マーティン・スコセッシ監督

『沈黙-サイレンス-』のマーティン・スコセッシ監督が、なぜ遠藤周作原作の「沈黙」にこだわり続けたのかを語ったコメントが到着した。

戦後日本文学の最高峰とも称される遠藤周作の「沈黙」(新潮文庫刊)をマーティン・スコセッシが映画化した本作。17世紀江戸初期、激しいキリシタン弾圧の中で棄教したとされる師の真実を確かめるために、たどり着いたポルトガル司祭の目に映った想像を絶する日本。人間にとって本当に大切なものとは何かを壮大な映像で描く。アンドリュー・ガーフィールド、リーアム・ニーソン、アダム・ドライバーに加え、窪塚洋介、浅野忠信、イッセー尾形、塚本晋也、小松菜奈、加瀬亮ら実力派豪華キャストが集結。

マーティン・スコセッシが遠藤周作の名著「沈黙」と出会ってから28年、監督としての固い決意によって『沈黙-サイレンス-』が完成した。スコセッシ監督は、なぜ「沈黙」に魅了され、なぜ映画化にこだわり続けたのか―。

1988年、ニューヨーク市で行われた聖職者向けの『最後の誘惑』NY特別試写会で、スコセッシ監督は大司教のポール・ムーアと知り合う。そこでムーアは、スコセッシ監督に遠藤周作の歴史小説「沈黙」をプレゼントした。「沈黙」は日本で1966年に刊行され、非常に力強く、厳密なテーマ分析が高く評価されていた。数年後にその英語版が出版されると、宗教的なテーマに対する奥深い検証および熟考として、小説の評価はさらに強まり、その後も世界各地でさまざまな言語による翻訳版が登場した。

初めて「沈黙」を読んだスコセッシ監督は大きな衝撃を受け、まるで彼個人に話しかけられたような気がしたといい「遠藤が本で提示したテーマは、私がとても若い時からずっと考えていたものだ」と思いを明かしている。さらに「熱烈なカトリックの家庭で育ったため、私と宗教との関りはとても深かった。子供の時に浸っていたローマカトリック教の精神性は、いまだに私の基盤となっている。それは宗教とつながりのある精神性だ」と語るスコセッシ監督は、この本がキリスト教についての非常に根深い問題に対峙していることを知って驚き、「沈黙」を初めて読んで以来、スコセッシ監督は映画化を固く決心していた。

キリスト教の観点から小説を書いた数少ない日本人作家のひとりである遠藤周作は、1923年に東京に生まれ、神戸で育てられ、11歳の時に洗礼を受けた。大学在学中、第二次世界大戦で学業の中断をやむを得ず軍需工場で働いた。戦後は医学を学び、フランスにも留学。生涯を通して、結核など深刻な呼吸器の病気に苦しみ、長期にわたる入院生活を送った。1958年に小説の執筆を始め、ほとんどの作品でキリスト教をテーマに扱った。ニューヨーク・タイムズの日曜版に執筆中のポール・エリーは「非宗教的な今の時代に我々を悩ます非常に多くの宗教問題を宣教の時代に見出している。多様な社会に共通する真実の要求、信仰の宣言とその表明の間の矛盾、信者が神のために暴力をふるわれる一方で、神の見かけ上の沈黙といった問題だ」と語っている。

スコセッシは「ゆっくりと、巧みに、遠藤はロドリゴへの形勢を一変させる。『沈黙』は、次のことを多いなる苦しみと共に学ぶ男の話だ。つまり、神の愛は彼が知っている以上に謎に包まれ、神は人が思う以上に多くの道を残し、たとえ沈黙をしている時でも常に存在するということだ」と記している。そして「私がこの小説を初めて手にしたのは、20年以上前のことだ。それ以来、何度も数えきれないほど読み直している。これは、私が数少ない芸術作品にしか見出したことのない、滋養のようなものを与えてくれる(小説だ)」とも―。

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 新潮社公式サイト

遠藤周作
©新潮社

Photo Credit Kerry Brown

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映画『沈黙-サイレンス-』は2017年1月21日(土)より全国で公開!
監督:マーティン・スコセッシ
原作:遠藤周作「沈黙」(新潮文庫刊)
出演:アンドリュー・ガーフィールド、リーアム・ニーソン、アダム・ドライバー、窪塚洋介、浅野忠信、イッセー尾形、塚本晋也、小松菜奈、加瀬亮、笈田ヨシ
配給:KADOKAWA
Photo Credit Kerry Brown
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