本作は、マイアミを舞台に、自分の居場所とアイデンティティを探すある少年の成長を[少年期][ティーンエージャー期][大人になるまで]と3つの時代構成で描く。ドラッグ、いじめ、虐待、父親の不在など、たくさんの傷を負いながらも、強く生きる主人公の姿が魅力的な作品。エグゼクティブプロデューサーをブラッド・ピットが務め、麻薬常習者の母親を『007』シリーズのナオミ・ハリス、主人公の少年の面倒を見る麻薬ディーラーを人気ドラマ「ハウス・オブ・カード 野望の階段」のマハーシャラ・アリが演じる。
今回、本作『ムーンライト』のアカデミー賞作品賞受賞を受けて、本作のロケ地であるマイアミ・デイド郡・リバティ・シティのNW22番街の一部(6ブロック分)を“Moonlight Way(ムーンライト・ウェイ)”と名付けることが発表された。偶然にも、監督のバリー・ジェンキンス、脚本のタレル・アルヴィン・マクレイニーは、同じリバティ・シティの公共住宅で育ち、同じ小学校・中学校に通っていたという経験もあり、“ムーンライトの生誕地”、“恋人たちの聖地”として、多くの観光客が来ることも期待されている。
今回の命名について、郡政委員のオードリー・エドモンソンは「この映画は、私たちを含め、リバティ・シティの多くの子供たちがどのような環境で育ってきたか、どのような苦難を経験し耐え抜いてきたかを忠実に描いています。“ろくな大人になれない”と言われている子供たちにぜひ耳を傾けてほしい。生い立ちや育った場所に関係なく、人は何かを成し遂げることができるのです。『ムーンライト』のおかげで、マイアミ郊外の状況を全米に知ってもらえました。さらに裕福な地域の住民とリバティ・シティの人々の間にある、心理的な溝が埋まることも願っています。まだ観ていない人には“今でも遅くない”と伝えたいですね。この環境を知らない人は、きっと気づかされるものがあるはずです」と語っている。
アカデミー賞授賞式の発表ミスにより、残念ながら披露できなかった受賞スピーチでも、マイアミでの生い立ちについて監督は「『ムーンライト』を観たらマイアミのような環境で育ってきた少年が、大人になってアカデミー賞に輝く作品を作るとはだれも思わないだろう。実はそうやって自らの夢を抑え込んで、否定してきたんだ。周りに否定されたわけではなく、僕自身がね。だから、僕たちや、この作品に自分を投影している人は、これを機に自分自身を愛してほしい。なぜなら、そうすることで、夢を見るだけでなく、許されないと思っていた夢を実現できるかもしれないからだ」と語っており、今回の命名は、未来を担う子供たちへの大きなエールともなることは間違いない。
映画『ムーンライト』は全国で公開中!
監督・脚本:バリー・ジェンキンス
出演:トレバンテ・ローズ、アッシュトン・サンダース、アレックス・ヒバート、マハーシャラ・アリ、ナオミ・ハリス、アンドレ・ホーランド
配給:ファントム・フィルム
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