タナダユキ監督、上野樹里

タナダユキ監督、上野樹里

上野樹里3年ぶりの主演映画『お父さんと伊藤さん』の公開直前イベントが10月5日(水)に都内で行われ、上野樹里とタナダユキ監督が登壇した。

息子夫婦の家を追い出されたお父さんが選んだ先は、娘の彩と20歳年上の彼氏・伊藤さんが同棲するアパート。突然始まった奇妙な共同生活ですれちがう3人の心―。やがて訪れる別れの朝、彼らが選んだ未来とは―。主演は『陽だまりの彼女』(2013)以来3年ぶりの主演映画となる上野樹里。自分のペースで日々の暮らしを大切に生きる主人公の女性・彩を伸びやかに演じる。そんな彩の20歳年上の彼氏で給食センターに勤める謎の男・伊藤さん役をリリー・フランキー、頑固ながらも愛くるしい一面を持つお父さん役を『龍三と七人の子分たち』(2015)で絶大な存在感をみせつけた藤竜也が演じる。

今回行われたイベントには、上野樹里とタナダユキ監督が登壇し、作品や女優としての心境を語った。

「上映後のお客さんに会うのは初めてなので楽しみ」と笑顔で挨拶した上野は、本作の撮影を「楽しんだ」と話し、「監督に『床に寝転がって』といわれたから、ごろごろと回ったら笑われた」とエピソードを明かし、タナダ監督は「私の想像を軽く飛び越える瞬間がある」と上野の演技を評価。それに対して上野は「プレッシャーです」と答えながらも「楽しかったです」と再び笑顔になった。本作をすでに2回鑑賞したという上野だが「初めてみるときは緊張したりナーバスになると思うけど、今回は楽しかった」と明かし、さらに自宅でも一人で鑑賞したことを明かし「監督の視点で描かれている三人がおもしろい」と客観的に楽しんでいる様子だった。

タナダ監督は、原作を読み「親が老いていく、気がついたら親の背中がこんなに小さかったっけと思う瞬間があると思う。老いていく親とどう向き合うかは社会問題。誰にでも起こりうる普通の人の話を、軽やかなユーモアを交えて描かれているので、映画化したらおもしろいと思った」ときっかけを語った。また、主人公の彩を演じる上野については「撮影前に生真面目というくらいいろいろ考えてくれて感動した。私よりも深く彩のことを考えてくれた」と明かし、「役作りもきちんとするけど頭が固くならずに、相手のお芝居を見て捨てることも出来る。役者として最強なんじゃないかと思いました」と絶賛した。

上野は今回の役どころについて「楽しんで演じられた」と話し、役作りについては「ポリシーは特に決めてないです。外見のイメージとかは合わせていきます」と明かした。さらに本作での髪形については上野からの提案でショートカットになったことを明かし、上野は「さばさばしてるけど、女性らしさも出る髪形」にしたかったと語った。

撮影中は、上野が料理がうまいことが「演出する側としては助かる」とタナダ監督。「緊張することなく安心してみていられた」と賞賛した。上野はそのことについて「生活観を大切にしながら演じていました」と明かした。現場について、タナダ監督は「おだやかな現場。粛々と進んでいて、待っている俳優さんも好き勝手に過ごしてくれたので、いいお芝居を撮ることに集中できた」と語った。また、上野は撮影現場で「監督お手製の注意書きを書いてくれた」と明かし、タナダ監督は「直接言うと角が立つので、猫の絵を描いて猫が言っているようにした」と話すと場内は笑いに包まれた。

最後に上野は「どの世代の方でも楽しんでいただけます。肩の力を抜いて、楽になりながら家族の形を投影し、少しでもいい影響が与えられる映画になったらうれしいです」とメッセージを贈った。

上野樹里

上野樹里

タナダユキ監督

タナダユキ監督

上野樹里

上野樹里

『お父さんと伊藤さん』ポスタービジュアル

映画『お父さんと伊藤さん』は2016年10月8日(土)より新宿バルト9ほか全国で公開!
監督:タナダユキ
原作:中澤日菜子『お父さんと伊藤さん』(講談社刊)
出演:上野樹里、リリー・フランキー、長谷川朝晴、安藤聖、渡辺えり、藤竜也
配給:ファントム・フィルム
©中澤日菜子・講談社/2016映画「お父さんと伊藤さん」製作委員会