『ブルーイマジン』山口まゆ インタビュー

INTERVIEW

映画『ブルーイマジン』で主人公・斉藤乃愛役を演じた山口まゆにインタビューを行った。

本作は、現代の東京・巣鴨を舞台に、女性たちの信念と連帯と葛藤のドラマを描いた青春群像劇。山口まゆが演じる駆け出しの俳優志望・斉藤乃愛は、過去にある映画監督から受けた性暴力被害のトラウマを抱えながら生きているが、そのことを誰にも打ち明けられずにいた。しかし、さまざまな形の性暴力、DV、ハラスメントに悩まされる若き女性たちに寄り添い、トラウマを救済するための駆け込み寺となっているシェアハウス「ブルーイマジン」に集まる女性たちと心の痛みを分かち合いながら連帯することを通じて、初めて自らの過去のトラウマと向き合えるようになっていく。

最後までグッと引き込まれる作品でした。本作のお話を聞いたときの印象を伺えますか?

山口 自分もこの業界で俳優をやっているので、こういうことがあることをちゃんと伝えていかなければいけないと感じました。

監督の強い思いが込められている感じがしましたが、監督とはお話はされましたか?

山口 撮影に入る前に監督とお話をさせていただき機会がありました。そのときに「誰かが救われる作品にしたい」というのと、「乃愛が前を向いて生きていくことを作品として残したい」と強くおっしゃっていたので、そこの軸はぶれないようにと撮影に臨みました。

役柄に共感する部分はありましたか?

山口 乃愛は自分の心の中にある感情をずっと隠して、外に出してこなかった。私も昔は自分の気持ちを隠していることが多かったので、そこは乃愛に共感していました。心にある気持を伝えたところで、誰か聞いてくれるのかと不安に思っていたのが大きかったですね。でもこの映画のように助けてくれる人はいる、とも思うようになりました。乃愛が「ブルーイマジン」の人たちに心から話せる人ようになったように、私もすこしずつ話せるようになってきました。そこも共感する部分でした。

ご自身の中で不安を抱えたときはどのように解消していきましたか?

山口 いま振り返ると、解消できていないことの方が多かったのかもしれません。言われたことに納得がいかなくても、納得しているふりをしていたのかなと。だからずっとモヤモヤするし、漠然とした不安がありました。でも最近になって、不安を伝えてもいいんだと思えるようになってきて、少し気持ちが楽になりました。自分の気持ちに正直になっていくことは大切だと気づきました。

いま悩んでいたころの自分に声をかけるとしたら何と言いますか?

山口 “嫌”という気持ちを持っていけないんじゃないかと思っているかもしれないけど、その気持ちがあること自体は間違っていないから、自分に正直になってもいいよということですかね。自分の“嫌い”を知ることで、自分の“好き”も知れると思いますし。その方が自分自身のことも知っていけるので、その時に感じた気持ちに正直になるといいよと伝えたいです。

キャラクター同士の距離感も重要かと思いますが、撮影現場はいかがでしたか?

山口 みんなそれぞれが自分の役割と向き合っている時間が多かったです。スタッフ、演者、監督、みなさんが悩んでどうしたら伝わるか、被害を受けた人が嫌な気持ちにならないように考えながら撮影していました。川床(明日香)さんと北村(優衣)さんとは仲がいい役なので、事前に読み合わせをして空気感を掴んでいきました。

この作品に出演して、改めて感じたことはありますか?

山口 誰もが問題にぶつかって悩んだり、苦しんだり、辛い思いをすると思います。
そういう時は自分が心を許せる人を巻き込んで頼る、そういう選択肢もあるということを知ってもらえたらいいなと思います。乃愛は「ブルーイマジン」に入って、いろいろな人たちの後押しがあったからこそ、前を向こうと思えたのだと感じます。一人で闘うのはつらいじゃないですか。だから、巻き込んで、時には人のせいにして(笑)自分を助けてくれる人に感謝を忘れずに、たくさんの味方を作っていくことの大切さを教えてもらいました。

ヘアメイク:美樹(Three PEACE)
スタイリスト:竹岡千恵

【写真・文/編集部】


TRAILER

DATA
『ブルーイマジン』は2024年3月16日(土)より新宿K's cinemaほか全国で順次公開
監督:松林麗
出演:山口まゆ、川床明日香、北村優衣
 新谷ゆづみ、松林うらら、イアナ・ベルナルデス、日高七海、林裕太、松浦祐也、カトウシンスケ
 品田誠、仲野佳奈、武内おと、飯島珠奈、宮永梨愛、渡辺紘文、ステファニー・アリアン、細田善彦 ほか
配給:コバルトピクチャーズ
©Blue Imagine Film Partners

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