公開中の映画『ミモザの島に消えた母』ではその映像美に加えて音楽が注目されている。

30年前の母の謎の死と、その裏に隠された“秘密”を探るサスペンスであり、人間ドラマでもある本作。主人公アントワンを演じるのはローラン・ラフィット。さらにメラニー・ロランなどフランスの実力派俳優を迎えた。引き潮時に数時間だけ海中から現れる、本土と島をつなぐ全長4.5キロメートルの砂州「パッサージュ・デュ・ゴア」をはじめ、木々や太陽に照らされた美しい海が広がる、フランス大西洋岸に位置するノア・ルムーティエ島など、自然豊かな景色も見どころのひとつとなっている。

本作では、映像の美しさに加えて、音楽にも注目されている。特に、世界的な人気と評価を不動のものにするイギリスのロックバンド・レディオヘッドと、アイルランド・ダブリン出身の新鋭ロックバンド・コーダラインの2組の楽曲は、本作のミステリアスな空気をより高めてくれる。

イギリスの音楽紙「NME」が運営する音楽サイト「NME.com」はレディオヘッドを“21世紀のザ・ビートルズ”であると綴っている。20年前、イギリスの多くのメジャーなバンドがコカインや大豪邸に大金つぎ込む中、彼らは稼いだ大金をスタジオ新設やサウンド追求に費やし、不可能にも思えるその新しいサウンドを通してファンを魅了し続けている。本作で用いられる「ライク・スピニング・プレイツ」は、メンバーのトムが「あらゆる曲の中で最高」と語る意欲作で、主人公の苦悩に満ちた心情を表現している。

エンディングに流れる「All I Want」はコーダラインが世界的注目を集めるきっかけとなった楽曲とも言える。1400万回再生以上を記録したGoogleの2012年まとめ動画でBGMとして起用され、国内ではSUMMER SONIC2013でも見事なステージを披露した。さらにTV番組「テラスハウス」（2014）のBGMとして話題となったのも記憶に新しい。「All I Want」を収録するアルバム「In a Perfect World」（2013）はアイルランドのチャートで1位、UKチャートでも3位を記録している。