島田荘司の御手洗潔シリーズ初の映画化となる『探偵ミタライの事件簿 星籠（せいろ）の海』の完成披露イベントが11日（水）に新宿バルト9で行われ、玉木宏、広瀬アリスらキャストと監督が登壇した。

世界が認めた本格ミステリーの巨匠・島田荘司が描く「御手洗潔」シリーズ。1981年の「占星術殺人事件」以来、49作目となる最新作「星籠の海」を原作としてシリーズ初の映画化された本作。主演を務めるのは、NHK連続テレビ小説「あさが来た」で優しく妻を支え続けた新次郎を熱演した玉木宏。本作では、天才脳科学者でありながら探偵を趣味に持つ、クールで冷静沈着な御手洗潔を演じる。原作者の島田が「御手洗潔を演じられるのは、玉木宏しかいない」と出演を熱望し、その演技について「突出した知性を漂わせ、講義の場面にも推理の披瀝にも強い説得力を発揮する」と絶賛する。また、唯一の映画オリジナルのキャラクターである、御手洗の大ファンで編集者の小川みゆき役として広瀬アリスが共演する。メガホンを取るのは「相棒」シリーズでメイン監督を務める和泉聖治。

今回、本作の完成披露イベントと舞台挨拶が行われ、主演の玉木宏、広瀬アリス、石田ひかり、小倉久寛、吉田栄作、和泉聖治が登壇し、撮影中のエピソードや、自身の「人生最大の謎」を明らかにした。

IQ300以上という天才・御手洗潔を演じた玉木は「常人離れしていてどう演じればいいのか苦労したんですけど、時折見せる人間らしさ、人付き合いの不器用であったりとかが人を魅了するのではないのかな。難解な事件を鮮やかに解決するところに説得力もある」と語った。原作者の島田が「玉木宏しかいない」というほど絶賛しているが、和泉監督は「玉木さんを見て御手洗がいると思った」と同意した。

それに対して、女性から見た御手洗潔の魅力を聞かれた広瀬は言葉に詰まらせながら、石田と見つめあい、すかさず玉木が「さっき『私はまったく魅力を感じないんです、どうしよう』って言ってたんです」と明かし、広瀬は「どういうことなんですかね」と笑い、石田が「スマートに謎解きをしていくところじゃないですか？」とフォローした。

共演者として玉木の印象を聞かれた広瀬は「よくゴキブリのおもちゃを投げてくるんです」と明かし、さらに「撮影が終わってしばらく経った後に、朝ドラ（連続テレビ小説 あさが来た）のニュースで波瑠さんが『玉木さんはゴキブリを投げてくる』っておっしゃってて、まだやってるんだって思いました」と明かした。石田は「私はお茶漬けをいただきました。アリスちゃんは全裸の人形をもらってたよね？」と話した。玉木は「現場ではコミュニケーションを取らなければいけないと思うし、お芝居でもいい関係が出せるんじゃないか」と理由を話しつつ、「ゴキブリのおもちゃは使い回しです（笑）」と告白した。

吉田は玉木の印象を「かっこよかったです。IQ300だけど、服装は普段の玉木くんみたいと同じようにジーンズとジャケット。こっちやりたかったなって思いました（笑）」と明かすと、玉木は「昔の栄作さんのスタイルに似てますよね」と返した。また、小倉は「ゴキブリをぼくにもやってきた。車を運転するときにハンドルに置いてあって･･･。アリスちゃんにやるならわかるけど、おれにもやる！？」と話し、笑いを誘った。

続けて、「人生最大の謎」をフリップで発表するシーンで、玉木は“ハワイ島でのポルターガイスト現象”として「ハワイのホテルで突然テレビが消えた。当時ブラウン管のテレビだったので叩けば直ると思ったんですけど直らなくて。次に本を読もうと思ってランプをつけたらランプがぽんって消えて」と電化製品が次々と消えた不思議な体験をしたことを明かし、結局「部屋を変えてもらいました」とコメント。広瀬は“両親日本人なのにハーフ顔”と書き、「よく言われるんですけど3兄弟で私だけ」と話し、玉木は「妹さんも最近似てきてるんじゃない？」とコメントすると、広瀬は「そうですね、かるた取ってる顔はそっくりですもんね」と『ちはやふる』でのシーンを挙げ笑いを誘った。

続けて、劇場内に移動し舞台挨拶が開始。去年のゴールデンウィークの時期に撮影を行ったという本作。小倉が「寒い日もあったが、玉木くんはダウンを着ているのにはだしなんです。この人の感覚はどうなってるんだろう」と話し、場内からは笑いが起きた。

原作者が認めたという玉木は「不安もありますけど、島田さんが嬉しそうにモニターを覗いている様子を見て、原作者の島田荘司さんに喜んでもらえるならそれでいいんじゃないかと思いました」とコメント。広瀬は自身の役について「似ている部分が多いと思いました」と話し、「残虐なシーンとかあったんですけど、自分の役（みゆき）が全くなじんでなくていいなと思って演じていた。箸休め的なキャラクターかなと思いました。みゆきが出てくるとコミカルになりがちなので、ワンクッション置いていただければ」と語った。玉木は広瀬の印象を「よくしゃべる方ですけど、やるときはやる芯のある人。『はい、分かりました』と言って、まずトライする。自分の役を全うしようとするのが気持ちよかったです」と賞賛し、広瀬は「初めて言われて、ちょっとほっとしました」と笑顔で返した。逆に広瀬は玉木の印象を「クールな方だと思っていましたが、とてもお芝居をしやすい環境にしてくださいました」と“ムードメーカー”であったことを明かした。

石田は難しい言葉が続くセリフに対して、和泉監督から「『漫画で読む日本史』をくださって、それが分かりやすかった。専門的なセリフが多くて苦労しました」と振り返った。また、広瀬は撮影期間中に「ホームシックになちゃって、寂しいと思った」と明かした。

最後に玉木は「事件が起きて解決するだけではなく、残虐なシーンから始まり、観終わった後には温かいロマンを感じる作品です。島田先生の上質なミステリーを、大きなスクリーンで堪能してください」とメッセージを贈った。