映画『遺書、公開。』で、主人公で[序列19位]の池永柊夜役を演じる吉野北人にインタビューを行った。
陽東太郎による『遺書、公開。』(ガンガンコミックスJOKER)を原作とし、その奇抜な設定に惚れ込んだ鈴木おさむが手がけたシナリオを英勉監督が実写映画化。主演の吉野北人ほか、宮世琉弥、松井奏(IMP.)、志田彩良、髙石あかり、堀未央奈ら若手かつ実力派が勢揃い。新学期の春、2年D組に送られてきた〈序列〉ーそこには生徒と担任の全員の明確な順位が示されていた。序列1位の姫山椿は優しくて人気者、誰もが認める優等生。だがある日、彼女が何の前触れもなく自殺する。数日後、クラスの全員に姫山から遺書が届き、その日から学級崩壊が始まる―。果たして生徒たちが最後に待ち受けるものは…⁉序列がもたらす人間の本性を描いた衝撃のドス黒エンタメミステリーが誕生。
吉野 これだけのキャストがいて、1人1人が際立っている作品だと思ったので、映画としてどういう展開になるんだろうなと思いました。最初に脚本を読んだ時は、主演に選んでいただきましたが、キャラクターそれぞれにフォーカスが当たっていて、1人1人にちゃんとストーリーがあるので、展開が読めないし、どうなっていくんだろうと感じました。キャストが多い分、見応えがある作品だなと思いました。
吉野 順番通りに撮ったので、最後になるにつれて空気が重たくなってきて。順撮りだったからこそすごく良かったです。みんなの空気感だったり、気持ちの入り方が徐々にクライマックスになるにつれて作り上げられていく感じで、良い環境で撮らせていただきました。
吉野 セリフがそこまで多くないというのと、しっかりと物語を背負っていかないといけない人物だったので、どうやって存在感や作品を見せようかなと迷いもありましたが、なるべく抑えるという方向性で役を作っていきいました。役柄が地味ですが、少し責任感もあり、静かに見ているような感じで。でも言う時は言うので、その一言の存在感を意識しました。一言一言の伝え方とか、表情だったり。そういったところで何か見せられたらいいなと思いました。キャラクターが多く、遺書を公開する場面でも感情を爆発させ、人間性や裏の顔が全面に出たお芝居をされていた方が多い作品でした。自分はどちらかというと、もっと感情を出したい部分もあったんですけど、そこを抑えて静かに見守る、お客さん目線になれればいいなと考えていました。監督とも「お客さんにとって、池永が映ったら安心するような存在でありたいね」とお話しをしていました。
吉野 声を褒められることが多いですけど、アフレコが好きなのでやっていてすごく楽しかったです。モノローグとして声で見せるので、役にしっかりと合わせつつ、その作品の世界観に合うような感じで行いました。
吉野 共通している部分としては、僕もそんなに前に出るようなタイプではなくて、でもいく時はいくぞみたいな。言う時は言うし、ちょっとした責任感というか、正義感みたいなところは似ているなと思いました。でも、普段はみんなの前に立って何かを伝えるというタイプでは無いです。THE RAMPAGEは16人いまして、その中でもボーカルとしてライブ中は前に出ていくんですけど、それ以外のリハーサルだったり、打ち合わせだったりはそんなに前に出て発言するようなタイプではないです。そういうところは結構似ているなと思いました。お芝居も自分に近い感情で演じられたので、全体的には難しいところはそんなになかったです。
吉野 朝、メイク前に監督が来てくださって、遺書を読む人だったり、セリフが多い人たちに、「今日どう?」みたいなに話しかけてくださいました。段取りの前から、コミュニケーションをよく取ってくださって、監督がいろいろと気にかけてくれていたので。そこで各々がディスカッションをして、「こういう感じで」というプランを決めていたと思います。みんな自分のプランをちゃんと考えており、現場で「もっとこうした方がいいかも」みたいなのも、もちろんありました。
吉野 本当に学生に戻ったような感覚でした。終始みんなで教室にいたので昔に戻ったような感覚で、空き時間もみんなで差し入れの周りを囲んで話しながら食べたり、ワイワイしていたりとか。合唱するシーンがあるんですけど、懐かしいなとちょっとエモい気持ちになりつつ、当時を振り返るような場面がいっぱいあったので。28歳にしてなかなか感じられない感情になりました。
吉野 急に間に入り込むシーンが結構あったんです。その人の言動に対して「それは違うでしょう」というシーンが何個かあって、そこはすごい緊張感で、その場の雰囲気を切らなければいけない。バチバチしている中に、入っていくというのは緊張感もありました。自分がその世界観に入り込んで止めにいかなければいけないので。
吉野 そうなんです。「うわー、みんなの視線を感じる」と思いながら演じていました。
吉野 みんなとコミュニケーションを取らせていただきましたが、その中でも(宮世)琉弥だったり、(松井)奏は話していたことが多いです。琉弥はたくさんの作品に出ているので、他の現場の雰囲気だったりとか、「どんな感じなの?」というのを聞いていました。奏はアーティストの話や、俳優として今後どうしていくのかなど、身近な話もしていました。
吉野 自分でデモを全部聞いて、「この楽曲でいきます」と決めて、どういうテイストでいくかも「強めのロック調でやりたいです」と自身で提案したので、本当に自分が思い描いていた通りの楽曲です。実際に映画を見たときに、最後に流れた瞬間はすごく鳥肌が立つような、「わあ、流れている」という思いでした。いい意味でぶったぎっている感じがとても良いと思ったので、完成した作品を見て、安心しました。レコーディングも、気持ちが入りましたね。
吉野 そうですね。ちょっとホラーな世界観に合わせてもいいのかなと思い、めちゃくちゃ迷ったんですけど、思い切って、“バンっ”と区切って強めにいった方が面白いかなというのもあったのでバッチリでした。
【写真・文/編集部】
『遺書、公開。』は全国で公開中
監督:英勉
出演:吉野北人、宮世琉弥、志田彩良
松井奏(IMP.)、髙石あかり、堀未央奈、忍成修吾
上村海成、川島鈴遥、荒井啓志、松本大輝、星乃夢奈、榊原有那、藤堂日向、菊地姫奈、大峰ユリホ
阿佐辰美、兼光ほのか、日髙麻鈴、大東立樹、金野美穂、鈴川紗由、浅野竣哉、青島心、楽駆
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