瀬戸内寂聴が、新進作家の瀬戸内晴美として「新潮同人雑誌賞」を受賞するも、「子宮」という言葉が多く出てくることから1957年の発表当時「子宮作家」との批判を浴び、長く文壇的沈黙を余儀なくされた鮮烈な恋愛文学を原作とした本作。主人公・園子を演じるのは村川絵梨。肉体の悦びに目覚め、世間の常識に背を向けながらも子宮の命ずるまま生きることを選んだ女性を体当たりで演じる。
今回行われた舞台挨拶には、村川絵梨、林遣都、安藤政信、藤本泉、落合モトキ、毬谷友子らキャストと、安藤尋監督の7人が登壇し、撮影時のエピソードなどを語った。
立ち見が出るほどの大盛況となった会場を見て、主演の村川は「感無量です」と笑顔で挨拶。林は「出てみたいと思っていた監督の下で、感情をさらけ出して大事に撮った作品です」と本作をアピール。安藤は「『ROOKIES』から村川絵梨の大ファンだった」と突然の告白に村川は「絶対嘘!びっくりした(笑)」と答えたが、安藤は「一緒に仕事ができるということでこのオファーを受けました。念願叶って、いつ役者辞めてもいいです」と話し、笑いを誘った。
劇中で着物を着ているシーンが多かった村川はこの日も着物で登場し、「全編着物なので、舞台挨拶も着物と決めていました」とその理由を明かした。また、「思い入れが強い作品」という本作については「“女の性(さが)”という役を演じたことがなかったので務まるのか不安だったのですが、28になりますので、やるしかないし、やらなきゃ一生後悔すると思うくらい作品の力と、監督の想いが強かった」と語った。11日間の濃厚な撮影期間を過ごしたというが「必死に生きていたので、思い出という思い出が曖昧なんですけど、ひとりひとりとのシーンが濃かった」と振り返った。
村川と共演するシーンが多かった夫役の林は「命を削って作品と役に向き合っている姿を見て、本当はスマートに支えられたらと思った」と振り返るが、実際は「そんな余裕はなく、負けられないなという思いで僕もさらけ出してぶつけていこうという思いにさせてもらいました」と村川の想いが林を奮い立たせたことを明かした。村川は林との共演については「勝手に戦友だと思っています」と表現し、「役に真摯に向き合って、思い切りぶつけてきれくれるので、もう大好きです」と称賛した。
同じく村川とのシーンが多かった安藤は「大雨の中で桂川に佇む(村川)絵梨がいて、叫んで後ろから抱きしめて強烈なキスをするシーンが一番思い出深い」と話し、村川についての印象を聞かれると「美人ですからね・・・それしかないですね」とコメント。
衝撃的なシーンが多かったという毬谷は「セットの畳に絵梨ちゃんが一人で座っていた。その背中が小さな蝶々が震えているように儚くて・・・」と振り返り「この映画にかけているのが伝わった」とその時の気持ちを明かした。また、この日の舞台挨拶で1年ぶりに村川に再会した印象は「明るくて開放的な笑顔だった」と言い、「あの時は命がけで彼女の役を生きていたんだな」と語った。
イベントの終盤では、原作者の瀬戸内寂聴から劇場公開に向けて手紙が読まれた。手紙が届いていたことを初めて知ったというキャストと安藤監督だが、村川は「嬉しくて、こみ上げてきました。本当にやってよかったと心底思いました」と目に涙を浮かべながら語った。
最後に村川は「今から95分のいろいろな世界が待っていると思います。男性と女性で考え方が違うということもすごく感じられる映画だと思います」とアピールした。
映画『花芯』は2016年8月6日(土)よりテアトル新宿ほか全国で公開!
原作:『花芯』瀬戸内寂聴著(講談社文庫刊)
監督:安藤尋
出演:村川絵梨、林遣都、安藤政信、毬谷友子
配給:クロックワークス
2016年/日本/95分/R15+
(C)2016「花芯」製作委員会