今年で29回目を迎える東京国際映画祭の「日本の“今”を知ってもらい、その中に厳然と存在する日本の美意識、日本人の文化とその魅力を感じてもらう」ことをテーマにしたJapan Now部門。本作は、“死にゆく母と残される家族の愛と絆”を、驚きの展開とラストで描き、涙と生きる力がほとばしる感動の詰まった物語。『チチを撮りに』がベルリン国際映画祭などで絶賛された中野量太監督の商業デビュー作。脚本を読み「心が沸かされた」と話す宮沢りえが双葉役、娘の安澄役を注目の実力派若手女優・杉咲花、頼りないけど憎めないお父ちゃんをオダギリジョー、旅先で双葉と出会い、彼女の母性に触れ人生を見つめ直していく青年の拓海役を松坂桃李が演じる。
公開を29日(土)に控えた本作だが、中野監督は「ドキドキしています」と緊張の面持ちを見せ「先週までは大丈夫だったんですけど、今週になってからはエゴサーチばかりして気持ち悪くなっています」と話し、場内からは笑いが起きた。MCを務めたプログラミング・アドバイザーの安藤航平は「最初見たときダサいタイトル」と思った事を明かしたが「最後まで見たら府に落ちた。参った」と絶賛。中野監督は「結末を成立させるために、丁寧に丁寧に描いた」と語った。
本作では、さまざまな親子関係や絆が描かれるが、中野監督は「何が家族という答えはないと思う」とし「一個だけ定義らしいものがあるとすれば、食卓を囲むこと」と語った。そのため、中野監督の作品には“食卓を囲む”シーンを家族の象徴として入れていると明かした。その親子を宮沢、杉咲、オダギリら豪華なキャストが織り成しているが、中野監督は「宮沢さんが受けてくれた」ことから全てのキャストが決まった事を明かした。まだ、オリジナル脚本である本作について「脚本だけはこだわっている。映画の7割が脚本だと思っている」と語り自信を見せた。宮沢については「『紙の月』の次ですからね。そこは男気じゃなく、女気ですね」と語った一方で、安澄役だけがあて書きであることを明かし「ずっと杉咲さんとやりたかったし、ぴったりだと思った。杉咲さんだからこそ難しい役を書けた」と賞賛した。
話題作への出演が続く松坂については「松坂桃李って分からないくらい馴染んでいる。よく似ているところがあると言ってくれた」と明かした。さらに、車中でのシーンは全てアフレコで「めちゃくちゃうまいんです」と絶賛した。さらに、宮沢演じる“お母ちゃん”のモデルについては「母親がモデルではないけど、嘘のない感情を使うとああいう母親が生まれてくる」と話し、逆にオダギリ演じる“ダメ夫”については「男性側は僕ですね(笑)」と語った。イベントでは、劇中で双葉や安澄の下着がポイントで出てくることに触れ「下着に執着している?」と安藤から聞かれた中野監督は「男子はみんな下着に執着するものじゃないですか?(笑)」と答え、場内の笑いを誘う場面もあった。
第29回東京国際映画祭は2016年10月25日(火)~11月3日(木)に六本木ヒルズ、EXシアター六本木ほかで開催!
映画『湯を沸かすほどの熱い愛』は2016年10月29日(土)より新宿バルト9ほか全国で公開!
脚本・監督:中野量太
出演:宮沢りえ、杉咲花、篠原ゆき子、駿河太郎、伊藤蒼、松坂桃李、オダギリジョー
配給:クロックワークス
(C)2016「湯を沸かすほどの熱い愛」製作委員会