『パコ・デ・ルシア 灼熱のギタリスト』R

フラメンコに革命を起こした伝説のギタリストのドキュメンタリー『パコ・デ・ルシア 灼熱のギタリスト』の予告編が解禁された。

2014年66歳で急逝したフラメンコに革命を起こし、世界のギター史に名を残す伝説のギタリスト、パコ・デ・ルシア。孤独を愛した天才の生涯をかけた“音楽探求”の旅は、フラメンコを伝統芸術から世界的なものへと変貌させた。先日行われたフィギュアスケート世界選手権2016で、ハビエル・フェルナンデス(スペイン)の演技でパコ・デ・ルシアの曲を使用し、優勝を飾った。パコ・デ・ルシアの奏でた音楽は色褪せることなく、亡くなって2年経った今も多くの人に愛され、クリエーターを刺激するレジェンドとなっている。

本作は、パコの実子クーロ・サンチェス監督が、演奏家としての父親の強靭なエネルギーと果敢なプロジェクトの軌跡を追った、渾身のドキュメンタリー映画。主要なコメント収録は2010年から2014年に行われ、冒頭および終幕の場面は、マジョルカ島のパコの自宅で撮影された。孤独を好み、自他ともに認める完璧主義者だったギタリストの、ストイックなまでの楽屋の表情や、張りつめたリハーサルシーンは、限られた身内にしか立ち入れない領域に違いないだろう。監督と共同脚本を務めたカシルダ・サンチェス、プロデューサーのルシア・サンチェス・バレラもパコの娘たちである。家族写真がふんだんにちりばめられている点も、この作品の魅力のひとつで、これまで誰にも見せたことがなかった、パコの芸術と向き合う姿勢や音楽に対する深遠な哲学、孤独を重んじる人生観が、余すところなく映し出されている。

フラメンコに革命を起こし、その超絶的な速弾きと類まれなるテクニックで、ジャンルを超えて世界中の音楽ファンを魅了し続けた偉大なるギタリスト、パコ・デ・ルシア。本作は、7歳でギターを手にしてから最後のアルバムとなった“Canción Andaluza”まで、60年間の軌跡を辿る。わずか12歳でプロのフラメンコ・ギタリストとしてデビューしたパコ。その才能はフラメンコにとどまらず、ジャズ/フュージョンへと活躍の場を広げ、1979年にアル・ディ・メオラ、ジョン・マクラフリンとの3人でアコースティック・ギターのみで敢行したツアーから、続く81年に発表したアルバムによって、スーパー・ギター・トリオの愛称で親しまれ、世界中で人気を博した。

世界を股にかけたスーパー・ギタリストの、頑ななまでの完璧主義ぶりと狂気に近い音楽探究への執念、その生き様に刻まれた栄光と挫折。音楽界のレジェンドたちのインタビューと、その圧倒的なテクニックによって生み出される、官能的で華麗なる旋律が奏でる名演奏シーンに心躍る、至福の音楽体験となるだろう。

『パコ・デ・ルシア 灼熱のギタリスト』E

『パコ・デ・ルシア 灼熱のギタリスト』チラシビジュアル

映画『パコ・デ・ルシア 灼熱のギタリスト』は2016年7月よりBunkamura ル・シネマほか全国で公開!

監督:クーロ・サンチェス
出演:パコ・デ・ルシア、チック・コリア、カルロス・サンタナ、ジョン・マクラフリン
配給:RESPECT(レスぺ)
2014年/スペイン/90分

© Ziggurat Films