この秋から冬にかけて公開される洋画、邦画の話題作をいち早く見ることができる特別招待作品部門。本作は、亡き兄が家族の希望を託した1本の桃の木。ヒロイン・彩音に桃は大きな実りをもたらすのか?そして農水省から来た官僚・治は自分の夢を再び見つけられるのか?『半落ち』『ツレがうつになりまして。』『陽はまた昇る』などヒューマンドラマの名匠と言われている佐々部清監督が日本の第一次産業を応援する『種まく旅人』シリーズ第3弾にて初参戦の作品。今最もスクリーンで観たい若手実力派、高梨臨と斎藤工の共演作。
残念ながら登壇が叶わなかった佐々部監督からのビデオメッセージでは「夢をテーマにした映画で、今日こうやって上映されたこともひとつ夢が叶った」と喜びを語った。「赤磐に行ってみたいなとか桃が食べたいなと思ってもらえればこの映画は成功かなと思います」と意気込みを語り、「この映画がヒットしたら臨ちゃんキスでもしてみますか(笑)」とのメッセージにすかさず斎藤工が「します!」と答えて会場は大盛り上がりとなった。
監督について聞かれた高梨は「愛がある監督で、この世界の大先輩ですが1人の家族のように私たちを受け入れてくださった。赤磐の人たちも佐々部組の人たちも温かかったので幸せな気持ちで撮影をさせてもらえるような監督だった」と語った。また、それに関して斎藤は「助監督の時代が長かったので、色んな監督の現場を佐々部さんなりに吸収して気持ちに無駄のない現場でした。地元の方とどういう風に映画を作っていくかを熟知し、作品の中にも太陽のようなものが練りこまれていたと思う」と答えた。
本作で顔が映らない場面でもマスコットキャラクターのあかいわモモちゃんに入って撮影を行った高梨は「真夏ですごく暑い中で体力的にも大変なため予定にはなかったが入っているのといないのだと見え方が違うと監督がおっしゃっていたのでやりたいと言ってやりました」と女優魂を感じるエピソードを披露した。モモちゃんに高梨が演じてどうだったかという質問をするとジェスチャーで答え「とても光栄に思います」と斎藤が訳す場面もあった。また、岡山県赤磐市から六本木に来た感想を聞かれると「都会の水はあわない」と斎藤が訳し、会場を沸かせた。
撮影中での面白いエピソードを聞かれると、斎藤は「沢山ある」と答え、その中でも高梨がリハーサルを本番と勘違いし、妹役の安倍萌生に思いっきりびんたをしてしまいその音が近くにいた斎藤にまで聞こえ本気を感じたという。また、佐々部監督の部屋で“スナック佐々部”をやっていて高梨がお酒との相性が良く飲まれるので氷を取りに何回も行っていたのでアイスマンだと思われたと撮影中の仲が良いエピソードを語った。
最後に高梨は「私が実際見たときには自分の夢ってなんなんだろうと考えたり、大きな夢はあったとしてもこの映画を見てひとつひとつの出会いや自分がいるところに感謝をしながら種を蒔いていってそこからつぎ木のように夢をつないでいけたらいいなと思いました。そして、岡山県赤磐市に出会えて人としてもいい経験ができたと思います。日本の映画の中でもこの映画に出会えたこと、佐々部監督に出会えたことは女優人生でも大きな経験になりました。このような映画を東京から発信して都会の皆さんに沢山見ていただけてこういう映画がもっと広がっていくことを心から願っています。今日楽しんでいただけたら色んな方にお勧めして見に来てください」とメッセージを送った。
【文/片岡由布子、写真/河野康成】
第29回東京国際映画祭は2016年10月25日(火)~11月3日(木)に六本木ヒルズ、EXシアター六本木ほかで開催!
映画『種まく旅人~夢のつぎ木~』は2016年11月5日(土)より有楽町スバル座ほか全国で公開!