刺激的で挑発的な衝撃作『ディストラクション・ベイビーズ』。監督を務めるのは、東京藝術大学大学院の修了作品『イエローキッド』(2010)が話題を呼び、ももいろクローバー出演の短編『NINIFUNI』(2011)がロカルノ国際映画祭やロッテルダム国際映画祭で特別上映されるなど国内外から注目を浴びる新鋭・真利子哲也監督。さらに、真利子監督とともに『桐島、部活やめるってよ』で日本アカデミー賞優秀賞を受賞した喜安浩平が脚本を担当。
今回、本作の完成披露舞台挨拶が行われ、物の怪に憑かれた様に喧嘩をくり返す主人公・泰良を演じる柳楽優弥、泰良に興味を持つ若者・北原裕也を演じる菅田将暉、泰良たちの遊びに巻き込まれる少女・那奈を演じる小松菜奈、姿を消した兄・泰良を探す弟・将太を演じる村上虹郎と本作の真利子哲也監督がが登壇した。
“日本映画界に革命をたらす若き才能”として紹介された4人の俳優が次々と登壇すると、場内からは悲鳴にも近い声があがった。柳楽は「僕としては代表作のひとつにしたいという気持ちで挑ませていただきました」と本作への決意を表し、菅田は「この映画が公開されることに感謝しています」と挨拶し、小松は「生々しさや臨場感だったり、とにかくパワーに溢れている映画」と本作をアピールした。また、村上は映画初出演作『2つ目の窓』が同じくテアトル新宿で上映されたことに触れ「ここで初めてやらせていただいて、大好きな先輩方と大好きな作品で戻ってこられて嬉しいです」感慨深げに語った。
本作について柳楽は「参加していなかったら悔しいと思うような作品になっています」と語り、若い演技派俳優が揃ったことから「世代交代です!」と宣言。登壇者全員で肩を組み、菅田が「無理やり感あった」と言うと、再び全員で肩を組み、柳楽は「チームワークハンパないですからね」と笑顔を見せた。
共演者について聞かれた菅田は「柳楽くんは怖かったです。普段はフレンドリーな方なんですけど、お芝居と分かっているのに怖い。イメージ以上に大きい人で、覚悟が違う」と柳楽の印象を語った。村上については「すごいフレンドリーに絡んできた」と振り返り、初対面のシーンを2人で再現し、場内からは笑いが起きた。小松については「僕が手をあげるシーンで、撮影上は殴っているように見えればいいんですけど、『当ててください』と言われて、思いっきりはたきました」と告白。その時の様子を小松は「痛かったです」と答えた。
本作では悪女を演じた小松だが、役柄については「人生で初めて髪を染めて、別の人を演じると言う気合いが入った。今までとは違う顔を撮ってもらえたので感謝しています」と振り返った。また、菅田が実際にビンタしたシーンについては「(ビンタする)フリは難しいなと思って、やるんだったらちゃんとビンタされたり、殴られたりしてほしいなと。気を使ってもらうのが嫌だったんです」と明かした。
村上は、完成後の本作を見て「最初に見るときは客観視できないんですけど、いいなーと思いました」と感想を答え、音楽についてとても興味を持っている様子で、「(音楽を担当している)向井(秀徳)さんは台本を読んだ時点で作って、すごいですよね。完全にマッチングしています」と興奮気味に話した。
真利子監督は撮影現場での様子を「十代、二十代、三十代がいて、各世代がせめぎあってお芝居をしているところで、すごく刺激的に見ていた。特に柳楽くんとは泰良という役について試行錯誤して作ったので、柳楽くんの思いが役者さんにもスタッフにも伝わって、みんなが自分の映画だと言う思いで作ってくれたのでやりやすかったし、かけがえのない現場になりました」と振り返った。
本作では暴力シーンが印象的に映されているが、柳楽は「暴力シーンは多いんですけど、肯定している映画ではないですよね?」と話し、真利子監督は「暴力は人によって、時代によって見え方が違うので、暴力って何かを描きたくて撮ったんです。だから肯定しているわけではないです」と答えた。
続けて、ステージ上では“誓いの拳”型取りが行われ、5人揃って粘土に拳を入れ、粘土で汚れた拳を見せポーズをとる場面もあった。
最後に柳楽は「バイオレンスで暴力描写が多いんですけど、そこを切り取ると好き嫌いがあると思うんですけど、この作品が劇場で公開されるということに深いメッセージがあると思い、この作品に携われました。感謝しています」とコメント、真利子監督は「今回が商業映画デビュー作で、役者さんも、“こういう映画があるべきだ”ということでみんあで一致団結して作った自信があります。自分たちも手探りで一生懸命作りました。自分たちの思いと熱量が伝わればいいなと思います。見終わってすぐに言葉にできなくても、自分なりの言葉で声を出してくれたらいいなと思っています」とメッセージを贈った。
映画『ディストラクション・ベイビーズ』は2016年5月21日(土)よりテアトル新宿ほか全国で公開!
監督・脚本:真利子哲也
出演:柳楽優弥、菅田将暉、小松菜奈、村上虹郎、池松壮亮、北村匠海、三浦誠己、でんでん
配給:東京テアトル
©2016「ディストラクション・ベイビーズ」製作委員会