『そして父になる』(2013)の是枝裕和監督と福山雅治の2度目のタッグとなる心揺さぶる法廷心理ドラマである本作。勝利にこだわる弁護士・重盛が、やむをえず弁護をすることになった殺人の前科がある三隅。「負け」が決まったような裁判だったが確信が揺らいでいく重盛。本当に彼が殺したのか?弁護士・重森を福山雅治、殺人犯・三隅を役所広司が演じ、広瀬すず、斉藤由貴、吉田鋼太郎、満島真之介、松岡依都美、市川実日子、橋爪功らが脇を固める。
今回、本作の音楽をニーノ・ロータ、モリコーネに続くイタリアの“巨匠”作曲家と呼ばれるルドヴィコ・エイナウディが担当することが決定した。現在世界で最も愛されているクラシック作曲家であるエイナウディが、日本映画の音楽を手掛けるのは初めてで、是枝監督の熱烈なラブコールによって実現した。世界でCDセールスが150万枚を突破。ストリーミング楽曲再生回数が5億4千万回以上の「現在世界で最も聴かれている=愛されている」クラシック系作曲家・ピアニスト、ルドヴィコ・エイナウディ。
2月下旬に来日したエイナウディは、映画を撮影中の都内のスタジオを訪れ、そこで是枝監督と初対面。今回の映画の制作にあたりずっとエイナウディの音楽を聴いてきたという是枝監督はエイナウディと感動的な対面を果たした。スタジオ内のモニターで撮影中の映像をエイナウディに見せながら、シーンの意味やそこに求める音楽の意図を熱く説明。世界的なクリエイター2人は初対面にも関わらずすぐに意気投合し、和やかに語り合った。
スタジオでは主要キャストたちとも対面し、わずかな時間ではあったが挨拶を交わした。満島真之介から「日本の映画に音楽を付けるのは初めてなんですか?」と聞かれたエイナウディが「そうです。すごく楽しみにしています」と答え、キャスト一同からは大きな拍手が起こり、福山雅治は「大変光栄です」と語った。約1時間と短いスタジオ滞在だったが、監督の熱い想いと音楽の役割の説明、そして撮影現場の雰囲気から、エイナウディは確実にたくさんのイメージを受け取ったようだ。エイナウディは4月にコンサートのために再び来日、その後、撮影完了した映像を確認しながらの音楽制作に入る予定。
是枝裕和監督 コメント
この半年、脚本を書きながら毎日エイナウディさんの音楽を聞いていました。自分が書いたストーリー、撮っている映画と、彼の音楽が自分の中では完全に一体化しています。エイナウディさんの音楽は凄く「映像の浮かぶ音楽」なんですよね。そこが今回選ばせていただいた一番の理由です。勝手なぼくのイマジネーションなんですけど、彼の音楽「四次元(four dimensions)」を聴いていたら「雪景色」がまず浮かんで。雪の風景がすごく最初に出てきて、主人公ふたりの故郷を北海道という雪の街に設定したんです。なにか「火」とか「水」とか、そういう非常にシンプルなんだけどイメージの強いものを喚起させられる音だったんです。今回の映画では「人間が人間をさばけるのか」とか、けっこう難しいテーマに取り組んでいるのですが、ヴィジュアルのイメージとしては「火」だったり、雪の「白」だったり、血の「赤」だったりと、すごく明快に、と思っています。そこにエイナウディさんの音楽がすごくフィットするのではないかな、と思っています。
ルドヴィコ・エイナウディ(音楽)コメント
このプロジェクトに関わることができて大変うれしいです。是枝監督の事を尊敬しておりますし、是枝監督の過去の映画も、とても素敵だと思っておりましたので非常に光栄です。日本映画の音楽を手掛けるのも、日本の監督さんとのコラボレーションも私の人生で今回が初めてですが、日本の事が大好きですし、本当に嬉しいです。今回は撮影スタジオに伺って、実際に映画の映像を見ることが出来て、是枝監督の求めている音楽のバランスや求められている部分がわかったので良かったです。映画の中には雪のシーンがありましたが、雪の中では周りの音があまり聞こえなくなって、自分の中にある気持ちや感情を感じさせてくれると思いますが、そのような部分を音楽で表現できたらと思っています。
なお、ルドヴィコ・エイナウディ来日公演は、2017年4月16日(日)にすみだトリフォニーホールで行われる。
映画『三度目の殺人』は2017年9月より全国で公開!
監督:是枝裕和
出演:福山雅治、役所広司、広瀬すず、斉藤由貴、吉田鋼太郎、満島真之介、松岡依都美、市川実日子、橋爪功
配給:東宝、ギャガ