本作は『ハピネス』『ストーリーテリング』などで、様々なタブーに触れながら人生のバカバカしさ、人間の愚かさをブラックユーモアたっぷりに描き、観る者に爆笑と気まずい気分を提供してきたアメリカン・インディペンデント界の鬼才トッド・ソロンズ監督の最新作。アメリカをさまよう1匹の可愛いダックスフントと、その飼主となる冴えない人々の姿を描く物語。可愛いすぎる子犬の姿と、トッド・ソロンズが贈る容赦ないブラックな描写に登場人物たちのドラマが混じり合い、未体験の笑いを提供する。
可愛いダックスフントが4人の冴えない飼い主たちの元を巡っていく本作。今回解禁されたのは、子犬の4人目の飼い主である孤独に暮らす老婆・ナナの元へ、孫とボーイフレンドが訪れるシーン。ナナは、家族と離れヘルパーと二人で暮らす老婆。彼女の元に小遣いをせびりにきた孫娘のゾーイと、芸術家気取りの彼氏・ファンタジー。「おばあちゃん元気だった?」となつくゾーイに「ああん?」と冷たい態度を取るナナ。ゾーイが懸命に「おばあちゃんも若い頃絵画を・・・」とファンタジーにナナのことを紹介するも「ヌードモデルで股を広げた」などとんでもない話を繰り出し空気を凍り付かせる。気まずい空気が漂う中、ヘルパーから下痢止めの薬を受け取って、一気に飲み干し最後にはゲップ―。
この偏屈で面倒くさい老婆を演じているのは、大女優のエレン・バースティン。映画はもちろん、舞台やテレビなど幅広く活躍し、マーティン・スコセッシ監督『アリスの恋』(1974)で史上3人目となるアカデミー賞とトニー賞のダブル受賞を達成した。その後も数々の映画賞を受賞し、近年では『インターステラー』(2014)、『アデライン、100年目の恋』(2015)、「ハウス・オブ・カード」などにも出演。博士号を取得し、今はアクターズ・スタジオの学長をアル・パチーノ、ハーヴェイ・カイテルと共に務めている、アメリカを代表する女優と言える存在。
デカすぎるサングラスをしているので、サングラスを外すまで彼女がエレン・バースティンであることに気づく者は少ないはず。トッド・ソロンズ監督は、インタビューで「劇中、誰だか分からないことについて、エレン・バースティンは文句を言わなかったか?」と尋ねられると「あのサングラスは良いアイディアだと彼女も言っていたよ」と答え「彼女があのサングラスを外すシーンは凄い瞬間になるんだ」と語っている。彼女がサングラスを外す時、一体何が起きるのか―。
映画『トッド・ソロンズの子犬物語』は2017年1月14日(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国で公開!
監督・脚本:トッド・ソロンズ
出演:ダニー・デヴィート、エレン・バースティン、ジュリー・デルピー、グレタ・ガーウィグ、キーラン・カルキン
配給:ファントム・フィルム
2015年/アメリカ/88分
(C)2015WHIFFLE BALLER,LLC.ALL RIGHTS RESERVED.