続々と発表されている各映画賞で再び話題を呼んでいる本作。今回のイベントには、本作に出演する杉咲花、本作の中野量太監督、さらに杉咲が出演した『トイレのピエタ』(2005)の監督を務めた松永大司が登壇。本作『湯を沸かすほどの熱い愛』から、女優・杉咲花についてまで“熱く”語られた。
会場となった新宿武蔵野館での舞台挨拶が夢だったという中野監督は「やっと叶えられた」と感無量の様子。以前より知り合いだったという中野監督と松永監督だが、中野監督が「杉咲花っていいと思うんだ」と名前を挙げた後に『トイレのピエタ』で主演が杉咲花と書かれているのを見て、中野監督は「このやろうと思った」と振り返ると、松永監督は「(話をしたことを)覚えていない・・・」と苦笑。
お互いを全くタイプが違うと語る松永監督。特に違う点を「中野監督はシナリオがしっかりしている」と挙げ「すごい描写力」と称賛した。中野監督がほとんどアドリブがないのに対して、松永監督は「役者に助けてもらうところがある」とコメント。杉咲はそれぞれで苦労した点として、松永監督については「演出が厳しくて怖かった。何回か心が折れそうになった」と答え、中野監督については「興奮すると鼻息が荒くなり、大事なシーンに限って『ふーふー』とすごい鼻息が聞こえるので苦労しました」と場内は爆笑に包まれた。松永監督も「苦労の種類が全然違う(笑)」とコメント。
続けて、中野監督と杉咲の出会いの話題で、中野監督はオファーをOKもらってから会えるのを楽しみにしていたら、『トイレのピエタ』の試写会で隣の席に座り、偶然の出会いがあったという。そこで、中野監督が挨拶をしたというが、その時点で杉咲は「宮沢りえさん主演の映画に出ますとしか聞いてなかった」と振り返り、さらに「突然隣の方にタイトルを言われて『その映画見てない、代表作なのかな』と思った」と笑いを誘った。また、中野監督はそのままストーリーを語り始めたと言い、杉咲は「何も知らないのに結末だけ言われてびっくりしました」と困ったと振り返った。
次に、杉咲の役の演じ方について中野監督は“シナリオを読んで作りこむタイプ”と解析。そのため「違うと言われたときの修正が楽しみでもある」と話すと、杉咲は「『トイレのピエタ』のときは、一言を永遠に言わされました」と明かすと、松永監督は「(自身が)鬼じゃん」と苦笑い。杉咲も「鬼ですね」と返し、笑いを誘った。また、19歳の杉咲だが、今後について松永監督が「やっちゃったなと思う映画も出てくると思う」と話すと、杉咲はすかさず「やっちゃわないです!」と返し、場内からは再び笑いが起きた。
最後に杉咲は「重要な出会いになった二人の監督とトークショーが出来て嬉しかったです。個人的に武蔵野館が好きなのでここでトークショーが出来たのも嬉しかったです」と笑顔で語り、「監督が書かれたこの映画の小説が発売されていて、買ってほしいと言っていました」と小説をアピールしつつ、イベントは終了した。
“死にゆく母と残される家族の愛と絆”を、驚きの展開とラストで描き、涙と生きる力がほとばしる感動の詰まった物語。『チチを撮りに』がベルリン国際映画祭など国内外の映画祭で絶賛された中野量太監督の商業デビュー作。脚本を読み「心が沸かされた」と話す宮沢りえが、優しさと強さを持つ“お母ちゃん”双葉役を熱演。娘の安澄役を注目の実力派若手女優・杉咲花、頼りないけど憎めないお父ちゃんをオダギリジョー、旅先で双葉と出会い、彼女の母性に触れ人生を見つめ直していく青年の拓海役を松坂桃李が演じる。さらに篠原ゆき子、駿河太郎、オーディションで選ばれた子役の伊東蒼が新しい家族の物語を彩る。
【写真/蔭山勝也】
映画『湯を沸かすほどの熱い愛』は全国で公開中!
脚本・監督:中野量太
出演:宮沢りえ、杉咲花、篠原ゆき子、駿河太郎、伊東蒼、松坂桃李、オダギリジョー
配給:クロックワークス
©2016「湯を沸かすほどの熱い愛」製作委員会