園子温監督、冨手麻妙、筒井真理子

「ロマンポルノ・リブート・プロジェクト」第4弾園子温監督『アンチポルノ』の初日舞台挨拶が1月28日(土)に新宿武蔵野館で行われ、冨手麻妙、筒井真理子、園子温監督が登壇した。

本作を撮るにあたって、一度オファー断った園子温監督。断った理由を「今、この現代でポルノを撮る意味はあんまりないと思って断った」と話し「アンチポルノみたいなものだったら撮れるかもしれないと言ったら、それでいいと言われたので。タイトルもアンチポルノになりました」と明かした。本作の主演を務めた冨手は「女優として園子温監督の作品で主役をやるというのを目標にしてやってきていたので。園子温監督が思うこと以上のお芝居をしなければここで何かが止まってしまうのではないかという気がした」と胸の内を明かした。

本作への出演を決意した経緯を問われた筒井は「台本読ませていただいて、園さんの本気感というか叫びのような作品を読んで、最後のセリフを言いたいと言うのがあったが『私でいいんですか?』と何度も確認しました」と語り「役者として何か試されているような気持ちになって、これを引き受けなかったら役者をやっていてはいけないという気持ちになった。覚悟を決めて参加させてもらいました」と語った。

劇中で印象に残っているセリフを問われると、冨手は「筒井さんと同じセリフを繰り返して言うシーンは色んな意味で印象的」と語り、続けて「男性は立ったまま小便をする。便器すら見下している男だ」というセリフは印象的で“まさにそうだよ!”と感じたと明かした。セリフについて園子温監督は「当時の自分の苛立ち、時代に対する苛立ちとかそういったものがセリフに入っていると思います」とコメントした。

アンチポルノにかけて“アンチしたいもの”というお題を振られると、冨手は「男性向けだけのAV。アンチ日本向けのAV」と答え「日本のAVは男性がモザイクがかかっていて女性の裸だけがメインで映るものが多いと思っていて。性は男性だけのものではないし、女性のものでもある。男性だけに特化しないで作れば社会も変わるんじゃないか」と指摘。園子温監督は「一昨日、禁煙外来に行って禁煙初めて2日なので・・・アンチタバコ(笑)」と話し、差し入れにタバコがあったと指摘されると「禁煙外来は1週間は吸っても良いんだよ!お医者さんが1週間は吸ってくれっていうから、しょうがねーなと思って吸った」と苦しい言い訳をし、会場は爆笑に包まれた。

製作開始から45周年を迎える日活ロマンポルノリブートプロジェクトの第4弾作品。主演は、2015年に公開された園作品のほぼ全作品に出演するなど、いま園子温がもっとも成長を期待する若手女優・冨手麻妙。冨手は「園監督の作品のためなら脱ぐ」と裸上等で難しい役どころに挑戦。相手役には、第69回カンヌ国際映画祭ある視点部門審査員賞受賞の『渕に立つ』での演技が高く評価されている実力派女優・筒井真理子。冨手が演じる京子のサディスティックな振る舞いを受け止めるマネージャー典子を演じる。冨手と筒井は、本作で初めて本格ヌードを披露し、美しく過激な問題作で本物の女優魂を魅せている。

【取材・写真・文/蔭山勝也】

冨手麻妙

園子温監督、冨手麻妙、筒井真理子


映画『アンチポルノ』は2017年1月28日(土)より新宿武蔵野館ほか全国で順次公開!
監督・脚本:園子温
出演:冨手麻妙、井真理子
配給:日活
©2016日活