「第26回日本映画批評家大賞」の授賞式が5月16日(火)に東京芸術劇場で行われ、アニメ部門、実写映画部門の各受賞者が登壇した。

日本映画批評家大賞は、水野晴郎、淀川長治、小森和子ら批評家たちが「日本にもニューヨーク映画批評家協会賞のようなものがあったらいいな」という気持ちで1991年に立ち上げられ、今回で26回目を迎えた。

今回、作品賞、監督賞、主演女優賞、助演女優賞をともに『湯を沸かすほどの熱い愛』の監督、キャストが受賞。主演女優賞を受賞した宮沢りえは欠席となったが、監督や共演者への感謝の気持ちを込めたメッセージが代読された。助演女優賞を受賞した杉咲は「完成したものを観たときには反省点はいくつもあった」と振り返ったが「あの時に、自分に出来る精一杯のものを出し切ることができたんじゃないかと思っている」と笑顔で語った。また「映画に携わったすべての方のおかげ」と感謝の気持ちを語るとともに「中野監督から“見せる演技”ではなく“見える演技”にして欲しいという言葉をいただいた」と監督からのアドバイスが演技に生きていたことを明かした。

同作で監督賞を受賞した中野量太は、2013年に第23回日本映画批評家大賞で新人監督賞を受賞しており、3年後の今年監督賞を受賞したことについて「3年前は一人で受け取りました。今回は、宮沢りえさんと(杉咲)花と一緒に受取れてうれしい」と笑みを浮かべた。また、作品賞を受け取った同作の若林雄介プロデューサーは、17年前に中野監督と同じ日本映画学校(当時)に通っていたことを明かし「当時大嫌いだった中野量太と、17年後にこういった舞台に上がれるとは思ってもみなかったです」と冗談を交えて語り「この作品を一緒に作ることが出来てうれしく思います」と笑顔で語った。

助演男優賞を受賞した東出昌大は、2013年のNHK連続テレビ小説「ごちそうさん」で共演した高畑充希が、今回新人女優賞を受賞したことを喜んでいるようで「彼女は素晴らしい女優」と称賛した。また「映画の現場は大好きです。ただ、クランクインの前日は胃が痛くてなかなか晴れやかな気持ちで現場に入ることができない」と意外なエピソードを明かし「今後とも全力で銀幕に存在したいと思います」と決意を語った。新人女優賞を受賞した高畑は「大切な一作でこのような素敵な賞をいただけて嬉しく思いますし、感謝しています。これからも輝けるようにがんばっていきます」と笑顔を見せた。

その他の受賞者は下記の通り。

受賞者一覧

≪アニメ部門≫
作品賞/『聲の形』
監督賞/新海誠『君の名は。』
声優賞/野沢雅子
ダイヤモンド大賞/松本零士
≪実写部門≫
作品賞/『湯を沸かすほどの熱い愛』
監督賞/中野量太『湯を沸かすほどの熱い愛』
主演男優賞/小林薫『続・深夜食堂』
主演女優賞/宮沢りえ『湯を沸かすほどの熱い愛』(※欠席)
助演男優賞/東出昌大『聖の青春』
助演女優賞/杉咲花『湯を沸かすほどの熱い愛』
新人賞(小森和子賞)/高畑充希『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』
   (南俊子賞)/岩田剛典『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』(※欠席)
新人監督賞/小路紘史『ケンとカズ』
ゴールデン・グローリー賞(水野晴郎賞)/奈良岡朋子、小松政夫
ダイヤモンド大賞(淀川長治賞)/樹木希林
ドキュメンタリー賞/日比遊一『健さん』
編集賞(浦岡敬一賞)/穗垣順之助『ちはやふる』
特別賞/岩波ホール、佐藤忠男
脚本賞/西川美和『永い言い訳』
映画音楽賞/加古隆『エヴェレスト 神々の山嶺』(※欠席)
撮影賞/北信康『エヴェレスト 神々の山嶺』

杉咲花

東出昌大

高畑充希

中野量太

トロフィーを受け取る樹木希林