杉咲花、三池崇史監督

現在開催中の第70回カンヌ国際映画祭アウト オブ コンペティション部門に出品されている『無限の住人』の公式記者会見が5月18日[現地時間]にパレ・デ・フェスティバル・エ・デ・コングレで行われ、木村拓哉、杉咲花、三池崇史監督が登壇した。

第70回カンヌ国際映画祭において本作『無限の住人』が出品されているのはアウト オブ コンペティション部門。『極道大戦争』(2015)以来2年ぶり6作品目のカンヌ国際映画祭への出品となる三池崇史監督、木村拓哉はウォン・カーウァイ監督『2046』(2004)以来13年ぶり、杉咲花にとっては本作が初の世界三大映画祭の参加作品となる。

18日[現地時間]にカンヌ入りした3人はフォトコール、公式記者会見に参加。木村のファンがサインボードを持ち、声をかける様子も見受けられるなど早くもその人気を見せつけた。フォトコールには、世界中から150人以上のスチールカメラマンが集まり、「Takuya!」「Hana!」「Miike!」などの呼び声があがった。3人は終始リラックスした様子でカメラマンからのリクエストに答えた。また、朝から実施されたプレススクリーニング(報道関係者向けの上映)は450人の座席が満席となり、注目度の高さがうかがえた。

「またこの地に戻ってこれて嬉しい」とコメントした木村。海外からの評価が高い三池監督とのタッグについて「一緒に仕事が出来るのは、とても名誉なこと」と敬意を表し、また撮影中にケガをしても撮影を継続した際に「推進力になったのは、三池監督が現場で常に前に進む推進力を失わなかったからです」と三池監督の力が大きかったことを明かした。また、本作で挑戦したことについては「原作者の佐村広明先生がつくりだした作り出した世界観をリスペクトを込めて表現すること。スタートラインに立つことがもう挑戦でした」と語った。

また、一番好きな武器を聞かれた木村は「凛を守り抜くメンタルです」と答え、本作のPR期間を含めて、杉咲とのコンビネーションがうまくいっていることをうかがわせた。今回初参加となる凛を演じた杉咲は「凜を演じさせていただくうえで、ショックな出来事があって、両親のかたき討ちをする。凜ってすごい精神の持ち主だと思っているので、最初は不安だったんですけど、凜の気持ちを自分で理解することが挑戦でした」とまさに凜になりきって演技に挑んでいたことを明かした。

三池監督には“サムライ映画”という点での質問が次々と寄せられ、コーエン兄弟の西部劇との比較について「ウエスタンも時代劇も人間らしく暮らしていくことを考えると社会が未熟だった時代」と答え「時代劇は大好きです」と明かした。また、依然人気の高い黒澤明監督について触れられると「黒澤監督は、黒澤明という人間を作れた。今自分たちの表現したいことを、我々も一つ一つ積み上げていかないといけない。今後も時代劇を世に送りだしたいです」と決意を新たにした。また、主人公を演じた木村については「主人公は不死身の男。いま日本で演じられる人間は木村拓哉しかいない。彼に万次を演じてもらはなければ始まらなかった」と称賛した。

さらに、今後についての質問に木村は「三池監督は映画監督なのはもちろん、ご自身でやってくれるのが楽しい。アクション部のスタッフよりアクションがうまいんじゃないかと。出演者にしても、スタッフにしても気持ちを理解してくれる。映画を作るということは、こんなにも楽しいと感じさせてくれました。これから出会う役はひとつひとつ運命だと思って演じていきたい」と語り、杉咲は「今後どうなっていきたいかというのは、正直明確に自分の中では浮かんでこないんですけど、もともとドラマや映画を観ることが好きで、今自分が経験したことや知らなかったことを演じて学んでいけるのは楽しみです」と今後に期待を持たせるコメント。そして三池監督は「子どもたちに夢を与えることです」と会見を締めくくった。

「月刊アフタヌーン」(講談社刊)で連載され、その圧倒的な画力と斬新な殺陣描写により「時代劇」というジャンルを超えたと話題を呼んだ本作。木村が演じるのは、不死身の体を持つ剣士・万次。「面倒くせぇ」が口癖だが、頼りがいのある男が引き受けたのは、“最初で最後”の少女の用心棒だった。海外の映画祭でも高く評価されている三池崇史監督がメガホンを取る。主題歌はMIYAVIが担当する。

杉咲花

三池崇史監督

映画『無限の住人』は全国で公開中!
監督:三池崇史
原作: 沙村広明「無限の住人」(講談社『アフタヌーン』所載)
出演:木村拓哉、杉咲花、福士蒼汰、市原隼人、戸田恵梨香、北村一輝、栗山千明、満島真之介、金子賢、山本陽子、市川海老蔵、田中泯/山﨑努
配給:ワーナー・ブラザース映画
©沙村広明/講談社 ©2017映画「無限の住人」製作委員会
©Kazuko Wakayama