戦後70年、山田洋次監督が長崎を舞台に描くやさしく泣けるファンタジー映画『母と暮せば』の公開記念イベントが9日(水)、長崎大学で行われ、山田洋次監督が登壇し、サプライズゲストとして吉永小百合と二宮和也が出席した。
映画の撮影にも使われた、二宮演じる浩二が通っていた長崎大学医学部(当時、長崎医科大学)にて、現役医学生たちとともに、長崎から平和を考えるイベントが行われた。浩二のモデルとなった元長崎大学長の土山秀夫氏と、山田洋次監督による講義が行われ、立ち見も含む450人の医学部の生徒が集まった。
土山先生の戦争当時の話や、山田監督が母と息子の描き方を語った後、サプライズとして吉永と二宮が登場すると、「きゃー!」「うそー!」と割れんばかりの大歓声が上がった。吉永は「撮影に入る前に伺って、原爆でひしゃげた門柱などを見せていただいたり、学生さんにお話を伺ったりしました。実はおじが長崎大学の医学部を1938年に卒業して、戦争に行ってマラリアになったけれども戻ってきて長崎でドクターをしていました」と同大学との関係を語った。二宮は「映画の中では皆さんの先輩という事で、気になることがあればいつでも聞いてください(笑)」とコメントし、「僕自身、戦争を知らない世代で、そういう年代でも土山先生のような方からお話を聞けるのはとても有意義なことだと思うので、ぜひそれをかみ締めて、映画を観て欲しいです」とコメントした。
また、ユナイテッド・シネマ長崎で行われた舞台挨拶イベントには、山田監督、吉永、二宮が出席しトークを行った。
山田監督が「若い人が多いですね、しかし(笑)」と話すと、二宮も監督のモノマネをして「若い人が多いですね(笑)」とコメント。「本当にこんなに参加してくれてありがたいです」と感謝の気持ちを語った。
撮影前に長崎に行ったことについて、吉永は「ずっと階段を上った坂の上の先に私たちの家があってなど監督と話して。そういうことって映画の中でとても大事だと思うんです。なので家族旅行のような形で撮影前にこられたのは良かったなと思っています」とコメント。二宮は「すごくいい経験でした。空港から橋を渡ってくるんですが、時代は違うけど、もし長崎で生まれてジャニーズに入っていたら、ここを取って東京に行くんだなと思ったり(笑)」と答えた。
オファーを受けた時の心境を聞かれた二宮は「まるで神様ふたりの様な方が僕を知っているとなんて思っていなかったから、そういう話を頂いていると聞いても、人ごとのように思ってしまいましたね。現場に行くまで信じられませんでした」と語り、「山田監督を含めた3人で、当時のお話を聞かせて頂く事が多かったですね。当時の話を聞かせていただくと質感が変わってきますね」とコメントした。
これまでと違った発見について聞かれた吉永は「生きていない人とお芝居をするなんて初めてですし、なんだか不思議な楽しみがありました」とコメントし、それに対して二宮は「現場が終わると毎回生き返ったような気がしていましたよ。ちょっと舞台みたいな、僕は母としか喋らないので貴重な特殊な作品になりました」と語った。
亡霊のセリフを楽しく言えたかと聞かれた二宮は「僕はある意味、この原爆が落ちて街にもたらした被害を知らなくていいキャラクターなので、起こる前の昔の話を楽しくしているのは特殊だし、そこは監督と丁寧にお話しながらできましたね」と難しい役どころであることを思わせた。それに対して山田監督は「でも誰もができる役ではないんですよ。あんまり汗臭い人がやっちゃうとね(笑)彼の軽やかな感じがいいんです」と加えた。
最後に二宮は「この映画に参加した意義は、僕を応援してくれている若い世代戦争を体験したことのない人たちに見てもらうのが僕の使命でもありますので」とメッセージを贈ると、山田監督からすかさず「でも、年配の人のファンもいるよ?92歳のおばあちゃんとか」と言われ、改めて「そうですね!(笑)では年上の世代の方にも見ていただくのが使命ですので(笑)
皆さん大切な人と見ていただきたいと思います」と本作をアピールした。
映画『母と暮せば』は12月12日(土)より全国で公開!
監督:山田洋次
出演:吉永小百合、二宮和也、黒木華、浅野忠信、加藤健一
配給:松竹
(C)2015「母と暮せば」製作委員会