1971年の製作から生誕45周年を迎えた「日活ロマンポルノ」の新作製作とクラシック作品の活性化を行うロマンポルノ・リブート・プロジェクト第3弾『牝猫たち』の公開を記念して、「性を教養として嗜む」をテーマに開催されてきた女性限定イベント「iroha夜の女学院」とのコラボレーションが実現して行われた今回のイベント。
本作の感想を問われた浜田は、ロマンポルノを初めて観たと明かすと「ポルノっぽくないと思った。子供の虐待やお母さんの問題やベビーシッターの問題とか。現代の問題を彷彿とさせるような、ものすごい色んなものが詰め込まれているので、ニュースっぽい」と語る。湯山へ「ロマンポルノはこういうものなのか?」と問うと「“10分に1回の濡れ場”のルールを守れば、あとは作家性に任せられる。この話を頂いた監督がそこに反応して、自分の撮りたいものをここで撮ったのかもしれないですね」と返し、“女性の問題を撮りたかったのでは?”と推測した。
AERAとYahoo!ニュースが組んで“路上にいないホームレス”の題で貧困問題を特集したと話す浜田は「実名顔出しで取材に応じてくれた子がいた。ずっと動画で撮っていたから、Yahooで物凄く読まれた。離婚したら住む場所がなくなっちゃうと困るからこの職に就くことが多い」と現代の問題をあぶり出し、世間の感心も高いことを語った。
湯山は「切り口が見つかった!」と声を上げると「これは逃げ恥だ」と話すと「契約結婚みたいなある種、外的な要因。無理やりつがいにさせられた時からビジネスライクだけど、そこから気持ちが通ってきてしまう」と似ている点を暴露すると浜田は「逃げ恥ってロマンポルノだったんだ・・・」と声を漏らし、会場は爆笑に包まれた。
池袋の風俗店「極楽若奥様」で働く3人の“牝猫たち”。呼び出された男たちと体を重ね、そして、また夜が明ける―。ワーキングプア、シングルマザー、不妊症・・・それぞれの悩みを抱えながら、爽快と現代を生き抜く女たちと、それを取り巻く男たちの物語『凶悪』(2014)、『日本で一番悪い奴ら』(2016)に続き、白石和彌監督がオリジナル脚本で挑んだ初ロマンポルノ作品。現代社会を逞しく生きる女性のいまをジャーナリスティックな視点で捉え、名匠・田中登監督のロマンポルノ作品『牝猫たちの夜』(1972)にオマージュを捧げている。主人公・雅子を演じるのは、2歳でキッズモデルとしてデビューし「眠れる森」(1998)で中山美穂の子供時代をつとめるなど、映画、ドラマ、舞台など俳優としてのキャリアを積む気鋭の女優井端珠里。約10年前、白石監督が助監督を務めた『17歳の風景』(2005)の撮影時に、井端を師匠・若松孝二監督に推薦。白石監督は、10年後の再会で運命的なものを感じ、井端珠里を今回主演に抜擢した。このほか、雅子の仕事仲間でシングルマザーの結依を、これが女優として2本目の映画作品となる真上さつきがフレッシュに演じ、主婦でありながら風俗嬢として働く里枝を、『インプリント~ぼっけえ、きょうてい~』(2006)で鮮烈なデビューを果たした女優・美知江が、艷やかに演じている。
【取材・写真・文/蔭山勝也】
映画『牝猫たち』は2017年1月14日(土)より新宿武蔵野館ほか全国で順次公開!