『ゆれる』(2006)『ディア・ドクター』(2009)『夢売るふたり』(2012)の西川美和監督が、7年ぶりの映画主演となる本木雅弘を迎え、直木賞候補となった自らの小説を映画化した本作。人気作家の幸夫は、妻が親友とともに不慮の事故で亡くなった時、不倫相手と密会していた。ある日、妻の親友の夫・陽一とその子どもたちに出会った幸男は、幼い彼らの世話を買って出る。誰かのために生きる幸せを初めて知った幸男だが―。主人公の衣笠幸夫役に本木雅弘、さらにミュージシャンの竹原ピストルのほか、池松壮亮、黒木華、山田真歩、堀内敬子、深津絵里などの実力派俳優が名を連ねる。
今回行われた舞台挨拶には、本木雅弘、竹原ピストル、藤田健心、白鳥玉季、池松壮亮、西川美和監督の6名が登壇し、撮影時のエピソードや共演者から見た本木雅弘の印象などが語られた。
本作で主人公の小説家・衣笠幸夫を演じる本木は、劇中で妻・衣笠夏子を演じる深津と20年ぶりに再会したと明かしたが、撮影はわずか2日間で、この日の舞台挨拶にも登壇がなかったことから「非常に残念」とコメント。また「20年先、老年カップルのラブストーリーでブイブイいちゃつきたい」と期待を寄せた。竹原は劇場に駆けつけた多くの観客の姿を見て「事務所に借金してオーダーメイドのスーツを作ったかいがあった」と笑いを誘った。また、藤田は撮影後に声変わりをしており、完成した映画を見た印象を「一番驚いたのが自分の声」と明かした。
本作が7年ぶりの主演作となる本木だが、作品について「立場によって感想が違うのがおもしろい。それぞれ我が事のように感じているのが印象的」と語った。また、先日行われた竹原ピストルのライブに行ったことを明かし、「ミュージシャンとして大成していただきたいですが、映画界にも帰ってきてほしい」とメッセージを送った。その竹原は、クランクアップ直後に、自身の息子役を演じた藤田とのエピソードで「『映画は終わっちゃったけど、これからもずっとおれと仲良しでいてくれよな』と言ったら、友だちを安心させるように『当たり前じゃん、そりゃそうだよ』ってまっすぐな目で言ってくれた事が今でも胸が熱くなる」と語った。
以前より西川監督に対して「いつか会わなければいけない人」と話していたという池松は「優しい人だと思っていて、実際に会ったらその通りで、西川さん、本木さん、竹原さんと現場で会えただけで幸せでした」とコメント。さらに現場の雰囲気については「本木さんを中心に和気藹々としていました」と本木がムードメイカーであったことを明かした。それを聞いた本木は「声が素敵だね」とコメントし、さらに「タバコの角度」も気になるところだと明かした。西川監督も「本木さん、(池松のことを)見入っちゃってた」と暴露した。また、西川監督は池松のキャスティングについて「本当は(池松の実年齢より)10歳くらい若かったけど、心の奥底まで見抜く眼差しがあれば演じてくれると思った。素晴らしかった」と賞賛した。
続けて、登壇者全員から本木に対する印象を言葉で表現するコーナーで、白鳥は「お菓子箱のような人」と答え、「お菓子箱を開けたときのように幸せにしてくれる人」とコメント。藤田は「いつでも若いオーラを出していてすごく元気だった」と答え、本木の現場での様子がうかがい知れる答えが並んだ。また、竹原は「そこんとこどうなのかハッキリしていただきたい人」と挙げ、理由を「ボクといるときは構ってくれてかわいがってくれるのに、スタッフからのメールで、池松さんといるときは池松さんといちゃいちゃしてる。僕と池松さんどっちが好きなのかハッキリしてほしい」と疑問を投げかけると、本木は「(竹原が)本妻と(池松が)愛人」となだめるように答え、場内からは大きな笑いが起きた。
最後に本木は「(キャストの)組み合わせの妙であり、映画の奇跡であり、個人としても貴重な出会いだったと思います。そしてそれを動かしてくれたのが監督なので感謝しています」とコメントし、西川監督は「明日から本木さんと私はローマ映画祭に旅立ちます。日本から応援をよろしくお願いします」とメッセージを送った。
映画『永い言い訳』は2016年10月14日(金)より全国で公開!
原作・脚本・監督:西川美和
出演:本木雅弘、竹原ピストル、藤田健心、白鳥玉季、堀内敬子、池松壮亮、黒木華、山田真歩、深津絵里
配給:アスミック・エース
©2016「永い言い訳」製作委員会