ジョシュ・ハートネット、平栁敦子監督、寺島しのぶ

『Oh Lucy!(オー・ルーシー!)』が5月22日[現地時間]にカンヌ国際映画祭国際批評家週間で上映され、舞台挨拶に寺島しのぶ、ジョシュ・ハートネット、平栁敦子監督らが登壇した。

本作が出品されたのはカンヌ国際映画祭・批評家週間。批評家週間は、新進気鋭の監督たちを発掘するために設けられ、短編、長編、ドキュメンタリー作品が対象となっており、日本人監督作品としては吉田大八監督作品『腑抜けども悲しみの愛を見せろ』以来、10年ぶりの選出となる。

上映中には何度も笑い声が響き、和やかな雰囲気で上映された本作。エンドロールではスタンディングオベーションが送られ、場内でキャスト、監督に自らの感想を直接述べる熱狂的な観客が後を絶たないほどとなった。

絶賛の拍手によって会場が興奮の熱気に包まれる中で登壇した平栁敦子監督は「とにかくこのような機会を頂けたことに、感激しております。この瞬間にこの場にいられことを光栄に思います」と感謝の気持ちを語り、続けて「この旅路は3年前の2014年のカンヌ国際映画祭シネフォンダシオン部門に始まったのですが、その短編を長編としてカンヌに戻ってこられることをずっと夢見ておりました」と振り返った。

主演を務めた寺島しのぶは「ボンジュール」と挨拶し、会場から大きな拍手と声援が送られ、その後もすべてフランス語で挨拶を行った。さらに「(監督の平栁)敦子さんと仕事をできて本当に楽しかったです。とても才能のある監督なので、明るい未来が待っていると確信しています。みなさん映画をぜひ楽しんでいってください」と初の長編監督作品が大きな舞台で上映されたことで、将来を期待するエールが送られた。また、共演するジョシュ・ハートネットは司会者から“フランス語で話しますか?”と聞かれ「僕はフランス語ができないから・・・」とはにかみ会場を沸かせ、続けて「短編を観た時から、さらに脚本を読んだ時から、この作品がとても特別で、素晴らしいものになると分かっていました。皆さんにご覧いただけることをうれしく思います。レビューも楽しみにしているので、お手柔らかに(笑)」と本作について語るとともに、反応が気になっている様子を見せた。

上映後には、寺島は「この作品の脚本をいただいた時から監督は『この作品でカンヌに行こう!』とエネルギッシュでモチベーションが高く、この人について行こう、と思えた監督でした。この作品に出演できとても光栄です。ここを始まりとして、カンヌのコンペに選ばれるような作品にもチャレンジしていきたいと思います」と平栁監督への信頼を明かすとともに、今後の抱負を語った。ハートネットは「観客と映画を観るのはめったにない経験なので、緊張しました。ルーシーにとても感情移入してしまいました」と語った。

短編初監督作品『もう一回』がショート・ショート・フィルム・フェスティバル&ASIA 2012でグランプリ・ジャパン部門優秀賞・東京都知事賞の3冠に輝き一躍注目を浴びた平栁敦子監督の長編初監督作品である本作。続いてニューヨーク大学の卒業制作として制作した短編映画を基に新たな物語を書き加え製作された。何事にも満たされない日々を過ごす43歳の独身OL・節子がふと立ち寄った英会話教室のアメリカ人講師に恋をし、東京とLAで大騒動を巻き起こす様を時に赤裸々に時にユーモアたっぷりに描く。主演に寺島しのぶ、共演に南果歩、忽那汐里、役所広司と国際的に活躍するキャストが名を連ね、さらにハリウッドからジョシュ・ハートネットが参加するなど、新人監督とは思えない豪華なキャストで贈る。

映画『Oh Lucy!(オー・ルーシー!)』は2017年に全国で公開!
監督・脚本:平栁敦子
出演:寺島しのぶ、南果歩、忽那汐里/役所広司/ジョシュ・ハートネット
配給:ファントム・フィルム