WSJが選ぶ“ミステリートップ10”に選出された原作を玉木宏主演で映画化した『悪と仮面のルール』が2018年に公開されることが決定した。
海外でも高い評価を得ている中村文則による原作を映画化した本作。2002年のデビュー以来、話題作を発表し続け、2005年の「土の中の子供」で芥川賞を受賞。その評価は国内に止まらず「The Wall Street Journal」では<年間ベスト10ミステリー>に2012年、2013年と連続で選出され、2014年にはノワール文学(=犯罪や暴力を主題に据えた小説)への貢献を讃えるアメリカの文学賞「デイヴィッド・グディス賞」を日本人として初めて受賞、世界的にも注目されている日本人作家である。「悪と仮面のルール」は、これらの世界的な評価を決定的なものにした話題作でもある。
これは特殊な環境で育ってしまった男の、究極の愛の物語である。相手を思うからこそ、離れなければならない…歪んだ目的のためだけにつくりだされたことを知り、自身の存在意義を見失っていた主人公は、ひとりの女性と出会うことで、自分の存在意義の可能性を見出す。それは、彼女を守ること。人間の闇、社会の闇が現実を動かす世界の中で、⾮道なシステムに翻弄される主⼈公が見せる、たったひとつの揺るがない思いと、それに突き動かされるように犯す罪。彼の⾏動は間違いなのか?ほかの生き方があったのか?サスペンスと純粋な愛が交差する一級のエンタテインメントである本作。主演の玉木は「非常にデリケートで難役」とコメントする通り、悪を秘め、それと戦う主人公の表現と向き合った。原作・中村文則が「現場にお邪魔して、とても面白くなると肌で感じました」と期待を寄せるなど、新たな純文学×エンタテインメントが誕生する。
玉木宏(久喜文宏/新谷弘一役)コメント
―本作品のオファーがあった時の第一印象
中村文則さんの持ち味である、深く深く出口のない溝に落ちていくようなスケールの大きい作品を映像化するというのはチャレンジングだと感じました。
―主人公はすべてを秘めて押し殺した役柄ですが、演じてみてのご感想や、演じる際に意識したことなど
非常にデリケートで難しい役柄だと感じました。結論から言うと、文宏は整形をして他人の顔を手に入れ、覚悟を決めて進もうとするが、人の内面は整形出来ない。悪に対して理性があるが故の脆さを大切に演じたいと思いながら、この作品と文宏という役に向き合いました。
―出来上がる作品への期待
特異な作品だからこそ、「善悪」「真の愛」「家族」「友人」の事を、改めて見つめ直すきっかけになるのではないかと思います。
中村哲平監督コメント
中村文則先生の描く世界を映像化することは、プレッシャーと共に大きな喜びでした。闇の中に一筋だけ感じる温かな光。作品は重くて、苦しくて、ズシリと心に来るけれど、それを乗り越えた先には、純粋な愛が感じられる。玉木宏さんを筆頭に、魅力的なキャスト、優秀なクルーが集結し、素晴らしい作品になりました。先生の表現する光や空間や熱、繊細に描かれた人物にストーリー、そして心に響く言葉たち。その全てを大切に、この映画の中に込めました。
中村文則(原作)コメント
素晴らしい役者の方々に演じていただけて光栄です。現場にお邪魔して、とても面白くなると肌で感じました。大変楽しみにしています。中村文則
《悪となるためにつくられた少年は、愛する少女を守るため、父を殺し、顔と名を捨て、そして少女の前から去った―》財閥家・久喜に⽣まれた少年・文宏は、10歳になった年に⾃⾝の出⽣の秘密を知る。狂気にして巨悪、当主である実父に聞かされたのは、文宏が純粋悪となることだけを望まれて⽣まれた存在だということ。そして“悪”となるための教育として、14歳の誕⽣日に「お前に地獄を見せる」と告げられる―。その日までに1年を切ったとき、文宏は父の部屋を覗き⾒た光景から地獄とは何かを予期する。《想いを寄せ合う相⼿、久喜家の養女・香織が父の手によって汚されようとしている。地獄とは、彼⼥のすべてが⾃分を悪にするために、父の⼿により損なわれてしまうことだと》⾹織を守るために、文宏は父を殺すことに。奇しくもそれは、父が望んだ悪に近づくことでもあった。父を殺害した後、文宏は心身を喪失し、歪み、しだいに望まない父に似ていく。彼をおもんばかりつつも、父の面影におびえる香織に、文宏は彼⼥の前から去ることを決意。⾹織と別れた文宏は、顔を捨てて別⼈・新⾕に成りすまし、彼⼥を影から見守り続ける。そんな中、彼女の身を狙う存在を排除した⽂宏は、その裏で糸を引く人物と出会う。その人物とは、⽗と同じ歪みを持つ、久喜家の者、文宏の兄だった―。そしてまた彼⼥を守るために、⽂宏は再度、罪を犯すことを決意する。
映画『悪と仮面のルール』は2018年に全国で公開!
監督:中村哲平
原作:中村文則「悪と仮面のルール」(講談社文庫)
出演:玉木宏ほか
配給:ファントム・フィルム
©中村文則/講談社 ©2017「悪と仮面のルール」製作委員会