半世紀以上続く“捕鯨論争”に新たな光を当てたドキュメンタリー映画『A WHALE OF A TALE(原題)』が『おクジラさま ふたつの正義の物語』の邦題で9月より全国で順次公開されることが決定した。

“小さな町に押し寄せた、クジラを巡る大きな衝突”を描いた本作は、2010年に公開され、東京で25週間のロングランヒットを記録したドキュメンタリー映画『ハーブ&ドロシー アートの森の小さな巨人』の佐々木芽生監督による最新ドキュメンタリー。6年の制作期間をかけて、半世紀以上続く“捕鯨論争”に新たな光を当てた。

今回、解禁されたポスタービジュアルは、現代美術アーティストとして最も人気が高い芸術家のひとりでもある山口晃が本作のために描き下ろした。過去に浅田次郎の「一路」や三浦しをんの「風が強く吹いている」の書籍表紙を手掛けており、映画のポスタービジュアルを描いたのは本作が初となる。併せて解禁された特報映像では、「捕鯨問題」によってたまたま世界のメディアの的となってしまう、本来のどかな町、太地町が映し出される。“食料難の時にくじらで助けてもらった”太地町の人々に対し、捕鯨に反対する外国人が押し寄せ、二つの意見がぶつかり合う様子を淡々とした映像と、日本人女性監督の視点で、太地町で起こる事実にカメラを向け続ける。

佐々木芽生監督コメント

なぜ日本は、クジラやイルカのことで世界の非難を浴びるのか?その答えを探すために何年も太地に通っていたら、今私たちが、世界が抱えている多くの問題にぶちあたりました。そして知れば知るほど、自分がいかに知らないかに悩みました。問題は、捕鯨やイルカ漁に賛成か、反対かではないのです。なぜ動物を巡って私たちは対立し、憎み合うのか。今世界で起きていること、みなさんの人生に起きていること、どうすれば私たちは分かり合えるのか。そのヒントをこの映画から見つけて貰えれば嬉しいです。

紀伊半島南端に近い、和歌山県太地町。追い込み漁を糾弾した映画『ザ・コーヴ』がアカデミー賞を受賞して以来、この小さな漁師町は世界的論争に巻き込まれた。「くじらの町」として400年の歴史を持つ「誇り」は、シーシェパードを中心とした世界中の活動家たちから集中非難の的となる。ヒートアップする対立が沸点に達しようという2010年秋、佐々木は太地町を訪れる。そこでは、マスメディアが報じてきた二項対立《捕鯨を守りたい日本人とそれを許さない外国人》という単純な図式ではなく、カメラは賛否に縛られない多種多様な意見を捉えていく。歴史・宗教・イデオロギー、自分と相容れない他者との共存は果たして可能なのか?今まさに、世界が直面している「ダイバーシティの危機」を克服するヒントがこの映画にはある。

映画『おクジラさま ふたつの正義の物語』は9月よりユーロスペースほか全国で順次公開!
監督:佐々木芽生
配給:エレファントハウス
© 「おクジラさま」プロジェクトチーム