自主制作映画『チチを撮りに』がベルリン国際映画祭ほか国内外の10を超える映画祭で絶賛された、中野量太監督待望の商業デビューとなる本作。“死にゆく母と、残される家族が紡ぎだす愛”という普遍的なテーマを、想像できない展開とラストで、涙と生きる力がほとばしる驚きと感動の詰まった物語となった。
脚本を読み、「心が沸かされた」と出演を決めたのは、『紙の月』(2014)で日本アカデミー賞最優秀主演女優賞など同年の賞レースを総なめにし、名実ともに日本を代表する女優となった宮沢りえ。会う人すべてを包みこむ優しさと強さを持つ“お母ちゃん”双葉役は、彼女以外には考えられないと思わせる熱演を見せる。双葉の娘・安澄を演じるのは、今もっとも注目の実力派若手女優・杉咲花。頼りないけどなぜか憎めない“お父ちゃん”を演じるのはオダギリジョー。旅先で双葉と出会い、彼女の母性に触れ人生を見つめ直していく青年・拓海役に松坂桃李。さらに、篠原ゆき子、駿河太郎、オーディションで選ばれた驚きの新人子役・伊東蒼が新しい家族の物語を彩る。
今回、追加キャスト発表と併せて解禁となる場面写真には、銭湯「幸の湯」の前にお母ちゃんや娘たちと並ぶお父ちゃん(オダギリ)の姿、そして旅先で出会ったお母ちゃん(宮沢)に、まるで子供のように優しく頬を包まれている青年・拓海(松坂)の姿が写し出されている。登場人物たちにこれからどんな出会いがあってどんなドラマを織りなしていくのか―。思いを馳せずにはいられない。
オダギリは「熱く、繊細で、愛情溢れる素晴らしい脚本だと思いました。母親に対しての感覚をこのような脚本に仕上げる監督と是非仕事をしたい!と思いましたし宮沢さんが演じる“おかあちゃん”を見てみたいと思ったのがお引き受けした理由です。」と出演の経緯を語り、「自分を例えるならば、麻婆豆腐における山椒のような存在になれているならば幸いです。」とコメント。
松坂は「台本を読んで、親子の絆を繊細に描いた優しい本だと思いました。映画を見終わった後に、しっかり残る作品だと思いました。そんな中野組に参加できたことは、本当に幸せでした。」と本作に出演したことへの気持ちを語り、「個人的なことですが、撮影中に銭湯の番台に座れた時は心躍りました。主演の宮沢りえさんは包容力があり、一緒にいるだけで吸い込まれそうな魅力のある方でした。彼女は女優というよりは、役者という感じの方でした。そんな宮沢りえさんとご一緒できたことは、もう一つの幸せでした。」と撮影時の様子を振り返った。
銭湯「幸の湯」を営む幸野家。しかし、父が1年前にふらっと出奔し銭湯は休業状態。母・双葉は、持ち前の明るさと強さで、パートをしながら、娘を育てていた。そんなある日、突然「余命わずか」という宣告を受ける。その日から彼女は、「絶対にやっておくべきこと」を決め実行していく。家出した夫を連れ帰り家業の銭湯を再開させる、気が優しすぎる娘を独り立ちさせる、娘をある人に合わせる―。母の行動は、家族からすべての秘密を取り払うものだった。ぶつかり合いながらもより強い絆で結びついていく家族。そして母から受けた大きな愛で繋がった家族は、究極の愛を込めて母を葬ることを決意する。
映画『湯を沸かすほどの熱い愛』は2016年10月29日(土)より新宿バルト9ほか全国で公開!
脚本・監督:中野量太
出演:宮沢りえ、杉咲花、篠原ゆき子、駿河太郎、伊東蒼、松坂桃李、オダギリジョー
配給:クロックワークス
(C)2016「湯を沸かすほどの熱い愛」製作委員会