第70回カンヌ国際映画祭エキュメニカル審査員賞受賞

第70回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に正式出品されている『光』が、5月27日(土)[現地時間]に日本人監督として2人目のエキュメニカル審査員賞を受賞した。

今回、日本映画として唯一コンペティション部門に選出された本作『光』。8度目のカンヌ国際映画祭への出品となる河瀨直美監督だが、日本時間5月29日(月)(5月28日(日)[現地時間])の「コンペティション」部門の授賞式を控えるなかで、カンヌ国際映画祭の独立部門であるエキュメニカル審査員賞を受賞した。日本人としては、2000年に受賞した青山真治監督(『EUREKAユリイカ』)以来2人目、日本人女性監督としては初の受賞となる。

同賞は2013年の第66回にて、是枝裕和監督の『そして父になる』が、今回本作が受賞した賞の次点となるエキュメニカル賞特別表彰を受けた。なお同作は、コンペティション部門において審査員賞を受賞したことから、本作『光』もコンペティション部門での賞の受賞に弾みをつけた。授賞式で河瀬監督は「メルシーボークー」と切り出し、「この映画は、“映画”とは一体なんなんだとうということを問いかけながら作りました。映画祭が70年を迎える年にこの賞をいただけることを光栄に思う」と感激の表情を浮かべた。

河瀨直美監督コメント

映画というものは何なんだろうと考えて作りました。映画がもたらすものはたくさんありますが、人を繋ぐものだと思っています。人は人種も国境も越えていくものだと思います。映画館の暗闇の中で、映画という光と出会うとき、人々は一つになれるのだと思います。カンヌでも一体感を持てたことがうれしかったです。この混沌とした時代に、70年という記念の年に栄えある賞をいただけて大変うれしく思います。ありがとうございます

永瀬正敏コメント

歴史あるすばらしい賞。感謝しています

カンヌ国際映画祭エキュメニカル審査員賞は、プロテスタントとカトリック教会の国際映画組織「SIGNIS and INTERFILM」の6人の審査員によって、カンヌ国際映画祭においてはコンペティション部門出品作品のなかから選ばれる賞。「人間の精神的苦痛や弱点ならびに可能性にいかに関わるかということを通じて人間の神秘に満ちた深遠さを示現するという映画の力を証明した芸術的優秀性のある作品を表彰する」という目的で、キリスト教徒の映画製作者、映画評論家、その他映画専門家によって1974年のカンヌ国際映画祭時に創設。その後、世界各国の映画祭でこの部門が設立されている。日本作品での授賞は、最新作では『ふしぎな岬の物語』(2014)がモントリオール映画祭で同賞を受賞、カンヌ国際映画祭では、青山真治監督の『EUREKAユリイカ』(2000)が同賞を、是枝監督の『そして父になる』(2013)が同賞のスペシャルメンション(特別表彰)を受賞した。

河瀨直美監督がオリジナル脚本で送り出す本作。主演は、国内外で活躍する俳優・永瀬正敏。2度目のタッグとなる本作では、弱視の主人公・雅哉を演じ、葛藤の中で希望の光を求めさまよう男を演じている。さらにヒロインには、新進女優として注目されている水崎綾女。バリアフリー映画の音声ガイドとして、その光の中に生きる意味を見出していく女性・美佐子を演じる“映画”というもうひとつの人生を観客と共有するべく音声ガイドの制作にたずさわる美佐子は視覚障碍者向け映画のモニター会で弱視のカメラマン、雅哉と出逢う。映画の光に導かれるように二人は、衝突を繰り返しながらも互いの心をゆっくりと通わせていく―。

<公式上映レッドカーペットの様子>
水崎綾女、藤竜也、河瀨直美監督、永瀬正敏、神野三鈴、イブラヒム・マーロフ
©Kazuko Wakayama

映画『光』は新宿バルト9、梅田ブルク7ほか全国で公開中!
監督・脚本:河瀨直美
出演:永瀬正敏、水崎綾女/神野三鈴、小市慢太郎、早織、大塚千弘/藤竜也
配給:キノフィルムズ
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