ディズニープラス スター オリジナルシリーズ『七夕の国』で主人公の大学生・南丸洋二を演じる細田佳央太にインタビューを行った。
「寄生獣」や「ヒストリエ」などで人気を博す岩明均が、1996年から1999年にかけて小学館「週刊ビッグコミックスピリッツ」にて不定期連載したSF漫画「七夕の国」をディズニープラス「スター」にてドラマシリーズ化した本作。出演は、物に触れず小さな穴をあける“役に立たない超能力”を持つ平凡な大学生・南丸洋二(通称:ナン丸)を、「ドラゴン桜」「どうする家康」など話題作への出演で躍進を続ける若手俳優・細田佳央太、丸神の里に住みナン丸を気に掛ける東丸幸子を藤野涼子、球体の力を悪用し“丸神の里”を追い出された幸子の兄・東丸高志を上杉柊平、ナン丸の通う大学で講師を務め丸神教授を探す江見早百合を木竜麻生、“丸神の里”で失踪した大学教授・丸神正美を三上博史、球体の力で日本中を恐怖に包む謎の男・丸神頼之を山田孝之。監督は「大豆田とわ子と三人の元夫」や『クレイジークルーズ』でメガホンをとった瀧悠輔が務める。
細田 台本を読んでいるから知ってはいるんですけど、「そうだよな」と思いながら見ていました。エグられるところは、生々しくてリアルだなと。
細田 監督から本読みの時間の際に「お芝居をもう少し軽くしてほしい」という話がありました。お芝居を軽くするというのはお芝居を作り込み過ぎないということで、ドラマっぽい分かりやすいクセが僕の中で無意識についていたので、そのクセを取り除いていきました。クランクインして3日目の丸神ゼミを初めて訪れるシーンで、なんとなくナン丸の方向性が決まりました。濱田龍臣君や木竜麻生さんたちのおかげだなと思います。
細田 難しかったです。『七夕の国』が終わってから、こういうナチュラルなお芝居を求められたときの引き出しができたような気がします。
細田 ナン丸の大事なところは変わっていないですけど、アドリブなどに乗っかたりはしました。
細田 そう思います。台本を読んでほかのキャストさんのお名前などを聞いて、この方ならこういうお芝居をするのかなというのはなんとなくイメージはするのですが、当然それは自分の勝手な予想なので、現場でどうなるか分からないんです。こういうお芝居をしそうだから自分はこういう準備はしていこう、ただ現場では変わる可能性があるという心持ちで台本を読んでいって、変わったら「おもしろいな」と思いながら勉強しています。
細田 こういうやり方もあるんだなと、僕自身も自分のお芝居ですら現場で見つけることがあります。“怒り”という感情があったとして、そこにつながる理由にはいろんな種類があって、お芝居でもいろんな怒りの見せ方があります。怒鳴るのか、黙るのか、泣くのか。ただ怒ると台本に書いてあった時に、その人がどういう怒り方をするのかというのは見ていて勉強になるなと思います。スイッチの入れ方がすごいなとか、そういうおもしろさを見出しながらやっています。舞台だと臨機応変に対応する力がすごく求められると思うのでより顕著に感じますし、瞬発力も鍛えられるんだろうなと思います。
細田 撮影前は特に主演だからということは考えないようにと思っていました。ただ、これだけすごいキャストのみなさん、監督、スタッフさんの中で自分が真ん中でやらせていただけるということで、自分が少しでもできることはないかなということは撮影に入ってから模索しました。そういったコンタクトの仕方は初めてだったので、それがもしかしたら主演としてできたことだったのかなと思います。もともと人見知りですが、今回現場ではいろんなスタッフさんとお話をしました。これまでコロナ禍で、地方でご飯に行くことができなかったんですけど、今回は何回か行かせていただいて、そこで改めて話せたことがあったので、とても嬉しかったです。
細田 丸神ゼミのメンバーや幸子さん(藤野涼子)、亜紀さん(鳴海唯)と行動することが多かったので、仲良く和気あいあいとやっていました。高志さん(上杉柊平)は現場中、ナン丸との距離感で接してくださっていたのでとても有難かったです。皆さんとても素敵な方々ばかりで、楽しく撮影することができました。
細田 ナン丸を作るうえで読み込みましたね。今回に関しては原作のナン丸からしか引っ張り出せないことがあると思ったので、めちゃくちゃ読みました。
細田 監督が説明してくださって、みんなで目線は「あそこくらいですか」と決めていました。長い棒の先に“×”を貼ってそこを見たりしました。想像してやるのは難しかった場面もありますが、どういった画になるのかはとても楽しみでした。
細田 そうですね。撮影前にデモ映像で見させていただきつつ、現場では棒に発泡スチロールの球体が刺さっていて、テストでは助監督さんが「こう動きます」と動かしてくれるので、それを見てつかんで本番でやるという感覚でした。
細田 最初は全然つかめませんでした。ナン丸は最初、能力の使い方に慣れていないからスピード感をつかむのが難しかったです。後半になると使いこなせるようになるので、スピード感とか、大きさとか手の感覚もやりながらつかんでいく感じでした。
細田 いや、それが合わなくてテイクを重ねることはなかったです。
細田 いや(笑)テストでスタッフのみなさんが球体がどのくらいの早さで動くのかやってくださったのが大きいです。それを見ながらスピード感をつかめたので。
細田 本読みで監督と一緒に固めました。クランクインの一発目のシーンがいきなり「ちょわああああ」だったのでドキドキしました。
細田 口は特に原作の形に寄せました。撮影中に「すごい“ちょわああああ”だったよ」「口が原作まんまだった」と言ってもらえることが多かったので安心はしていました。あれだけ特徴的に描かれていて、滑稽なことを本気でやっているのがおもしろいと思ったので実際映像になっても違和感ないと感じていただけていたら嬉しいです。
細田 全10話を3月から7月まで撮っていたので、だいぶ余裕があったと思います。描写としてもストレートに表現することができるので、ミステリーでもあり、怖さみたいなところもいい意味で引き込んでいくなと思いました。
細田 日常的に使いたい能力は別にあるので、超常的な話をするとしたら時間を止めたいですね、一回くらい。あまり遅刻はしないようにしていますけど、万が一寝坊した、時間を見間違えた、あとは「現場が巻いているので早く来てもらえませんか」となったときに役に立てるように使ってみたいです。
細田 だってほかに使わないですよ(笑)コストを削減させるための能力として使いたいですね。
細田 カレーライスが好きなんですけど、ご飯をよそった時に一発でどんな食べ方をしても、ご飯とカレーのルーが同時になくなる量を見定めることができる能力が欲しいです。考えながら食べるようにしているんですけどご飯があまりがちなんですよ。家で作っても外で食べてもご飯があまりがちなので、一回くらいきれいにちゃんと食べられるようになったらどれだけ楽しいかな。
細田 あと別枠として、どんな状況でも味噌汁の味が一発で決まる能力が欲しいです。味噌の量って難しいじゃないですか。一人にふるまうにも50人にふるまうにも均等に絶対に同じ味になるくらいの配分が見定められるようになったらいいなと思います。
細田 それくらいくだらないと思うものでいいんだと思います。恐らく特別な能力を欲していないのかもしれませんね。
細田 ナン丸や丸神ゼミのみんなが球体の謎を解いていくように、見ている皆さんもちゃんと理解ができるように、模型や図が出てきます。難しい内容ながらも、理解できるような配慮がなされている丁寧な作品なので楽しんでいただきたいです。球体の謎をみんなで解いていくミステリー作品でありつつも、球体が実は人を殺めたり、物質をエグったり、ある種のSF要素が込められています。そういった意味では、日本の方も海外の方も一つのエンタメ作品として楽しんでいただけるものになっていると思います。
【写真・文/編集部】
『七夕の国』はディズニープラス「スター」で独占配信中
監督:瀧悠輔、佐野隆英、川井隼人
出演:細田佳央太 藤野涼子 上杉柊平 木竜麻生 鳴海唯 濱田龍臣 西畑澪花 深水元基 石田法嗣 金田哲 篠原篤 谷川昭一朗 足立智充 大西武志 政修二郎 奥貫薫 忍成修吾 朝比奈彩 金山一彦 中村育二 朝加真由美 伊武雅刀 三上博史 山田孝之
©2024 岩明均/小学館/東映
岩明均「七夕の国」(小学館刊)