ある家族、余命わずかな父の書斎で見つかった一冊の日記。そこに綴られていたのは、ある殺人者の手記。これは事実か、創作か。いったい誰が、何の為に書いたのか。ショッキングなミステリーを入り口に置きながら、物語は一転、壮絶な愛の物語へ辿り着く。美紗子は悲しみの連鎖の果てに何を願うのか?2012年に大藪春彦賞受賞や本屋大賞ノミネートをはたした沼田まほかる原作を、『君に届け』(2010)『近キョリ恋愛』(2014)などを手がけた熊澤尚人監督が映画化。主演は、5年ぶりの主演作となる吉高由里子。人間誰もが持っている“心の拠り所”、それが生まれながらに“人間の死”であった女・美紗子を演じる。
今回、本作の豪華キャスト陣情報が解禁された。熊澤尚人監督とは『親指さがし』(2006)以来、2度目のタッグとなる松山ケンイチは、吉高由里子演じる美紗子と運命的な出会いを果たす男・洋介役。誰にも言えない罪、心の傷を抱えながら生きる、色気と繊細さが同居した男を、圧倒的な表現力と存在感で演じる。松坂桃李は、物語が動き出すきっかけとなる一冊のノートを見つけ、その秘密に迫っていく男・亮介役。余命わずかな父の書斎で見つけた、殺人者の記憶が綴られたショッキングなノート。「これは事実か創作か?」「いったい誰が、何のために書いたのか?」「自らの家族とどんな関係があるのか?」数々の疑念を抱きながらも強烈にそのノートに惹き寄せられ、自らの運命を狂わせていく役どころ。宿命に翻弄されるキャラクターをどのように生き、どんな姿を見せてくれるのだろうか。
ある日突然に亮介(松坂桃李)の前から姿を消してしまう婚約者・千絵役には、映画やドラマはもちろん舞台へも表現の場を広げる清野菜名。そして、千絵(清野菜名)の元同僚で、彼女からある伝言を預かり亮介(松坂桃李)の前へ姿を現す謎多き人物・細谷役を、あらゆる女性像をも体現する表現力と独特の存在感が魅力の木村多江が演じる。また、生まれながらに“人間の死”へ本能的な衝動を感じ、そこから逃れる術を持たなかった美紗子(吉高由里子)の若き日を、『3月のライオン 前編・後編』などへ出演する注目の若手女優、清原果耶。美紗子(吉高由里子)が特別な感情を抱く友人・みつ子役を、近年は『ヒメアノ~ル』などへ出演し、抜群の芝居に定評のある佐津川愛美が演じる。
ノートに綴られた物語へ出演する吉高由里子、松山ケンイチ、佐津川愛美、清原果耶は昨年9月初旬~10月中旬に撮影を終了。ノートの秘密へ迫る<現在パート>へ出演する松坂桃李、木村多江、清野菜名らは本年6月下旬から撮影に入る。過去と現在が交錯する物語をコントラスト強く表現するため、画のトーン、現場スタッフなどを変更。撮影時期もあえてずらし、二部作的スケール感の制作体制を敷く。本作の完成は8月下旬を予定。
松山ケンイチ(洋介役)コメント
暖かく、柔和で、暗くなりがちな役柄を演じるのは久しぶりだったので、自分の中のステレオタイプも参考にしながら演じました。由里子ちゃんとの共演も願っていた事だったので、とても嬉しく思っています。熊澤監督とは2回目で10年近く間が空いてますが、プライベートでもお付き合いがあったので、良い関係で最後まで出来ました。僕自身大好きな90年代の映画の匂いのする作品だなと思ったので完成が楽しみです。
松坂桃李(亮介役)コメント
非常に不思議な本でした。ミステリーでもあるけれど人間ドラマとしても深いところをえぐってくる。完成するまで「こういう作品だ」と言いきれないんじゃないかと思いました。偶然にも近いタイミングで同じ原作者の沼田さんの作品に携わることになり、そこにも深い“縁”を感じました。過去の出来事を想像しながら、現在の物語を大切に演じていきたいと思います。
熊澤尚人(監督・脚本)コメント
昭和と現代、二つの時代を通して、主人公であるひとりの女性に、心を揺り動かされ、人生を翻弄されるふたりの男性を松山くんと松坂くんに演じてもらいます。かねてから絶大な信頼を寄せる松山くんは、私の想像を超える柔軟性で、この難役に挑んでくれました。松坂くんとは初めてですが、香りたつ芝居の出来る、今、最も一緒に仕事をしたい俳優さんだったので、今から撮影が楽しみです。
『ユリゴコロ』は2017年9月23日(土)より全国で公開!
脚本・監督:熊澤尚人
原作:沼田まほかる「ユリゴコロ」(双葉文庫)
出演:吉高由里子、松坂桃李/松山ケンイチ、佐津川愛美、清野菜名、清原果耶/木村多江
配給:東映/日活
©沼田まほかる/双葉社 ©2017「ユリゴコロ」製作委員会