『ワンダーハッチ -空飛ぶ竜の島-』奥平大兼 インタビュー

INTERVIEW

『ワンダーハッチ -空飛ぶ竜の島-』で“異世界”のウーパナンタで生きるドラゴン乗り・タイム役を演じた奥平大兼にインタビューを行った。

本作はファンタジーアドベンチャーということで、これまでに奥平さんが演じてきた作品とはだいぶ異なる作品だと思います。演じる上でイメージはわきましたか?

奥平 全くわきませんでした。僕はファンタジー作品に身近だったと言われると、そんなに多いわけではなく。ディズニー作品は小さいころに見させていただいていましたが、それくらいでした。最初にこの作品のお話をいただいたときに、ウーパナンタのことに関しては資料をいただいたのですが、イメージが湧かなかったです。でも、男心をくすぐられるような内容が書かれていて、今までにそういう作品に出させていただいたことがなかったですし、今回ご縁があって呼んでいただきました。監督とプロデューサーと顔合わせをさせていただいたときに、こういう難しい世界観を本気で実写に落とし込もうとしている熱量に感化されて、こんなに素晴らしい人たちとおもしろい作品を作り上げられるのは楽しいだろうなと思って、より一層“やろう”という気持ちが高まりました。

小さい頃にディズニー作品を見ていたということですが、特に思い出に残っている作品はありますか?

奥平 『美女と野獣』、『シンデレラ』、『塔の上のラプンツェル』など、小さい頃に絶対に見ますよね。それ以外にもたくさんありますけど、自分の幼少期の根本を作るうえで見る作品だと思うと、ものすごい作品だと思います。今見てもおもしろいですし、物語として素晴らしいと思います。

実写とアニメで同じ役を演じていますが、意識したことはありますか?

奥平 特に意識したことはありません。アニメパートは実写パートを撮った後に収録させていただいたんですけど、アニメパートの画を作るにあたって実写パートのタイムにできるだけ寄せて作っていただけました。声のお芝居ということで大変だったことはもちろんありますけど、つなげようと意識してはいなかったです。4か月間、実写パートのタイムとして生きていた時間が確実にあったので、タイムのことが分からないということがなく、大変さはなかったです。

役作りはご自身で作り上げた部分はありましたか?

奥平 自分一人では何もできなかったと思います。タイムはウーパナンタで15年間過ごしていて、タイムの人生はほとんどがウーパナンタなので。その常識だったり、文化だったり、そういうものが大事だと思ったので、監督に質問して、できるだけ感覚をウーパナンタの人間に近づけました。ウーパナンタ語という言葉もあったので、ウーパナンタ語を作ってくれた先生と定期的に練習して、一人で役作りをしたという感覚はなく、いろいろな人の力を借りて出来たと思います。

タイムという役をどのように捉えていましたか?

奥平 良くも悪くも無邪気で素直で、人を全員平等に見ている子です。ウーパナンタの人たちは相手の思っていることや感じていることが分かりますが、タイムにはそれがなくて。だからウーパナンタの世界はきっと嘘がないんだろうなと思います。タイムは地球に来て、地球の文化に触れますが、地球の人は相手の思うことが分からないから裏がある。そういう人間を相手にしたときにタイムがどうなるのかはこの物語を進めていくうえで左右する一つのものだと思います。素直に何かを信じられたり、人を分け隔てなく見ることができる人は素敵だなと、演じて改めて思いました。

共演者の方との思い出はありますか?

奥平 めちゃくちゃ楽しかったに尽きます。(新田)真剣佑さんとは一緒にアクションをやっているときの思い出もありますし、タイム・ナギ(中島セナ)・ソン(エマニエル由人)は冒険する仲間なのでいろいろな所に行きましたし、お芝居ですがいろいろな体験をしました。森田(剛)さんとはアクションシーンもそうですけど、物語の大事なところであったり、一緒になったりもしました。

撮影は始まったのが8月からで終わったのが12月で、クランクインのときはすごく暑かったのに、クランクアップのときはすごく寒かったです。熊谷にセットが1つあって、40度とかあるところでしたが、クランクアップ間近になったらセットは同じ場所なのにすごく寒い。そう考えると長い間やっていたんだねと、そういう会話ができるたという印象が残っています。

完成した作品をご覧になってどのような印象でしたか?

奥平 CGやアニメが加わることでファンタジー感が増えたというか。セットを見て普段の美術と違い、ファンタジー要素も感じられて、それだけでも一味違うという印象を持っていましたが、完成したものを見ると、日常生活のどこかにファンタジーがあるようなテイストになっていて。アニメもそうですけど、実写のCGが使われているところとか、こういうテイストの画を出せる作品は今、日本にどれくらいあるのかなと思うと、貴重な作品だと思います。

ご自身の想像を超えてきた部分はありましたか?

奥平 とてもありました。撮影現場だとCGのシーンでは誰もいないし、声のお仕事をやっていると完成していない絵に当てはめているので何も分からない状態も多いし。全部グリーンバックの時もあったし。その中で全部ハマっていくとこれだけリアルなんだというか、完成度がすごいなと思いました。

第15回TAMA映画賞において、最優秀新進男優賞の受賞おめでとうございます。「今しかできないお芝居を大切に」とおっしゃっていましたが、本作では今しかできないお芝居をできたと感じましたか?

奥平 別の作品になりますが、『ワンダーハッチ -空飛ぶ竜の島-』を撮る前に『君は放課後インソムニア』という作品で、森七菜さんとW主演をやらせていただいて、タイムという役をやるうえで森七菜さんを勉強したというか。本人には言っていないですけど(笑)内からくる無邪気さというか、お芝居をするうえでゼロからイチを作る力は僕にはなかったので、個人的に森さんはそういう能力に長けている方だと思っています。その後『ワンダーハッチ -空飛ぶ竜の島-』の撮影があったので、これはあの時にしかできない感覚だし、お芝居だと思います。作品は一個一個別のものだし、区切られていくものだけど、僕は次の作品にいいように作用させたい、いいように自分の役作りとかお芝居をやりたいと思っていて。その環境は絶対にその時にしかできないですし、今タイムをやったら絶対に違うタイムになるし、貴重なものだと思っています。その時の感覚は大事にすべきだし、次の作品に活かせればと思うようになりました。

本作ではさまざまな冒険を繰り広げますが、奥平さんご自身が冒険したいところはありますか?

奥平 海外に行きたいです。仕事で行けたら良い経験ですけど、プライベートでも。日本以外のことを知っておきたいという感覚というか、若いうちにいろいろなことを経験しておきたいと思っています。個人的にはお洋服とかが好きなので、フランス・パリに行きたいです。お芝居以外の刺激も受けてみたいと思います。

それが芝居に返ってくることもありそうですね。

奥平 そうですね、僕はたぶんいいように作用してくると思うので、経験しないよりしたほうが絶対にいいと思うので、何かしらで行けることを期待しています。一番はお仕事で行けたらいいですけど(笑)

本作の魅力や見どころを教えてください。

奥平 ファンタジー大作が今、日本にあまりない中で、そんな簡単に作れるものではないですし、ディズニープラスに制作していただいて、こういう作品を世の中に出せるのは貴重なことだと思います。日本のアニメが混ざっているので独特というか、もしかしたらまだ名前がついていないだけで、今後こういうジャンルができるものの先駆けになるような作品になるかもしれない。ただ、僕らが『ワンダーハッチ -空飛ぶ竜の島-』という作品を自信を持って、世の中にお届けできるということは間違いなく言えることなので、自由に解釈していただいて楽しんでいただければと思います。まずはこの作品の映像やアクションだったり、作品全体を楽しんでほしいです。考えさせられるところもあると思いますし、そこは伝えたいですけど、とりあえずは作品を楽しんでほしい。見るだけで楽しくなるような魅力がある作品だと思います。

スタイリスト:伊藤省吾(sitor)
ヘアメイク:速水昭仁(CHUUNi Inc.)

【写真・文/編集部】

STORY
実写で描く“私たちが住む現実世界”と、アニメで描く“ドラゴンが棲む異世界”の2つの世界が描かれる本作。現実世界〈横須賀〉でどこか周囲の同級生たちに馴染めなさを感じながら生きる主人公・女子高生のナギ(中島セナ)は、ある日もう一人の主人公で、異世界〈ウーパナンタ〉からやってきたという、落ちこぼれのドラゴン乗りの少年・タイム(奥平大兼)と出逢う。タイムはドラゴン乗りとして最も重要な“ドラゴンたちの声”を聴くことができない。現実世界〈横須賀〉と異世界〈ウーパナンタ〉という別々の地で、周りと少し違う自分に生きづらさを感じて生きていた、似た者同士の2人が出逢う時、2つの世界を巡る壮大な物語が始まる―。


TRAILER

DATA
ディズニープラス STARオリジナルシリーズ『ワンダーハッチ -空飛ぶ竜の島-』はディズニープラス「スター」で独占配信中
話数:全8話
出演:中島セナ、奥平大兼、エマニエル由人、SUMIRE
津田健次郎、武内駿輔、嶋村侑、三宅健太、福山潤、土屋神葉、潘めぐみ、宮寺智子、大塚芳忠
田中麗奈、三浦誠己、成海璃子 /新田真剣佑(友情出演)、森田剛
監督:荻原健太郎 アニメーション監督:大塚隆史
原案:solo、日月舎 脚本:藤本匡太、大江崇允、川原杏奈
キャラクター原案・コンセプトアート:出水ぽすか
プロデューサー:山本晃久、伊藤整、涌田秀幸
制作プロダクション:C&I エンタテインメント
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