常に時代を挑発し、世の常識に疑問符を投げかけてきた園子温監督が、構想25年を経て結実したモノクロSF作品『ひそひそ星』。2013年に設立したシオンプロダクションの第一回制作作品で、『地獄でなぜ悪い』(2013)や『ラブ&ピース』(2015)と同じく、園子温が20代のときに書き留めていたオリジナルの物語が、“いま”を映す映画として誕生した。園監督の妻であり女優の神楽坂恵が演じるアンドロイド・鈴木洋子“マシンナンバー722”が昭和風の\レトロな内装の宇宙船に乗り、滅び行き絶滅種と認定されている人間たちに大切な思い出の品を届けるために宇宙を何年も旅する。
今回解禁された予告編では、星から星へと移動する宇宙船の中の蛇口の水滴やマッチの点火といった様々な“音”や、お茶をすすり丁寧に掃除をし、ぼんやり外を見るなどして過ごす鈴木洋子の宇宙空間での暮らしが描かれている。1枚の写真やフィルムの切れ端といったささやかなものばかりを、星に降り立ってはかつて人々でにぎわった街や海辺に荷物を届けていく。そして、“30デシベル以上の音を立てると人間は死ぬおそれがあります”というナレーションで紹介される“ひそひそ星に降り立つ。静けさとたおやかさと深い哀切と独特の詩的表現に満ちた本作の魅力が伝わる映像になっている。
同日より公開される『園子温という生きもの』は、鬼才・園子温という人物の生態に迫るべく376日に渡り彼を追い続けたドキュメンタリー映画。2014年にMBS「情熱大陸 映画監督・園子温」を手掛けたドキュメンタリー監督・大島新が、テレビには収まりきらない規格外のその人物の魅力を描きたいという想いで放送後の2014年9月から一年にわたって撮影を敢行。これまでテレビ、雑誌で取り上げられることもあった園の密着ドキュメンタリーとは期間の長さ、濃密さも一線を画す。
今回解禁された予告編では、自身のアトリエで自由奔放な絵を手に「人間っていうものは “いい”とか“悪い”じゃないんです」と熱弁をふるう姿が映し出されている。ほかにも目を閉じ考え込む姿、ライブハウスでのパフォーマンス、渋谷駅のハチ公像前で警官に事情聴取される姿など、映画監督にとどまらない園の活動をつぶさに追っていく。『ひそひそ星』の撮影の舞台裏にも迫り、「いい映画になるかな・・・」とスタッフに不安げにつぶやく様子も確認できる。また、「若い頃の園子温役とか絶対やりたい」と熱く語る染谷将太や、「自分のことをよくやったなと思う」と涙ながらに語る妻・神楽坂恵といった、関係者による貴重な証言もこの映像に収められている。この作品で描かれるのは普段見せない園の様々な表情で、“園子温という生きもの”の記録として、園子温を語る上で見逃せない作品であることが伝わるパワフルな映像になっている。
『ひそひそ星』予告編
『園子温という生きもの』予告編
映画『ひそひそ星』は2016年5月14日(土)より新宿シネマカリテにて公開!
監督・脚本・プロデュース:園子温
出演:神楽坂恵、遠藤賢司、池田優斗、森康子、福島県双葉郡浪江町の皆様、福島県双葉郡富岡町の皆様、福島県南相馬市の皆様
配給:日活
2016年/日本/100分
© SION PRODUCTION
映画『園子温という生きもの』は2016年5月14日(土)より新宿シネマカリテにて公開!
監督:大島新
出演:園子温、染谷将太、二階堂ふみ、田野邉尚人、安岡卓治、エリイ(Chim↑Pom)、神楽坂恵
配給:日活
2016年/日本/97分
©2016「園子温という生きもの」製作委員会