平均年齢が(おそらく)世界最高齢のアマチュア・オーケストラでの奮闘と青春を描いた本作。数学教師の千鶴(杏)がヴァイオリン演奏の経験を活かすべく入団したのは、年寄りばかりで素人丸出しの“梅が岡交響楽団”。入団を大喜びする老人たちに「楽団の名前を間違えた」と言い出せないまま参加することになる―。本作が映画初主演となる杏、同僚の教師役に坂口健太郎、生徒役に黒島結菜と若手キャストに加え、笹野高史、小松政夫、藤田弓子、石倉三郎ら豪華キャストがアマオケ団員を演じる。
黄色のワンピースに身を包まれて登場した杏は「人前に出るのは久しぶりなのでドキドキしています」と笑顔で挨拶。オファーを受けた時の心境を「(自身初の)主演よりも、指揮とヴァイオリンという楽器をやることへのプレッシャーが大きかった」と振り返る。撮影現場では「その場で合わせたり、そういったやり取りが音楽映画ならではで楽しかった」と語り、またアマオケ団員を演じる共演者は「20~30代のスタッフが多い中、誰よりもここに並んでいらっしゃる方々が元気だった。負けないように頑張らなきゃと元気をもらった」と楽しい現場であることを語った。
また、5月に双子を出産したばかりの杏だが、今の生活については「新しい発見の毎日」とコメント。久しぶりのイベントへの出演について「こういう世界にいたなと感じている。ずっと家の中にいたので、みなさんに会えて嬉しいです」と笑顔を見せた。劇中では杏との共演シーンが多かった笹野は「(撮影から)一年経ったらこんな風になるとは思わなかった。お父さん(渡辺謙)がすごい人で、お父さんと一緒に仕事をしているような気がして緊張しました」と笑いを誘った。
杏が演じる教師のクラスの生徒であり、祖父がアマオケのコンマスである野々村(笹野)という複雑な役どころを演じた黒島は「純粋に一お客さんの気持ちで見られた映画で、笑ったらし泣きました」と出演を楽しんでいた様子。またその理由について「みなさんの温かさがにじみ出ているのかなと思いました」とコメントした。また、共演シーンの多い杏とはプライベートでの話をするようで「初めましてなのに初めてじゃないみたいな安心感があって、お姉ちゃんに近い存在だったと思います」と話すと、杏も「会って2回目くらいで『今日うち来る?』ってなって、この前も線香花火をやったり、妹みたいな感じです」と仲の良さを伺わせた。
杏演じる千鶴が恋心を寄せているのになかなか気づかない坂下先生を演じる坂口は「天然なのか鈍感なのか、難しい男の子でした。プロデューサーからはすごく似てる、合ってるキャラクターだよって言われました」と明かすと「演じていて、そんなに似ているかなと思っていました」と打ち明けた。それに対して笹野は「地でやってるんだなと思った」と笑いを誘った。
細川監督は本作について「原作もおもしろいし、これをうまいことやるには監督に責任があるぞと感じた」と明かしたが、撮影現場は「楽しくて楽しくてしょうがなかった」と振り返った。また、鹿児島のイベントで本作を上映した際に、観客の年齢層が高く、見終わった方が「Twitterとかではなくて、回覧板で回しますと言っていた」と驚いていた様子だった。
イベントではこの日が“敬老の日”であることにちなみ、杏から笹野、坂口から小松、黒島から石倉、細川監督から藤田へ肩たたきが行われた。笹野は杏の肩たたきについて「赤ちゃんを抱っこして力が強くなった。(杏に肩たたきをされたので)あと3年は長生きできます」と話し、場内からは大きな笑いが起きた。また、小松も「運動部の先輩後輩みたい」と笑いを誘い「何年ぶりでしょう、恐縮しています」と笑顔で語った。
最後に杏は「現場での姿を見ていてこんな風に年を重ねたいと思うことがたくさんあって、映画ではそれを凝縮しています。ぜひ画面の中でみていただければと思います」と本作をアピールした。
映画『オケ老人!』は2016年11月11日(金)より全国で公開!