公開から1か月が経つ本作だが、石倉は「業界の人に『観た、観た。面白かったねー!』と言われて『観たいんだけどどこでやってるのか分からない』という苦情があった」と語り、喜びの表情を浮かべた。小松は「自分が出ている映画を観たのは初めて」と明かすと、細川監督に驚かれる場面があった。実際に劇場に足を運んだと話す杏は「公開翌週に予約して見に行った。今までで一番白髪率の多い客席だった」と笑いを誘い「エンドロールが流れている時に、席を立ってしまう方がいて、声を上げて『まだ終わってない!!』と言いたかったがぐっとこらえた」と胸の内を明かした。
「終わったあとに喜んでもらっていると感じました」と感想を述べた細川監督は「ツイッターを見ていたら、親が“ウチの息子が撮ってます!”と回覧板で回していて、恥ずかしくてツイッター見るのやめました(笑)」と笑顔を見せた。小松がチェロの演奏について問われると、間から石倉が「チェロの演奏してるんでしょうけど、顔で演奏したんですね」と指摘すると、細川監督からも「みんなで集まって楽器の練習をした時にみんな指の練習してる中、小松さんだけ顔の練習してて。面白かったですけど(笑)」と練習風景を振り返ると小松は「顔だけと言われると困りますけど…」と反論した。本作で千鶴役を演じ、指揮を担当した杏は「指揮はみんなと向かい合わせになるので、みんなの顔が見れるというのが最高の面白いポイントで」と撮影を振り返った。
本作の好きなシーンを問われた杏は「一番笑ったのは『老人ってのは何が起こるか分からないからな!ハハッ!』というシーン」と答え、細川監督もこれに同意し「葉っぱが落ちるシーンで、杏ちゃんの『うわっ!』とリアクションするシーン。あれはいつも笑っちゃう」と話すと、観客も同意した様子で拍手が巻き起こった。
最後に杏は「初主演の映画が公開されたり、プライベートでもいろんな変化があった1年で、あっという間で不思議な1年だった」と語り「こうしてロングランの舞台挨拶ができたのもひとえに皆様に映画を愛していただいた結果なのだと思います」と感謝の気持ちを述べた。
平均年齢が(おそらく)世界最高齢のアマチュア・オーケストラでの奮闘と青春を描いた本作。数学教師の千鶴(杏)がヴァイオリン演奏の経験を活かすべく入団したのは、年寄りばかりで素人丸出しの“梅が岡交響楽団”。入団を大喜びする老人たちに「楽団の名前を間違えた」と言い出せないまま参加することになる―。本作が映画初主演となる杏、同僚の教師役に坂口健太郎、生徒役に黒島結菜と若手キャストに加え、笹野高史、小松政夫、藤田弓子、石倉三郎ら豪華キャストがアマオケ団員を演じる。
【取材・写真・文/蔭山勝也】
映画『オケ老人!』は全国で公開中!
脚本・監督:細川徹
原作:荒木源「オケ老人!」(小学館文庫刊)
出演:杏、黒島結菜、坂口健太郎、左とん平、小松政夫、藤田弓子、石倉三郎、茅島成美、森下能幸、萩原利久、フィリップ・エマール、飛永翼(ラバーガール)/光石研、笹野高史