息子夫婦の家を追い出されたお父さんが選んだ先は、娘の彩と20歳年上の彼氏・伊藤さんが同棲するアパート。突然始まった奇妙な共同生活ですれちがう3人の心―。やがて訪れる別れの朝、彼らが選んだ未来とは―。主演は『陽だまりの彼女』(2013)以来3年ぶりの主演映画となる上野樹里。自分のペースで日々の暮らしを大切に生きる主人公の女性・彩を伸びやかに演じる。そんな彩の20歳年上の彼氏で給食センターに勤める謎の男・伊藤さん役をリリー・フランキー、頑固ながらも愛くるしい一面を持つお父さん役を『龍三と七人の子分たち』(2015)で絶大な存在感をみせつけた藤竜也が演じる。
今回行われた舞台挨拶には、上野樹里、リリー・フランキー、藤竜也、タナダユキ監督の4名が登壇した。
「誰が見てくださるんでしょうね」と3人で話していたというリリーは満席の場内を見渡し「ありがたいです」と笑顔で挨拶。上野も「満席で、初日から嬉しい限りです」と喜びを表現した。本作について、100社以上のインタビューを受けたという上野だが、インタビューを受けているときに、作品を説明しながら感極まって泣いてしまった経験を明かし、藤も「僕も一回くらい泣かれました」と答えた。また、上野は「日常を描いた作品ですが、気づいたら家族の話になってしまうような身近な映画です。気軽に楽しんでいただけたら」と紹介した。
上野演じる彩の20歳年上の彼氏・伊藤さんについて「理想の男性との声も多い。壁ドンはしなくていいから大切なことを言ってほしい」との声を紹介すると、リリーは「壁ドンやりたいけど、そんな役は来たことがない(笑)」と笑いを誘い、「モテモテでしたよ」と明かした上野だが、リリーは「映画では闇の部分は見せてないですから」と再び笑いを誘った。また、リリーは本作について「いろいろな見方がある」とコメントし、「自分だけじゃなくてみんなに起きること」が共感を呼んでいると語った。
恋人役がリリーで「安心感があった」という上野。タナダ監督は「(役者みんなが)役について考えてきてくださって、相手を見て違う芝居が出てくる。編集でたくさん見てるけど、何度見ても飽きない、新たな発見があって楽しかったです」とキャスティングにとても満足している様子を見せた。
最後にリリーは本作について「去年の今頃撮影していて、秋のにおいがする映画です」と話し、上野は「いい作品をタナダさんと組めた。感想を話しているうちに家族の話になって、気づいたら家族のことを考え、それぞれの暮らしの裏で支える力になれば嬉しいです」とメッセージを贈った。
映画『お父さんと伊藤さん』は2016年10月8日(土)より新宿バルト9ほか全国で公開!
監督:タナダユキ
原作:中澤日菜子『お父さんと伊藤さん』(講談社刊)
出演:上野樹里、リリー・フランキー、長谷川朝晴、安藤聖、渡辺えり、藤竜也
配給:ファントム・フィルム
©中澤日菜子・講談社/2016映画「お父さんと伊藤さん」製作委員会