン役を演じた渡邉心結、アイナ役を演じた角心菜にインタビューを行った。本作は、魔法の万華鏡で繋がる2人だけの青春ファンタジー物語。第24回TAMA NEW WAVEにおいて、渡邉心結がベスト女優賞を受賞した。
渡邉 ありがとうございます。授賞式は、とても緊張しました。監督と話し合って作り上げたアンを、形として評価していただけたのはとてもうれしくて光栄に思います。
角 私は授賞式を観れなかったのですが、受賞が決まったと聞いてすぐに連絡をしました。自分のことのようにうれしかったです。
角 たくさん話し合って台本もちょこちょこと変わっていっていいものになっていって完成した映画が公開されるということで、もっとたくさんの方に見ていただけるのがうれしくて幸せな気持ちで胸がいっぱいです。
渡邉 私も角さんと同じでうれしい気持ちです。2年前に「もしかしたら一緒に映画を撮れないかもしれない」と言われたことがあって、「なくなっちゃうのかな」と考えたこともありました。その時から角さんとは「舞台挨拶もしたいね」とか「映画が公開されたら一緒に観に行きたいね」と話していたので、やりたかったことが叶えられたことは凄くうれしいです。
角 オーディションから撮影が始まるまで1年くらいあったんですけど、その時から仲良くなっていたから、電話をしながら「映画祭と舞台挨拶はしたいね」と話していました。叶っていくのが本当にうれしいです。
渡邉 監督の思いが強いのは台本を読んで分かりましたし、オーディションの時に監督の気持ちを聞いて、この作品に携わりたいとずっと思っていました。
角 私もオーディションの待ち時間に、監督の思いが綴られた企画書を読んでからオーディションに挑みました。この映画は監督の経験をもとに作られていったんですけど、自分の辛い経験を形にするのは簡単なことではないし勇気がいることだと思うので、その期待に応えられるようにもっとがんばりたいと思いました。私も読んだ時に「アイナやりたい!」と思ったのでうれしかったです。
角 顔合わせで初めて会いました。
渡邉 落ち着いていて上品で、自分とは性格が違うだろうなと思っていました。「仲良くなれたらいいな」と思っていたけど、その時はここまで仲良くなれるとは思っていなかったです(笑)今は本当にすごい大切な友達で、信用しているし。、話しやすいし、おもしろいところもある。
角 初めて会った時は“おとなしい子”というのが第一印象でした。実際は全然違うんですけど(笑)明るくて元気で、優しくて。本当にこんなに仲良くなれると思っていなくて。撮影が終わってからも連絡を取り合っています。今までは共演者の方とは演技のお話しかしてこなかったんですけど、渡邉さんとはプライベートの事とか何でも話せる存在になりました。
角 話しやすいです。(渡邉は)1個年下なんですけど、お姉さんみたいな時もあるし、年下な部分もたくさんあるんです(笑)相談し合えるいい関係だと思います。
角 私が演じたアイナは結構笑う女の子なんですけど、ただ笑うだけではなくて、明るいけれど暗い部分もあって。だからこそアンは何でも話してくれるし仲良くなれたと思うので、笑顔の中に優しさがあったり、口調も優しくしたり、というのは監督と話し合いました。語尾も私に合わせて台本を変えてくださったりして、アイナに近づけていきました。本読みも結構したのでそこで話し合って作りました。
渡邉 私も監督とは、喋り方、間、トーン、立ち方、歩き方、動くスピード、も。アイナより少し遅い、しゃべるのもゆっくりと、などたくさん話し合いました。
角 アイナの印象は、辛いところを知っているからこそ寄り添えるところがある。アイナは素敵だなと演じながら思いました。共通点は、私も相談するよりはされる側が多く、アイナは自分のことをしゃべることよりアンの悩みを聞いていたりしたのでそこは似ていると思いました。
渡邉 アンにとってアイナは数少ない唯一の友達で、アイナに対して大切にしたいといいう気持ちをもっております。同じように私も友達の数は多くないけど、一人一人の友達を大切にしたいと思っているのでそこは似ていると思います。
角 水族館です。
渡邉 私も、川と水族館。水族館は一番楽しかったです。
角 川は…大変でした。水族館のシーンは、セリフというより日常を切り取ったような撮影だったので、素の感じでした。
渡邉 楽しんでいるところを撮るような感じでした。楽しみすぎてちょっと渡邉心結が出ていました(笑)
角 水族館の撮影の日は近くでシャボン玉の撮影もしました。
渡邉 その日は楽しかったです。
角 次の日が早い撮影の時、渡邉さんとホテルに泊まることになって、同じ部屋に泊まりました。その日は1日中楽しかったです。
渡邉 クランクアップの前日でした。
角 撮影も終わりかけだったので、その日は鮮明に覚えています。
渡邉 一番練習をしたシーンでした。
角 本読みで何度かやっていても川の中だとお芝居が全然違うので難しくて。
渡邉 大事なシーンなので、監督と私たちが納得するまで撮り続けました。
角 終わった後、「OK」が出た時の達成感が…あれは忘れられないです。
角 私はヘアメイクさんになりたいとて言っていました。メイクでかわいくなるのに憧れていて、される側ではなくてする側ですが。妹がいるのでお母さんのメイク道具を借りてメイクとかしちゃっていたので、それで楽しくて。ヘアアレンジも好きでした。
渡邉 私は警察官になりたかったです。白バイを見学させてもらったこともあります。
渡邉 自分の演技でいろいろな人に勇気を与えたり、人の心を動かせる、影響力のある素敵な女優さんになりたいと思っています。
角 私もこの作品を通してお芝居がもっと大好きになって、楽しいと思えるきっかけになったので、これからもずっと続けていきたいと思っています。年齢とかキャリアを重ねていってもたくさんの方から愛される女優さんになるのが夢です。
角 この映画は監督の経験をもとに描かれている映画で、同じ悩みを抱えている方に寄り添える映画になっていると思います。映画が終わっても観た方に寄り添える作品にしたいと思って演じたので伝わればうれしいです。
渡邉 いま中学生の方とかに観てほしいです。また、アンと同じ悩みを抱えている方にも観てほしいですし、そういった経験をした方にも観てほしいです。この映画を通して少しでも誰かの気持ちの支えになれたらうれしいです。
【写真・文/編集部】
本作は、若手監督の登竜門とされるTAMA NEW WAVEやSKIPシティ国際Dシネマ映画祭のコンペティションに選出され、注目されている新人映画監督・武田かりんの長編デビュー作。武田監督自身の経験を題材とし、“いじめ”、“不登校”、“自殺”といったテーマを扱いながらも、物語としてエンターテイメントに昇華していることを各映画祭で評価されている。W主演を務める渡邉心結と角心菜や、丸本凛、成宮しずく、佐藤ひなたなど、これからの映画界を担う次世代の若手俳優陣が顔を揃える。
『ブルーを笑えるその日まで』は12月2日(土)にMOOSIC LAB 2024にて先行公開、12月8日(金)よりアップリンク吉祥寺にて2週間限定公開
脚本・監督:武田かりん
出演:渡邉心結、角心菜、丸本凛、成宮しずく、佐藤ひなた、夏目志乃、片岡富枝、宮原俐々帆、根本拓洋、鳥谷宏之、土屋いくみ、若林秀敏、松澤可苑、荒澤智也
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