のん、片淵須直

のん、片淵須直

第29回東京国際映画祭特別招待作品『この世界の片隅に』の舞台挨拶が10月28日(金)にTOHOシネマズ六本木ヒルズで行われ、主演の声優を務めたのんと片淵須直監督が登壇した。

秋から冬にかけて公開される話題作をいち早く上映する特別招待作品部門。本作は、第二次世界大戦中の広島・呉を舞台に、戦況が悪化していく世の中で、大切なものを失いながらも、日々を大切に前を向いていく女性・すずを描いたアニメーション作品。主人公・すずをアニメーション映画初主演の女優・のんが演じる。

緊張した面持ちののんは「よろしくお願いいたします」と一言だけ挨拶。本作が完成するまでに6年かかったと話す片淵監督は「この時代のことを知る人が少なくなってしまったことは残念です。両親がどう生きてきたかをしることでやっと大人になれるという気持ちで作りました」とその経緯を語った。また、本作にはオーディションで主演の座を射止めたのんは「すずさんが日々を一生懸命暮らしている様子が素敵で、素晴らしい作品だと思いました」と語った。そんなのんに対して片淵監督は「彼女が一番ナチュラル」と絶賛した。

全世界14か国での公開が決定している本作だが、片淵監督は「外国の方にとっても、原爆とかは人類史的な悲劇であることはひとつの心になっている気がします」と語り、さらに本作について「戦争の映画を観て、描かれている風景が自分たちから遠く感じた。本当はどうたったんだろうというところにいつも疑問をいだいていて、そこにこだわって作りました」と明かした。のんは自身のセリフで「『工夫し続けるのがうちらの戦ですけん』がすごく響きました」とコメントした。

また、本作で音楽を担当するコトリンゴについて片淵監督は「原作ですずさんの失われた右手が語り掛けるシーンがあって、映画では右手の言葉は音楽で表すことにしました」と明かし、さらに「すずさんの右手はすずさんと同じくらい優しい。だからコトリンゴさんの声がふさわしいと思いました」と語った。最後にのんは「普通がすごくいとおしくなる作品だと思います。何があっても生活を続けるということの力強さに心が震える映画です」と本作をアピールした。

のん

のん

片淵須直

片淵須直

『この世界の片隅に』ポスタービジュアル


第29回東京国際映画祭は2016年10月25日(火)~11月3日(木)に六本木ヒルズ、EXシアター六本木ほかで開催!

映画『この世界の片隅』は2016年11月12日(土)よりテアトル新宿、ユーロスペースほか全国で公開!
監督・脚本:片渕須直
原作:こうの史代「この世界の片隅に」(双葉社刊)
声の出演:のん、細谷佳正、稲葉菜月、尾身美詞、小野大輔、潘めぐみ、岩井七世、澁谷天外
配給:東京テアトル
(C)こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会